【社説】真相解明より政争に明け暮れるセウォル号特別調査委員会

 旅客船「セウォル号」沈没事故の真相解明に当たる特別調査委員会は23日、委員全員が出席する委員会を開催し、事故当日の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領のいわゆる「空白の7時間」について調査を行うことを正式に決めた。決定した文言は「関連性が認められれば、大統領の行動についての調査も排除しない」となっているが、要するに昨年4月16日午前10時から午後5時まで、朴大統領がどこで何をしていたのか調査する意向を明確にしたものといえるだろう。

 大統領の行動が問題となったのは、事故直後の大統領府によるずさんな対応が原因となったのは事実だ。しかしすでに国会や検察でこの問題は何度も議論、あるいは検証されている。大統領府は朴大統領の当日の出入りの記録や21回にわたり報告を受けたこと、さらに7回指示を下したことを示す資料をすでに公表している。大統領による事故対応が後追いの形になったことについては、メディアから何度も厳しい指摘を受け、またこれが大統領の支持率を引き下げる大きな要因にもなった。

 委員会が事故当日における大統領の行動を調査するのであれば、まずは事故の真相解明と大統領の行動にいかなる関連性があるのかを説明しなければならない。例えばもし委員会がこれまで厳密に調査を進め、新たな証拠や証言を確保できた場合、それを検証するために大統領の行動を確認するというのであれば説得力もあるだろう。ところが委員会はこれまで検察の捜査や裁判所の判決さえ今なお十分に検証できていない。また海洋水産部(省に相当)など関係する部処(省庁)の職員に対する調査も全て終えていないことから、大統領から直接話を聞くべき状況ではなおさらない。つまり委員会は本来地道にやるべき作業やプロセスを全て省略し、大統領に対する調査だけを一足飛びで決めたのだ。

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