モクメダマスカス②
- 2014/01/28
- 20:07
前回、「次回は制作中の小物をご紹介」と宣言いたしましたが…その小物の制作が遅延しております!ついでにブログの更新間隔も開いてまいりました。
実は小物よりも優先して制作していた大型ナイフ二本、その鞘が難航中です。
現状のデザインでは鞘に収めた際の刀身の固定、抜き差しに問題があり、このまま作業を進めるわけには行かなくなりました。
そしてあれこれと悩んだ結果、柄と鞘の境目の金具のデザインを見直す事にしました。
以前制作した一号は奇跡的にうまくいったですが、二度目のミラクルは起こらず…
あれこれもたついていたことと、デザイン変更に伴って増えた行程により、また完成が遠のきそうです…3月になる予感。
しかしその分良いものを完成させます!
というわけでこれといった画像のない今回は、生存報告を兼ねまして、すっかり続きを忘れていました「モクメダマスカス」の記事の続編を掲載させていただこうと思います。
今回は板をくっつけて塊にする行程をご紹介します。
前回「モクメダマスカス①」の最初の画像の板たちです。
かなり前の記事ですが御記憶でしょうか?
これらの板は、銅、真鍮、洋白の板を鉄工所で45mm×90mmのサイズに切りそろえてもらったものです。厚みはそれぞれの素材に0.5mm、1.0mm、1.5mmの3種類あります。
実はずいぶん前に購入してそのまま置いてあったモノです。そのため表面が変色していたりゴミがついていたりしました。ゴミなどを噛んでいると、磨いたときに傷になって出てきてしまいます。
板のクリーニングから作業が始まりました。
銅合金は硫酸で洗浄するときれいにできるのですが、当時はまだその設備が無く…一枚一枚たわしで磨くことに。
結構大変です。
きれいにした板を好みの縞々になるように重ねます。今回は銅と洋白の紅白の縞々、真鍮と洋白の金銀の縞々、三種三色の縞々の三つを制作します。
画像のように板を隙間なく重ね、圧力をかけながら高温にしてしばらく保持すると、鋼の鍛接でも起きる「拡散」なる現象が作用してくっつくそうです。
僕の場合は鉄板で重ねた板を挟み込み、それを万力で締めあげたまま鉄で囲んで溶接し、そのまま電気炉に投入します。
鉄よりも、銅や真ちゅうのほうが1・5倍くらい膨張するそうでして、その膨張率の差を利用して加熱時に圧力をかけています。この時締め上げるのは、板同士を密着させるためです。
ちなみに鉄板は使い捨てです。
頻繁に木目金を作る方は、耐熱ステンレス板で塊を挟み、さらにそれを耐熱ステンレスボルトで締めあげ、それを炉に突っ込んで加熱するという方法を用いるそうです。
しかし鉄は大量にありますし、ステンレスは高いですし、たまにしか作らないし…という理由で毎回この方法でくっつけています。
鉄の枠を熔接したら、いよいよ加熱します。
以前は加熱にコークス炉を使っていましたが、最近は電気炉があるのでこちらを利用しています。
今回は炉の温度調節器の設定が730度になっていましたので、その温度で加熱しました。
うろ覚えですが大体こんな温度でよかったような…
この接合方法には「温度」「圧力」「時間」が必要だそうです。炉に投入して設定温度に到達後、一時間保持します。
加熱して取り出したものがこちらです。鋼同士の鍛接とは違い、ハンマーで叩かなくても、この時点でちゃんとくっついています。
冷めたら鉄枠を取り外します。
大抵はすぽっと抜けますが、今回は鉄枠のアーク熔接の際に飛び散った鉄やフラックスがこびりついたものがあり、がつがつ叩いて抜く羽目になりました。
以前は、職場にあった、少しきれいに溶接できるCO2溶接機を使っていましたので、アーク溶接で組み立てたのは今回が初体験でした。
はずすのに苦労しましたので、次回からは注意が必要です。
完成した塊です。どうやら無事くっついているように見えます。
特にドラマチックな行程もなく、淡々と完成しました。結構簡単です。それゆえにあまり楽しい作業ではありませんので、ストックが無くなるまではやらない作業です。
今回は三つで4.5キロ弱、しばらく困らない量ができました。
とはいえ、伸ばした時の端っこを取ったり、模様をつけるために削ったりしますので、最終的出来る板はずいぶん減ります。お財布と地球にやさしくない技法です。
ここから、叩きのばして、目的に応じた模様をつけていきます。
…が、週末のショウに向けて、ブレイドの模様を観賞できるように仮仕上げ中です。
日々の作業予定が立て込んでまいりましたので、続きはまたの機会に同タイトルの記事でご紹介いたします。
今回はこのあたりで、失礼いたします。