モリス=スズキ教授は「これらの本を日本の右翼組織が送付するならまだしも、与党の実力者である政治家が配るというのは別の次元の話だ。この人物は『無名の個人によって日本に関する歴史は歪曲(わいきょく)されたが、この本を読んで考えを変えてほしい』と強く主張した」と語った。本を送付する際、書簡を添えた人物とは、代表的な右翼系政治家の猪口邦子参議院議員だとのことだ。
今年の初め、米国をはじめとする全世界の歴史学者たちが日本の歴史歪曲を批判する声明を発表した際、これに貢献したアレクシス・ダデン米コネチカット大学教授は「日本側はこの本を私に8冊も送ってきた。米国・オーストラリア・日本・カナダ・フランス・イギリスなどの学者仲間たちにも送り続けていると聞いている」と言った。ダデン教授は「公共外交という名の下にこうした本を送付するのは全世界が懸念する憎悪行為だ」と批判した。