【社説】真相解明より政争に明け暮れるセウォル号特別調査委員会

 また大統領府が委員会の決定を受け入れる可能性もほぼない。大統領は憲法上、訴追を免れるだけでなく、この種の事故で直接調査を受けた前例もない。大統領の行動に対する調査がセウォル号特別法の趣旨や権限の範囲内にあるのかも疑問だ。結局委員会は大統領府が調査に応じない形を演出し、この問題を意図的に政争に持っていこうとしているのではないだろうか。

 この日の会議で出た委員らの意見も、その推薦者によって完全に分かれた。与党推薦の委員らは大統領の行動を調査対象から外す修正案を出したが、野党と遺族が推薦する委員らはこれを否決した。すると与党側の委員らは辞任を表明して会議室を後にし、大法院(最高裁に相当)推薦委員らも反対に回った。17人の委員のうち賛成に回ったのは野党と遺族、そして大韓弁護士協会推薦の9人だ。このように委員会からして最初から完全に分裂しているようでは、今後の調査がまともに行われるはずもなく、結果が出ても特定の政党や団体の意向ばかりが反映されたものになるのは間違いない。

 事故の真相解明を監査院や行政に任せた場合、まともな結果は期待できないとの懸念から、国会を中心に今回の特別調査委員会が立ち上げられた。ところが今やその委員会も政争に明け暮れているため、これでは国民にとって国会さえ信じるに値しないことになる。その結果、国民は今後、大規模災害や人災に対する真相解明は誰にも信頼して任せられないという自愧(じき=自ら恥じること)と無力感にさいなまれることになるだろう。

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