経済の死角

北朝鮮「血の粛清」全真相 ~ナンバー2(崔竜海書記)はなぜ消されたのか?

信念を捨てた人間は、歴史のゴミとして捨てられる

2015年11月25日(水) 週刊現代
週刊現代
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「粛清病」が止まらない32歳の暴君 〔PHOTO〕gettyimages

北朝鮮のナンバー2が消えた日

昨年まで北朝鮮のナンバー2と言われていた崔竜海朝鮮労働党中央書記が消えた。生死は不明である。この〝崔竜海粛清劇〟を追った。

10月3日、すでに初冬を迎えた中朝国境の白頭山の麓を、金正恩第一書記が訪れた。ちょうど1週間後に迫った朝鮮労働党創建70周年に華を添える最大の事業、「白頭山英雄青年発電所」の竣工式が行われたのだ。

この建設工事の責任者である崔竜海書記を脇に従えた金正恩第一書記は、工事に携わった幹部たちを前に演説した。

「偉大なる金正日同志の遺訓を輝かしく貫徹させ、朝鮮労働党創建70周年に捧げる最高の労作を成し遂げた建設者たちを、熱烈に祝福したい。

この偉業は、わが党の歴史に誇り高く刻まれ、世界に二つとない青年強国の主人である青年たちの尊厳は、後の世まで英雄と呼ばれるだろう。今日ここに私は、この発電所を、『白頭山英雄青年発電所』と命名する」

発電所の関係者たちは、「万歳! 万歳!」と連呼。それを合図に楽隊が、金正日将軍の歌を高らかに演奏した。

金正恩第一書記はこの日、大変上機嫌で、笑顔で発電所のテープカットに臨んだ。そして建設に携わった幹部たちに「白頭山英雄青年発電所建設記念メダル」を授与。関係者たちを集めて、記念写真に収まったのだった。

次ページ 2度の「大役」を勤め上げたのに…
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