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ロシア機撃墜2人死亡 トルコに対抗措置11月25日 6時02分
内戦が続くシリアと隣国トルコとの国境付近で、ロシアの爆撃機がトルコ軍に撃墜された事件で、ロシア側は爆撃機の乗員など合わせて2人が死亡したことを明らかにし、トルコとの軍事的な接触を中断するなど事実上の対抗措置を打ち出しました。
この事件は24日、トルコ軍の戦闘機がシリアとの国境付近でロシアの爆撃機を領空を侵犯したとして撃墜したものです。ロシア軍の参謀本部によりますと、爆撃機が墜落したのはシリア領内の武装勢力が支配する地域で、パラシュートで脱出した乗員2人のうち1人が地上から銃撃を受けて死亡したほか、救出に向かったヘリコプターも攻撃を受け兵士1人が死亡したということです。
プーチン大統領は、ロシア機は領空侵犯はしていないと強調したうえで、「テロリストの手先がロシアの爆撃機を背後から襲った。2国間関係に深刻な影響を与えるだろう」と述べ、トルコを強く非難しました。ロシアのラブロフ外相は25日に予定されていたトルコ訪問を急きょ取りやめ、ロシア国民に対しトルコへの旅行を控えるよう呼びかけたほか、ロシア軍もトルコとの軍事的な接触を中断するなど、事実上の対抗措置を打ち出しました。
一方、トルコのエルドアン大統領は「トルコが自国の国境を守ることを各国が尊重しなければならない」と述べ、ロシアの爆撃機がたび重なる警告を無視して領空侵犯を続けたため撃墜したもので正当な判断だと強調しました。そのうえでエルドアン大統領はロシア軍が空爆を行っているシリアとトルコの国境沿いの地域について、「トルコ系民族が暮らす地域で過激派組織IS=イスラミックステートとは関係がない」としてロシアを非難しました。
パリの同時テロ事件を受けてアメリカやフランス、トルコなどの有志連合とロシアが連携してISの壊滅を目指す動きが強まっていましたが、ロシア・トルコ関係の緊張によって、その包囲網の形成に乱れが生じる懸念も出ています。
プーチン大統領は、ロシア機は領空侵犯はしていないと強調したうえで、「テロリストの手先がロシアの爆撃機を背後から襲った。2国間関係に深刻な影響を与えるだろう」と述べ、トルコを強く非難しました。ロシアのラブロフ外相は25日に予定されていたトルコ訪問を急きょ取りやめ、ロシア国民に対しトルコへの旅行を控えるよう呼びかけたほか、ロシア軍もトルコとの軍事的な接触を中断するなど、事実上の対抗措置を打ち出しました。
一方、トルコのエルドアン大統領は「トルコが自国の国境を守ることを各国が尊重しなければならない」と述べ、ロシアの爆撃機がたび重なる警告を無視して領空侵犯を続けたため撃墜したもので正当な判断だと強調しました。そのうえでエルドアン大統領はロシア軍が空爆を行っているシリアとトルコの国境沿いの地域について、「トルコ系民族が暮らす地域で過激派組織IS=イスラミックステートとは関係がない」としてロシアを非難しました。
パリの同時テロ事件を受けてアメリカやフランス、トルコなどの有志連合とロシアが連携してISの壊滅を目指す動きが強まっていましたが、ロシア・トルコ関係の緊張によって、その包囲網の形成に乱れが生じる懸念も出ています。
プーチン大統領 トルコを強く非難
ロシアのプーチン大統領は「トルコとの国境から1キロのシリア領内の上空6000メートルで撃墜された」と述べ、領空侵犯はしていないとの立場を強調しました。そのうえで、「テロリストの手先がロシアの爆撃機を背後から襲った」と述べ、トルコをテロリストの手先と呼び強く非難しました。さらに、プーチン大統領は「爆撃機はトルコに脅威を与えていなかった。ロシアとトルコの2国間関係に深刻な影響を与えるだろう。ロシアはこのような犯罪を許すことはない」と述べ、何らかの対抗措置をとることも辞さない構えを示しました。
トルコ大統領「国境を尊重せよ」
トルコのエルドアン大統領は24日の演説で、「国籍の分からない飛行機2機がたび重なる警告にもかかわらず領空侵犯を続けたため、このうち1機を撃ち落とした。国境の安全を脅かされたときには攻撃を行うというのは以前から宣言していたことで、各国は、トルコが自国の国境を守ることを尊重しなければならない」と述べ、正当な判断だと強調しました。また、エルドアン大統領は演説の中で、ロシア軍が空爆を行っているトルコに近いシリア北西部について、「私たちと同じトルコ系民族が暮らす地域で、IS=イスラミックステートとは関係がない。親戚が爆弾で攻撃を受け、攻撃が激しさを増していることに強く抗議する」と述べ、ロシアを非難しました。
トルコはことし9月にロシアがシリアでの空爆に乗り出して以降、ロシアによる領空侵犯にたびたび神経をとがらせてきました。先月初めには2度にわたってロシアの戦闘機がトルコの領空を侵犯したとしてトルコ政府はロシア政府に再発防止を求めたうえで、「対策がとられずに何か発生した場合には、その責任はロシア側にある」と警告しました。
トルコはことし9月にロシアがシリアでの空爆に乗り出して以降、ロシアによる領空侵犯にたびたび神経をとがらせてきました。先月初めには2度にわたってロシアの戦闘機がトルコの領空を侵犯したとしてトルコ政府はロシア政府に再発防止を求めたうえで、「対策がとられずに何か発生した場合には、その責任はロシア側にある」と警告しました。
米仏首脳は事態のエスカレート懸念
トルコ軍が、ロシアの爆撃機を領空を侵犯したとして撃墜したことについて、24日、ワシントンで行われた首脳会談のあと記者会見したアメリカのオバマ大統領とフランスのオランド大統領は、いずれも情報収集の段階だとしたうえで、事態がエスカレートしないようロシアとトルコの双方に冷静に話し合いを行うよう求めました。
この中でオバマ大統領は、「トルコには、自国の領土と領空を守る権利がある」と述べたうえで、「トルコとロシアが直接話し合いを行い、事態がエスカレートしないようにすることが重要だ」と述べました。同時にオバマ大統領は、「ロシアが、穏健な反政府勢力を攻撃していることが問題だ」と述べ、ロシアが、過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を掲げながら、アサド政権を擁護することを目的に反政府勢力への攻撃を行ってきたことが、今回の事態の背景にあるのではないかという見方を示しました。
またオランド大統領は、「重大な事態で残念なことだ。事態がエスカレートすることは避けなければならない。われわれが取り組まなければならないのはISとの戦いだ」と述べて、今回の撃墜をきっかけに、ISへの国際的な包囲網形成にマイナスの影響を及ぼさないよう求めました。
この中でオバマ大統領は、「トルコには、自国の領土と領空を守る権利がある」と述べたうえで、「トルコとロシアが直接話し合いを行い、事態がエスカレートしないようにすることが重要だ」と述べました。同時にオバマ大統領は、「ロシアが、穏健な反政府勢力を攻撃していることが問題だ」と述べ、ロシアが、過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を掲げながら、アサド政権を擁護することを目的に反政府勢力への攻撃を行ってきたことが、今回の事態の背景にあるのではないかという見方を示しました。
またオランド大統領は、「重大な事態で残念なことだ。事態がエスカレートすることは避けなければならない。われわれが取り組まなければならないのはISとの戦いだ」と述べて、今回の撃墜をきっかけに、ISへの国際的な包囲網形成にマイナスの影響を及ぼさないよう求めました。
国連報道官「冷静な対応を」
国連のデュジャリック報道官は24日、記者会見し、「関係するすべての国に緊張を緩和するためのあらゆる措置をとるよう求める。こうした事態が繰り返されないためにも、原因の究明が必要だ」と述べ、ロシアやトルコなどに冷静な対応を求めました。
そのうえで、「シリアでの空爆に関わる国々は、不測の事態を招かないよう、細心の注意が必要だ。とくに一般市民の巻き添えを避けるよう、最大限の配慮をしなければならない」と述べ、IS=イスラミックステートへの軍事作戦を進める各国に対して慎重な対応を呼びかけました。
そのうえで、「シリアでの空爆に関わる国々は、不測の事態を招かないよう、細心の注意が必要だ。とくに一般市民の巻き添えを避けるよう、最大限の配慮をしなければならない」と述べ、IS=イスラミックステートへの軍事作戦を進める各国に対して慎重な対応を呼びかけました。