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 ロシア軍参謀本部は24日夜、シリアに展開していた戦闘爆撃機Su24がトルコ軍機に撃墜された問題で、搭乗員2人のうち1人がパラシュート降下中に地上からの銃撃を受けて死亡したことを明らかにした。また、救援に向かったロシア軍のヘリコプター2機のうち1機が迫撃砲による攻撃を受けて不時着し、乗員1人が死亡した。いずれもシリアの反体制派による攻撃とみられる。

 Su24のもう1人の搭乗員の安否は不明で、引き続き捜索を続けているという。またロシア軍は、Su24がトルコ領空を侵犯した事実はないと改めて指摘する一方で、トルコの攻撃機がシリア領空を侵犯していたと主張。また、攻撃前にトルコ機がロシア機に連絡を取ろうとした形跡がみられないとして、トルコ側を強く批判した。

 一方、トルコのエルドアン大統領は24日夜(日本時間25日未明)、ロシアのSu24がトルコ国境を侵犯する前に、5分間に10回警告したが、警告は無視されたため、撃墜に至ったと説明した。エルドアン氏は「ロシアは過激派組織『イスラム国』(IS)を攻撃しているといいながら、我々の親戚の(シリアのトルコ系少数民族)トルクメン人を攻撃していた」と述べ、ロシア側を非難した。

 トルクメン人は親トルコで、シリア内戦でアサド政権と対立してきた。トルコのメディアによると、今月、シリアのバユルブジャックでアサド政権軍とトルクメン人武装勢力の戦闘が激化。ロシア軍は空爆でアサド政権軍を支援し、トルコ側にトルクメン人らの難民約3万5千人が越境避難する事態になっていた。(モスクワ=駒木明義、イスタンブール=春日芳晃)