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親子無理心中 逮捕の三女が生活保護申請
11月24日 17時05分

親子無理心中 逮捕の三女が生活保護申請
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22日、埼玉県の利根川で認知症の症状がある母親と病気の父親を車に乗せて無理心中を図ったとして、47歳の三女が逮捕された事件で、三女が事件の前、生活苦を訴えて市に生活保護の申請をしていたことが関係者への取材で分かりました。警察は、行政に支援を求めながら事件に至ったいきさつを詳しく調べています。
22日、埼玉県の深谷市から熊谷市にかけての利根川で、深谷市の藤田慶秀さん(74)と妻のヨキさん(81)が死亡しているのが見つかり、三女で無職の波方敦子容疑者(47)が両親を車に乗せたまま川に入り無理心中を図ったとして、殺人と自殺ほう助の疑いで逮捕されました。
警察の調べによりますと一家は3人暮らしで、ヨキさんには認知症の症状があり、敦子容疑者が介護をしていたということです。また、父親の慶秀さんは今月、病気のため新聞配達の仕事を辞め、一家の収入がなくなったということです。
その後の関係者への取材で、敦子容疑者が今月17日、生活苦のため深谷市に生活保護を申請し、2日後には市の職員が自宅を訪れるなどの対応をしていたことが分かりました。また、今月2日には市にヨキさんの介護サービスを受けるための申請をしていたということです。
警察は、行政に支援を求めながらなぜ事件に至ったのか、いきさつを詳しく調べています。

家族を知る人は

亡くなった藤田さん夫婦の自宅の近くに住む70代の女性は、「とてもほほえましい家族で、母親を支えながら自宅周辺を散歩する父親と娘の姿を見かけることがあった。介護が大変な状況だったが、娘さんが献身的に母親を見ている様子で、声をかけるといつも明るく『大丈夫です』と話していた。家庭の外からは見えない認知症の介護もあるので、子どもが同居しているから助けが不要だとは言えない。近所に住んでいながら支えられなかったのが悔やまれる」と涙を浮かべて話していました。

慶秀さんが今月半ばまで働いていた熊谷市内の新聞販売所の坂井正美所長は、「何十年も働いてくれてまじめで明るい方だった。奥さんの認知症は日に日に悪くなったようで『寝られないし大変だ』と話していた。しかし、『自分が最後まで面倒を見る』と言い、サポートを受けるつもりはなく、介護を生きがいにしているようだった。自分の体も動かなくなり仕事もついに『無理だ』と辞めてしまったので、今後の介護のことなどを考え心が折れてしまったのではないか。残念でならない」と話していました。

一家が住む地区で自治会長を務める清水幸男(77)さんは数年前、三女から「自治会費を払えないので自治会から抜けさせてほしい」という申し出を受け、了承したということです。清水さんは「自治会を抜けると市の広報なども届かなくなり、孤立しがちになるが、家庭の事情もあるようだったので、こちらから積極的に介入できなかった」と話していました。また、今回の事件を受けて、「これからは地元とのつながりを保つために自治会で何ができるか対策を考える必要がある」と話していました。

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