待機児童ゼロへ 「潜在保育士」の可能性と課題を探りました。

11/25 00:26
安倍政権肝いりの1億総活躍社会をめぐって、政府は26日、緊急対策を取りまとめる予定です。
誰もが活躍できる明るい未来、はたして実現できるのでしょうか。
その前に立ちはだかる現実、そして課題について、「わたし、活躍できますか?」と題して、お伝えしていきます。
1回目の24日夜は、柱の1つ、待機児童ゼロ。
救世主として今、注目されているのが、潜在保育士です。
その可能性と課題を探りました。

2016年4月の保育園入園の申し込みが始まっている、東京・江東区役所。
わが子を待機児童にさせまいと、24日の1日だけで、300人以上が訪れた。
訪れた人は「4月の1日から復職しなければ、退職しなきゃいけないっていうことになりました」と話した。
一方、仕事帰り、認可外保育園に1歳の息子を迎えに来た平山さん。
平日は、自転車で往復およそ40分、区をまたいでの送り迎え。
自宅から近く料金も安い、認可保育園を探しているが、第10希望まで出しても、入れる気配はないという。
平山さんは「これだけ、やっぱり預けるっていうことが大変なんだなと思うと、やっぱりちょっと、いろいろ考えてはしまいますよね。やっぱりこう、すんなり、『ああ、あそこに預けられるんだな』とわかって産むことができれば、すごく安心だろうなというふうに」と話した。
根の深い待機児童問題。
その大きな原因が、保育士不足。
政府は、2017年度末までに、7万人の保育士が不足すると試算。
そこで現在、「潜在保育士」と呼ばれる人たちに、白羽の矢が立っている。
潜在保育士とは、保育士の資格を持ちながら、専業主婦やほかの仕事に就いている人のことで、全国におよそ76万人いると推計されている。
政府は、1億総活躍社会の実現に向けた緊急対策の1つに、この潜在保育士の活用を盛り込む方針。
しかし、潜在保育士の声を聞いてみると、そこには大きな壁があった。
就職後、働きながら保育士の資格を取った渡部さん。
渡部さんは「いつか転職をすることがあったときに、やっぱり女性なので、手に職を持ちたいっていうので」と話した。
渡部さんが現在勤めている専門学校「三幸学園」は、毎年1,000人近い保育士を輩出。
潜在保育士の復職を後押しするため、最近の保育事情や、保護者対応のノウハウを、eラーニングで学べる取り組みも行っている。
そんな学校に所属する渡部さん自身が、潜在保育士という、何とも複雑な立ち位置。
保育士への転職を思いとどまっている理由の1つが、自身の子どもだという。
渡部さんは「突発で、子どもが体調不良のときとかにも、やっぱりお休みをすることで、保育園の方に迷惑をかけたりとか、それこそ、働いているお母さん方にもご迷惑をかけてしまうということがあるので」と話した。
実際に取材当日、渡部さんの1歳の娘が高熱を出し、保育園に預けられない状態になった。
渡部さんは「働く母としても、安心して働ける職場であれば、仕事としては、すごく魅力があって、やりがいがあるので。考えたいというか、候補に挙がってきますね」と話した。
ほかの潜在保育士は、待遇面や現場経験がないことに、不安を感じていた。
盛藤さんは「ちゃんと短時間でも働けたり、あとは給与が少し、今、低いといわれているので、改善すれば、またやっぱり働いてみたいなというふうに思うのかなと」と話した。
山敷さんは「資格を持っている人でも、現場経験が実はなかったり、わたしを含めて、そういう場合があるので」と話した。
厚生労働省では、渡部さんのような潜在保育士に対し、子どもの保育料を支援するなどの対策を検討している。
潜在保育士が保育士として活躍し、待機児童問題が解消される日は近いのか。

公式Facebook 番組からのメッセージ

FNN
FNNスピーク
みんなのニュース
あしたのニュース