【ソウル聯合ニュース】今月2日の韓日首脳会談以降、維持されてきた両国の関係改善に向けた流れに否定的影響を与えかねない日程が控えており、行方が注目される。
自民党が日清戦争以降の歴史を検証する安倍晋三首相(総裁)直属の組織「歴史を学び未来を考える本部」を29日に発足させるのに続き、来月17日には朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の判決公判がソウル中央地裁で開かれる。公判は当初、今月26日に行われる予定だったが、延期となった。
先月の加藤前支局長の公判で検察は、朴大統領の男女関係に関する虚偽の事実を虚偽と知りながら報道し、「誹謗目的が十分に認められる」として、懲役1年6カ月を求刑した。
韓国政府周辺では、地裁が有罪判決を出した場合、日本の世論の反発を招き、首脳会談後の両国関係改善の流れに影響を及ぼすとの見方が強い。日本のメディアや政府は同公判を「言論の自由」の問題とみて動向を注視しており、韓国内とは温度差があるとの指摘もある。
韓国外交当局も公判が韓日関係に及ぼす影響の大きさから、判決に神経を尖らせている。首脳会談で「早期妥結」を目指して協議を加速させることで合意した慰安婦問題の交渉に影響を及ぼしかねないとの見方があるためだ。もし有罪判決が出れば、来月開かれる公算の大きい慰安婦問題などをめぐる両国外交当局の局長級協議でも取り上げられる可能性がある。
また、自民党の「歴史を学び未来を考える本部」発足も両国関係に悪影響を及ぼす可能性がある。勉強会との位置付けで提言も作成しない方針とされるが、議論の行方次第では韓国を刺激する素地が十分にあると、韓日関係の専門家は指摘する。
もし、極東国際軍事裁判(東京裁判)の検証を通じ戦後の国際秩序を否定する動きに出れば、韓国の対日世論が悪化し、関係改善がさらに困難になりかねない。韓国政府当局者は「歴史の真実を歪曲(わいきょく)する方向に悪用されれば、国際社会からの大きな反発に直面する」とけん制している。