英国人アナリストの辛口提言──「なぜ日本人は『日本が最高』だと勘違いしてしまうのか」
Posted by COURRiER on 11月 24, 2015
日本の「おもてなし」は世界一だ、「ものづくり」は高く評価されている――これらはすべて妄想だ。バブル絶頂期に不良債権問題をいち早く予見した伝説のアナリストが、日本人の「自画自賛」体質を一刀両断する。
Text by COURRiER Japon
デービッド・アトキンソン
David Atkinson
1965年生まれ。オックスフォード大学で日本学を専攻。ゴールドマン・サックスを経て小西美術工藝社社長。『新・観光立国論』で山本七平賞。著書に『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』など。
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「クールジャパン」なんて、相手から言われることであって、自分から言うものではありません。そもそも、これは「クールブリタニア」から来た表現です。
大英帝国時代に、英国が世界を支配するということで「ルールブリタニア」という表現があった。それを皮肉って、もっとクールになろうよ、ということでクールブリタニア戦略ができたのです。
これは、食事がまずいとか、英国の良くないところをいろいろと変えていくための目標としての「クール」だったのです。表面の言葉だけ持ってきた日本は、変化しないことを良しとした、自画自賛の「クール」。全然違いますね。
本当にクールジャパンは残念です。アニメやアイドルが好きな人ばかりを日本に集めていいのですか? 自動販売機や四角いスイカを目当てに世界から観光客が来ると、本気で思っているんですか? もちろん、本当にクールなものが日本にあることはわかっています。でも現在のところは、単に日本人がクールだと考えているものを外国にむかって押しつけているだけです。
こうした思考法に日本の「弱み」が表れています。すなわち、真剣に分析しないで、一方的な思い込みだけで戦略を立てる、というところです。
最近の日本人を見ていて不思議なのは、外国から批判されると「日本のことなんかわかってないくせに」と頭から否定するのに、褒められたら一転して、すべて真に受けるところです。
「外国人はお世辞を言わない」とでも思っているのでしょうか。どの国の人でも、社交辞令は言うし建て前でもしゃべります。たとえば米国人はプラス思考の国民性だし、相手を傷つけてはいけないと考える人たちだから、お世辞ばっかり言いますよ。
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