(このネタは2008年1月1日に書いたものです)
『プロレススーパースター列伝』は実在のプロレスラーの伝記漫画。
原作は梶原一騎、作画は原田久仁信。
週刊少年サンデーで1980年から1983年まで連載された男くささ爆発の作品である。
全17巻で紹介されたレスラーは、
・アブドーラ・ザ・ブッチャー
・スタン・ハンセン
・ドリー・ファンクJr&テリー・ファンク
・ミル・マスカラス
・タイガー・ジェット・シン
・アンドレ・ザ・ジャイアント
・ジャイアント馬場&アントニオ猪木
・タイガーマスク
・ハルク・ホーガン
・ブルーザー・ブロディ
・リック・フレアー
・ザ・グレート・カブキ
・カール・ゴッチ
梶原先生独特の「うさんくさい大げさなエピソード」が素晴らしい世界観を生み出している。
ツッコミどころ満載のこの作品は、マニアックな男同士が酒を飲む際の絶好の肴でもある!
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とにもかくにも「列伝」のセリフは心に残る!
読んだ後はしばらく、その独特の口調が脳裏から離れないほど。
では早速「列伝・名セリフかるた」行ってみましょう!
<あ>「アップルジュースをおごるから、口をあけな!」
アイアン・クローが必殺技の「鉄の爪」ことフリッツ・フォン・エリック。
「リンゴを握力で潰す事が出来る」というエピソードをこういう大げさな演出で紹介!
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<い>「いいやつタイガーマスク!」
梶原先生がリング上でブラックタイガーに襲われそうになった…!
そのピンチを助けてくれたタイガーマスクを梶原先生が「いいやつ」と絶賛!
ちなみにホンモノの梶原先生はもっともっとコワモテです。
「タイガーマスク編」ではとにかく必要以上にタイガーの優しさが強調される。
当時、スーパーヒーローだったタイガーゆえにカッコ良く描かれまくってる。
まさかタイガーが甘い物大好きで太ったり、
キレやすい性格だったり、巡業先でノゾキをしていたり、
そんな事を笑いながら告白するとは思わなかったぜ!
(でも、だからこそ佐山さんはステキ〜)
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<う>「ウホッ!お、おれに声をかけてくれッ!」
若き日のスタン・ハンセンの心の叫び!
師匠のファンクス(ドリー&テリー)が「腹がいっぱいだから(ステーキを)残そう!」
「これはいい肉だからもったいない。弟子にやろう。」という会話をしている。
それを聞いたハンセンが「おれに声をかけてくれ!」と、
空腹のおなかをグ〜グ〜鳴らしながら祈る!
結局ファンクスはそのステーキを犬にプレゼント!大きくズッコけるハンセン。
「おれはあの時つくづく犬になりてえと思ったぜ、ツルタ」と、
ジャンボ鶴田に回想する際のこのセリフもたまらん。
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<え>「永遠の恋人なのかな?」
ニヤリと笑う希代の悪役レスラー、タイガー・ジェット・シン!
カメラ目線で思いっきり語りまくり。
猪木は憎たらしいがいつまで経っても追いかけたい最高の敵。
そんなアントンへの愛のある一言だ!
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<お>「おまえはイノキじゃなく、インキと改名せえーい!」
弟子の猪木に対し、超厳しかった力道山先生!
執拗なまでのしごき、いじめ、差別待遇!その際に放った強烈なセリフ。
「〜せえーい!」ってのは力道山の口調として多用されるが、
他の梶原作品にもいっぱい登場する名口調の一つである。
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<か>「ガーンといけえ、カーン(本名 小沢正志)!」
キラー・カーンに対し、仲間のこの一言。ダ、ダジャレ…!
でもこのセリフで最も気になるのは、わざわざカッコを付けて書いてある本名!
キラー・カーンを見るたびにこのセリフがよみがえってまいります…。
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<き>「昨日の敵は今日の友!」
いがみ合っていたアンドレとダスティ・ローデス!
でも激闘の末に意気投合!コンビを組んで盟友となったというシーン。
オープンカーでドライブするかフツー!?そしてこの食事シーン!!
『列伝』に登場するレスラーの食事シーンはほとんどが「ステーキ」!
いつもナイフをカチャカチャ言わせながらステーキを食いまくる!
…男である!梶原先生の好物が如実にわかる!
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<く>「グフフッ…はずかしがる女の子のパンティをぬがすみたいで、おもちろ〜い」
オチャメなブッチャーの一言!!
試合に負けた覆面レスラーの正体を暴く際の名台詞だ。
「おもちろ〜い」と、自分も言ってみたいぜ!
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<け>「ゲラーアウト!!」
白覆面の魔王ことザ・デストロイヤーの怒り爆発!
プロレス記者へ言い放ったセリフ。
この作品に出てくるプロレス記者は常に貪欲。
控え室まで追いかけるわキツイ事を質問するわ…。
そのガチンコ精神っぷりに泣けてくる!
「プロレスはガチンコスポーツである!」という世界観で貫かれているこの作品。
それゆえにツッコミどころは満載だ。
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<こ>「こいつを4の字固めという!感想はどうだな、ブラジルの山ザル?」
ヒドイ!新弟子時代のアントニオ猪木の徹底したシゴかれっぷりに涙!
先輩レスラー、ユセフ・トルコの顔も鬼だぜ!
後に東映映画「日本の首領 野望篇」でガルダネソス共和国大統領役をやっちゃうトルコ。
猪木とも確執が生まれ、改善はされぬまま…。
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<さ>「サイン入りブロマイドをもってきなさい。」
メキシコの英雄、エル・サント!
あのミル・マスカラスが少年時代に憧れていたレスラーだ。
エル・サントの家をのぞきに行くと、超豪邸!!
サントは少年たちを家に招き入れる。
もちろん家でもマスク着用&常にトレーニング!
レスラー幻想が否が上にも強まるワンシーンだ。
しかも「この子たちに冷たい飲み物とサイン入りブロマイドを持ってきなさい」という、
超スター的発言!ほぼマイケル・ジャクソンカッコイイ!さすが聖者でございます。
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<し>「私生活でも、現在の妻である女優・倍賞美津子との恋がはじまって…ウフフ!」
アントンのノロケ!「ウフフ!」ってアンタ…!
この作品は何と言っても「アントニオ猪木・談」という猪木のコメントが売りである。
リアルな伝記であるように思えるが…、実はほとんどが梶原一騎の創作!
実際には猪木さんはほとんどこの作品に関わってないそうです…。
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<す>「素顔はどうせブス男だろうぜ!」
噛み付き攻撃で一世を風靡したフレッド・ブラッシー!
力道山時代の日本のテレビ草創期には、
テレビを見ていた老人がショック死する事件も起きたほどショッキングな悪役レスラーだ。
そんなブラッシーがマスカラスのマスクを噛みちぎって一言。
「ブス男」という表現がグー!
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<せ>「精根つきて完全フォールだ」
プロレス界の鉄人こと最強ルー・テーズ!
そんな彼も妻との離婚には精神ボロボロ。
強がって微笑しつつ涙。わざわざ心境をプロレスに例えるテーズの男気!
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<そ>「それともカール・ゴッチは、超大物ではないかな?」
新日本プロレスを設立した猪木。
だが出来立てホヤホヤの弱小団体には外国人選手が来日してくれなかった…。
そんな中「プロレスの神様」と呼ばれたゴッチが愛弟子アントンのために一肌脱いだ!
自分の事を「超大物」と言っちゃうゴッチさんに燃え!
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<た>「ダラ幹(だらけた幹部)」
『列伝』史上、屈指の名ワード、「ダラ幹」!!
力道山亡き後の日本プロレス。だらけた幹部たちはそのドンブリ勘定っぷりで、
金を私利私欲のために使いまくった、との事。
この作品には「金に狂う悪人」(特にプロモーター)もいっぱい出てくるぞ!
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<ち>「血のしたたるステーキ」
これもまた『列伝』の名ワードの一つ。
プライベートでもついつい使用してしまう!!
試合で負けそうになるブッチャーは、
「血のしたたるステーキを食いたい!」というハングリー精神で相手に勝つのだ。
まさに野獣!!きっと梶原先生にとっても大好物なのだろう!
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<つ>「強くなりたかったら首をきたえろ!」
カール・ゴッチの教えである!
多くのレスラー志望者たちがこの漫画を読んで参考にした事であろう…。
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<て>「デラックスな生活をしてえなあ」
若き日のハンセンが師匠のファンクスの生活を指して言った一言。
あこがれますなあ〜「デラックスな生活」!
色んな場面で使いたい形容詞でございます!
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<と>「ドリーさんは、血のしたたるようなステーキと極上ワイン」
ジャンボ鶴田が若手時代を回想してハンセンに語っております。
そしてまたしても登場の「血のしたたるステーキ」!!
レスラーの食事は常にステーキ&ワインです。
これが彼らのデラックスな生活なのだ!!
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<な>「涙のしょっぱい味つけでパンを食った人間」
一方、若手レスラーのハンセンはデラックスな生活とは程遠い食事だ。
男のパンは、涙の味!…嗚呼、何て切ない調味料!
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<に>「20ドルで5ドルのリングサイドに入り、残りはコーラでも買いたまえ」
エル・サントに憧れを持つマスカラスのスター的発言!!
こうした「ふとっぱらアピール」もまた梶原イズム。
少年たちには優しいマスカラスの男気に乾杯だ。
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<ぬ>「ヌオッ!!」
レスラーが登場する際の不気味さ&ド迫力の擬音。「ヌオッ!」
つーか <ぬ> はコレくらいしか見つからなかった…。
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<ね>「眠りなッ!化物!!」
ハルク・ホーガンのかっちょいい一言!必殺技アックスボンバーが唸る!
このワザの開発秘話も実に大げさに語られているぞ。
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<の>「飲みほしたる!」
アンドレ・ザ・ジャイアント絶叫!
「このホテルにあるビールをぜーんぶ飲みほしたる!!」
男なら一度は言ってみたい名言である!!
でもあまりにも激しい飲み食い…。アンドレの体が心配になる一言!
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<は>「は、恥ずかしい!穴があったら入りたいほど!!」
この体言止め口調が梶原一騎の真骨頂だ。
アメリカ遠征で恥ずかしい格好をさせられた馬場さんの叫び!
いつも恥ずかしい〜経験をした時には、
このセリフを心の中で絶叫する自分がおります!
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<ひ>「ひどく痛むか、テリー?」
またしてもステーキを食ってるドリーさん。どんだけ食ってんだ!?
札幌中島体育センターでブッチャーと対戦し、
フォークで左腕をメッタ刺しにされたテリー。
その夜ホテルでステーキを食ってるドリー&テリー。
左腕を故障してるのにステーキを食ってるテリー。
そんなテリーを、ステーキ食いながら心配するドリー。
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<ふ>「覆面レスラーでよかった、赤くなってる顔を見られなくて…」
映画出演のオファーが来たマスカラス。
メキシコの美人女優と共演。シャイな一面を告白!
しかもこの映画、マジで存在する!
でも実はB級アクション映画だったりする…。
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<へ>「弁償は新日本プロレスでやってくれる」
腕相撲ゲームを圧倒的な腕力で破壊したハルク・ホーガン。
そんなホーガンにハンセンが一言。
「プロレスラーのパワーを宣伝したんだから新日本プロレスが宣伝してくれるさ」
…なんて適当な意見!最高だ。
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<ほ>「ホームタウン・デシジョン」
アウェイの場所で相手に有利なジャッジをされるアントン!
ワールド・ベースボール・クラシックにおけるあのアメリカ寄りのジャッジを見た時には、
思わず「ひどいホームタウン・デシジョン!」と叫んでしまった!
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<ま>「まあ、火の酒テキーラをどうぞ」
メキシコでプロレス記者から接待を受けるアントン&藤波。
テキーラ=火の酒!
この図式は我が脳に完全に刻み込まれた。
自分の中では「火の酒テキーラ」で一つの単語である!
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<み>「みなさん、これはケンカじゃないッ、一方的な暴力だ!!」
タイガー・ジェット・シンに襲われつつも、
「猪木は個人的ケンカなどしない男」だと道行く人々にアピールするアントン!
コレはプロレス史に残る名アングル「新宿伊勢丹前襲撃事件」である!
倍賞美津子と買い物中にシンに襲われるアントン。
新宿に行った時…。そこで「伊勢丹」という文字を見た時…。
この事件の事しかアタマに浮かばなかった自分の哀しさに乾杯!
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<む>「むなしい毎日を送るモンスター」
若手時代のアンドレ。モンスター・ロシモフというリングネームで、
見世物的な試合をさせられむなしい毎日を送っていた…。
つーか。
人間をゴミのように片手で投げ飛ばしてる、この絵がスゴ過ぎ!!
「列伝」は原田久仁信先生のセンスがあってこその名作なのだ。
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<め>「メキシコ映画界一のスーパースター」
メキシコプロレス界の英雄、エル・サント!
そんな彼は映画界でもスーパースター!!
っていう大げさな描かれっぷりだが、
どうやら、これまたB級映画だったらしい…。
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<も>「も…、もうプロ野球は…、断念するしかないッ…」
プロ野球選手だったジャイアント馬場。
風呂場で転倒し右腕から大流血!
そこでこの一言!「もうプロ野球は断念するしかない!」
…転んだ瞬間にいきなり決意!?
電気グルーヴのオールナイトでもネタになった、
超有名な『列伝』を語る上で欠かせない名シーンである。
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<や>「やつは世の中で金(マネー)しか信用しない主義」
レスラー仲間がブッチャーを評して。
それもまた…、男!
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<ゆ>「ユーにかぎって無料にしよう」
一方、神様カール・ゴッチは金にこだわらない!
若手時代のタイガーマスクへ温情を見せるゴッチ。
これもまた…、男!
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<よ>「余興レスリング」
ドリーとテリーを育て上げた父、ドリー・ファンク・シニア。
シニアはパーティーの際、ノリノリで招待客相手に「余興レスリング」を披露!
だがそのせいで体調に異変をきたしてしまう…。
つーか「余興レスリング」っていう言葉の響きがおもろいわ。
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<ら>「ランチをおごっただけで、わたし(梶原一騎)にしみじみ語ってくれた」
ブッチャー!金しか信用しない主義のブッチャー!
血のしたたるステーキが大好物のブッチャー!
彼は「カラテ」にも興味があった!
そしてもちろん「ランチ=ステーキ」!!!!
昼間っから血のしたたるステーキかよ…。
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<り>「力道山のナゾの差別待遇」
力道山先生は馬場には優しく接したが、猪木には厳しくしまくった。
靴ベラで顔をブン殴ったり、とにもかくにもヒドイ!!
この作品では「猪木を育てるために、あえて」そのようなシゴキをしたと書かれている。
力道山が猪木に「よくぞ耐えた」と謝っているが、実際にはそういう事は無かったらしい…。
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<る>「ルール無用のケンカの方が、地上の誰にも負けぬ自信がある!」
…そこまで言い切っちゃう!?
サスガアントンだぜ〜〜。
つーか梶原一騎先生の誇張なんですけどね…。
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<れ>「レスラーのサインは拳銃サイン」
サインというのは、指のカタチの事である。
タイガーマスクの人差し指を掲げるポーズと、
ホーガンの「イチバーン!」という人差し指ポーズを見て、
「なぜ人差し指なのか?」と不思議に思うプロレス記者。
その理由を聞いたらブッチャーはこう答えてくれた。
「シュート(真剣勝負)を意味するサインだ」と…。
う〜ん、なんて大げさ!
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<ろ>「ロックミュージシャン出身である!」
ホーガンは元々、ミュージシャンだったらしい!
メチャクチャ売れっ子だったように描くこのセンスがたまらんぜ!
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<わ>「ワン・モア(おかわり)!」
ハンセン&ホーガンが男らしく乾杯し、男らしくビールを飲み交わす!
異常な程の男くささが爆発するこのシーン。
ビールをおかわりする時には絶対に言い放ちたいセリフ!
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<を>「先生ッ…、なんたる無茶を!」
<を>は印象的な語尾で選びました。
この「なんたる〜」と言った武士口調も梶原イズムだ。
これまたついつい口に出しちゃう名台詞!
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<ん>「花王石鹸」
<ん>も、語尾からムリヤリ選出。せっけんの「ん」!
アントンのニックネームが「花王石鹸」である事を、
読者にバラしてしまうグレート・カブキの無邪気な一言!
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