先にこの記事を四行でまとめると、
・「屋内である程度安全に遊べる児童施設」は現在の子育て上すっげえ重要
・けれど、公的・半公的な屋内児童施設が最近次々閉鎖を迎えている
・私たちの国、私たちの社会は、われわれにどんな子育てをさせたいのでしょうか
・少子化問題に注力するというならこの辺なんとかしてくださいよいやマジで
というだけの内容になります。
以下は単なる補足の上、かなりの長文なので、読みたい人だけ読んでください。
まず先に前提。
・この記事を書いているのは、都内在住の三児の父です。
・三児の年齢構成は、長男7歳、長女次女共に2歳9ヶ月の双子、という感じです。
・その為、例えば遊び場とか公園についても、上記くらいの年齢の子どもに対象が偏った話になります。
悪しからずご了承ください。
・「屋内である程度安全に遊べる児童施設」は現在の子育て上すっげえ重要
こんな記事を見ました。
何をして遊べと…最近の公園で禁止されていること
まず先に断っておかないといけないのですが、上記のリンクは聊か話を盛り過ぎというか、言われている「禁止」内容はかなり特殊な内容、ないし特殊例の寄せ集め、であると思います。
私も多分、ここ数年で3桁くらいの数の公園には行っていると思いますが、公園の制約がそこまで「がんじがらめ」になっているという印象は受けていません。少なくとも、一般的な公園が、一般的なレベルでそう極端な縛りを設けられているわけではない、とは言えると思います。ブランコもすべり台も大体どこの公園にもありますし、ジャングルジムがある公園だってまだまだ少なくはありません。普通にボール遊びしてるだけで怒られる公園を観測したこともありません。
とはいえ、飽くまで私の観測範囲で言えば、「公園の遊具が減りつつある」というのは恐らく傾向として間違いではないと思いますし、「公園で出来ない遊び」が段々増えつつあるということ、公園が近所のクレームに対して極めて敏感・脆弱であるということも多分事実なのでしょう。
一方、最近の話題ではこんな記事もあります。
デング熱 東京・新宿御苑を閉鎖
代々木公園に続いて新宿御苑も閉鎖されたとか。新宿中央公園でもデング熱の感染例があったということもあり、多分デング熱のキャリアーとなっている蚊の分布はかなり広範なのでしょう。となると、問題は大きな公園だけの話ではない。デング熱の感染率・致死性がそこまで高くないとはいえ、ここ暫く、小さい子どもを外の公園で遊ばせるのはためらわれる状況が続きそうです。
その他諸々、なんだかんだで、小さな子どもを「お外」で遊ばせることは、割と簡単に困難になります。例えばご近所からのクレーム。例えばただ単に雨。例えば近所の車通りの変化。環境の問題、気象の問題、その他さまざまな理由で、一時的にも恒久的にも、「公園で遊べない」という状況は発生し得ます。
とはいえ、それほど広くもない自宅で延々子どもを遊ばせていては当然運動不足になる訳で。親は、「外に出られない状況」で子どもに体を動かせてあげられる場所を模索しなくてはならなくなります。
そんな時、われわれは当然、「屋内児童施設」を必要とするわけです。これ凄い重要。子どもを運動不足にしない鍵は、のびのび遊べる公園と、手軽にいける屋内児童施設がどれくらいあるかで決まる、といってしまってもいいでしょう。
・けれど、公的・半公的な屋内児童施設が最近次々閉鎖を迎えている
まず、民間の「屋内で遊べる児童施設」って、凄くのびのび遊ばせられるんですけど、大体えらい高いんですよ。
例えば、恐らく児童施設の中でもかなり著名な、「ボーネルンド」のKIDOKIDOの料金はこんな感じです。
KIDOKIDO:ご利用料金
しんざき家の場合、子ども3人連れていくと、一時間で親まで含めて3,700円かかります。二時間で5,500円。結構な金額ですよね。
東京ドームシティのアソボーノはこんな。
アソボーノ:ガイド
大人二人で1860円、子ども3人フリーパスだと4,650円。その他食事なんかも含めると、余裕で1万円近くなってしまう範囲です。
勿論民間の児童施設って言っても色々ありますし、そこまで高いところばかりでもないですが、ある程度広いスペースで遊ばせられる施設になると、それほど「気軽に遊べる金額」ではなくなる、という点は間違いないと思います。
となると、当然公的な児童館に行って遊ばせたい場面が多くなりますよね。
ところがですね、ここ数年、児童館や公的な児童施設、特に大型児童館の周辺環境が大変よろしくないんですよ。以下はその一例ですが、
東京都児童会館に続き子どもの城も閉館へ
杉並区立施設再編計画に伴う児童館廃止!?
子どものためのハコモノは不要?大型児童館の存在意義を考える
特に、個人的にも渋谷の二大児童施設である東京都児童会館と子どもの城の閉鎖は大きな痛手でして。
特にある程度小さな子どもにとって、「近所の小型の児童館」だけでは運動のチャンスが十分でない場合があるんです。体育施設は小学校高学年くらいの子どもたちが主役で、児童遊戯室は走り回れるような場所ではなく、おもちゃで遊んだり漫画を読んだり、割と大人しくしていなくてはいけないという状況がもっぱらです。
子どもの城は一日遊ばせても一人400円、東京都児童会館にいたっては遊ばせるだけなら一日いても無料、しかも広くて大きくて子どもをのびのび運動させられて大変大変ありがたかったんですが、耐震面の問題や建物の老朽化に伴い閉鎖、当初聞いていた代替施設は子どもを遊ばせる場所ではない、という状況です。
いや勿論、大事ですよ耐震問題。子どもを遊ばせる施設程安全性が重要、というのもそりゃ当然の話ではあります。ただ、だとすれば、きちんと予算をとって耐震問題や老朽化問題を解決し、施設を再開して頂くわけにはいきませんでしょうか、という話になりますよね。
保育園の数の拡充とか、職場復帰のし易さの問題とかも勿論超重要ですが、「子どもを安全に、いつでも遊ばせて、運動させられる場所の確保」という問題だって、それに全く劣らないくらいすっげえ重要な問題だと私は思うんですよ。
・私たちの国、私たちの社会は、われわれにどんな子育てをさせたいのでしょうか
厚生労働省の、子ども・子育てについての行動計画策定指針を見ると、こんなことが書いてあります。
1.地域における子育ての支援
児童福祉法に規定する子育て支援事業をはじめとする地域における子育て支援サービスの充実
・居宅における支援、 ・短期預かり支援、 ・相談・交流支援、 ・子育て支援コーディネート
保育計画等に基づく保育所受入れ児童数の計画的な拡充等の保育サービスの充実
地域における子育て支援のネットワークづくり
児童館、公民館等を活用した児童の居場所づくりなど、児童の健全育成の取組の推進
3.子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備若干の言行不一致があるのではないでしょうか、と思いますよね。
子どもを生み育てることの意義に関する教育・啓発の推進
家庭を築き、子どもを生み育てたい男女の希望の実現に資する地域社会の環境整備の推進
中・高校生等が子育ての意義や大切さを理解できるよう、乳幼児とふれあう機会を拡充
不安定就労若年者(フリーター)等に対する意識啓発や職業訓練などの実施
確かな学力の向上、豊かな心や健やかな体の育成、信頼される学校づくり、幼児教育の充実など、子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備
健やかな子どもを育てる環境とか、育児支援ということなら、勿論色々とやることはあるでしょうが、「いつでも子どもがのびのび運動出来る環境」というのはかなり優先順位が高いんじゃないでしょうか。となれば、デング熱だ公園の縮小だので外で大変遊ばせにくい昨今、屋内児童施設もうちょっとなんとかしてくださいよ、という話にもなります。
理想を言えば、往年の東京都児童会館くらいの規模の児童施設が、どの市、どの区にもひとつはある、くらいの状況が求められるんじゃないかと。
「子どもを産め、子どもを育てろ」というなら、「じゃあ子どもを育てられる場所や環境を用意してくれよ」というカウンターが当然来るでしょう。それなのに、ここ十数年、社会は「子どもを産め、育てろ。けど環境は全然子ども優先にはしないからね」としか言ってこなかった、ように私には感じられます。
これだけ「子どもを安全に遊ばせられる」場所が少なくなってくると、「のびのび子どもを育てろ」といっている傍ら、「子どもは家で絵本でも読ませとけ」って話なの、と思いたくもなります。
この辺、特に現政権という訳でもなく、歴代のどんな政権も、十分実質を伴った対策が打ててこれなかったんじゃないの、と私は思ったりしています。
・少子化問題に注力するというならこの辺なんとかしてくださいよいやマジで
ということで。
長々書いてきましたが、私が言いたいことは最初に書いた四行だけであって、もうちょっと具体的に言うと取り敢えず東京都児童会館をさくっと復活させてください、なるべくうちの近所でという大変我田引水な結論を導けるところで、大変長くなったのでこの辺にしておきます。
国の少子化対策に期待するところ大でございます。
今日はこの辺で。
ファミコン系の記事から最初に本ブログを読み始めましたが、
子育て系の記事も楽しく読まさせて頂いております。
当方、横須賀に住んでいる者ですが、
おっしゃる通りで屋内施設になると一気に活動領域が小さくなります。
それでも1日大人360円の屋内プールや、
ちょっと遠いですが無料の屋内施設(体育館とフリースペースが混在)など、
こちらの方がまだ恵まれてる方なんだなーと感じた次第です。
ただ、自分は横浜(みなとみらい近辺)のKIDOKIDOによく行く方なのですが、
おっしゃる通り結構高いんですよねー。
5歳児付近でも気軽に楽しめる施設をどーにかして欲しい、
というのは全く同感と感じました。
港区には「港区こども中高生プラザ」があり、幼児から高校生まで通える場所があります。図書館、保育園、高齢者施設のどれかが併設されている所が多いです。
でも、やっぱりスペースがないので、幼児(年長まで)は走り回れるスペースがあるけれど、小学生になると入れなくなります。1人が小学生になると一緒に遊べない。
東京都児童会館のような設備を、各スポーツセンターに入れてほしいなあなんて思います。
赤ん坊は20年後には納税者になってくれるし、幼稚園児はだいたい15年後には納税者になってくれる。
冷徹なビジネスライクな見方をしてさえ、子供を大切にするのは大きな得。
その上に、お金では得られないものもある。
にもかかわらず未来への投資を理解できない人たちがいて、子供を育てる親にどんどん負担が行っている。
実にさもしい社会だと思います。