登録 : 2015.11.25 01:01 修正 : 2015.11.25 05:35

 故ファン・ソンモ教授は日帝末期の同化政策、文化的一体化政策を“精神的討伐”と呼んだ。日本は「南韓大討伐」作戦計画の下、東学農民軍の残存勢力と義兵の根拠地まで壊滅させた後に朝鮮を強制占領できた。 しかし、日本に対して精神的・文化的優越感を持っていた朝鮮人の内面までを屈服させることはできなかった。 そこで日本の言語、教育、文化を全体主義的に注入して“天皇”に対する忠誠心あふれる臣下にしようと考えた。精神的奴隷化であった。 拒否する者には警察の苛酷な報復が加えられた。 これこそ“報復的討伐”だった。

 日帝は朝鮮人と日本人とは同じ先祖だと嘘をつき、暴力的支配を文明化・近代化と言い、朝鮮の青年たちを紙切れで動員した戦争を“大東亜聖戦”と教えた。 彼らの精神的討伐は将来も朝鮮人が独立をあきらめ、日本が時折投げ与える飴を受け取り、奴隷として満足させるための作業だった。 それは一種の心理戦であったし、教師は刀を差した暴君であり、“国民”学校は異なる考えが容認されない軍隊であった。

 11月14日、民衆総決起大会で高圧放水銃を“照準”直射して、倒れても放水を浴びせ続け、一人の農民をほとんど死に追い込み、救急車にまで放水を浴びせた韓国警察の鎮圧と国定教科書ゴリ押し政策を見て、私は21世紀型の討伐が進行されていることを感じた。 キム・クァンジン前国防部長官は、前回の大統領選挙で野党候補を“従北”勢力と決めつけたコメント活動を“隊内汚染防止”を重視したと話した。朴槿恵(パク・クネ)政権は国民の“思想汚染”を防ぐために国定化に死活を賭けている。 政府はこのために教育部の秘密TFチーム運営、手続きを無視した公務員人事措置、大量票を入れて世論工作した疑いがある。教科書執筆者の名簿も公開しないという方針、それはもはや“軍事作戦”としか表現できない。

 日帝といえども生業に従事し“政治”に関与しなかった“良民”については称賛した。 日本は反外勢民族意識を持つ農民と儒者だけ標的にしたし、彼らの抗争を支持し支援する周辺の住民だけを“焦土化”作戦、報復と応懲の対象とした。 今月14日、警察はソウル市内のあらゆる所に車壁を設置したわけではなく、通行中の市民にまで放水銃を照準直射することはなかった。 ただし、集会に出てきて警察に立ち向かう市民については、解散の対象ではなく“報復”の標的になった。 一方、公衆に対しては逆宣伝、懐柔、脅迫、投降のための宣撫工作と心理戦が進行中だ。 デモ隊は暴徒であり、国定教科書を支持すれば非国民と見なされる場合があるので、暴徒にされ討伐対象になる前に早く投降し、国家の中に“亡命”せよと言う。

 討伐作戦の中に中立はない。 軍事作戦中に法と手続きを守ることは贅沢だ。 車壁を設置したことが法と手続きに違反したとか、高圧放水銃を直射したことが警察の内規に違反したとか、そんなことを問い詰める必要はなく、デモを謀議した勢力のみが“厳罰”の対象になる。 国定教科書に賛成した集団側の行動は“我が方”なのでお構いなしで、反対署名をした教師たちだけが探索処罰対象だという。 教育は思想注入であり、報道は広報であり、政策や政治は統治の一部だということだ。 作戦中に自らの失敗が明らかになっても、無条件に良くやったと言い張り、必要な時は嘘もつく。

キム・ドンチュン聖公会大社会科学部教授 //ハンギョレ新聞社

 19~20世紀の日本帝国主義は、21世紀の韓国で生きている。 国民が討伐対象である国、唯一の考え、“純粋な考え”を持つ“良民”が従順に生きる国はもはや死んだ国だ。 自ら奴隷であることを受け容れた者は、動物的満足から一歩も前に出ることはできない。 人種的思想的純血主義に固執して、国民に恐怖感を注入し統治する全体主義は20世紀にすでに歴史の審判を受けて消えた。 自由な魂が言いたいことを言える国、思想の百家争鳴が可能な国、政界で革新と保守が激しい政策論争をできる国だけが未来を約束される。

キム・ドンチュン聖公会大社会科学部教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-24 18:53
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/718864.html 訳J.S(1785字)

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