東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。
黄金伝説展開催中 10/16-1/11 【動画】古代地中海世界の秘宝 国立西洋美術館で「黄金伝説展」

トップ > 社説・コラム > 私説・論説室から > 記事

ここから本文

【私説・論説室から】

自衛隊が進める「青田買い」

 防衛省は自衛官募集の窓口である全国五十カ所の地方協力本部に対し、中学生本人に陸上自衛隊高等工科学校(神奈川県横須賀市)への入学を勧めるダイレクトメール(DM)を送付することを禁止している。工科学校は将来の陸曹を養成する陸自への近道。募集は中学生本人ではなく、保護者か教師に行うよう次官通達で定めているが、昨年、滋賀地方協力本部が中学二年生にDMを送っていたことが分かり、問題になった。

 先月、日本の最西端にある与那国島を訪れたときのことだ。町役場の入り口に工科学校のオープンキャンパスが与那国中学で開催されるとのポスターがあった。対象者は「中学三年生および父母」とある。DMはダメでも説明会ならよいのだろうか。

 防衛省は与那国島を含む先島諸島への陸上自衛隊配備を進め、地元出身者の採用を計画している。工科学校への勧誘は「青田買い」といえるだろう。

 また、文部科学省に協力して「総合的な学習の時間」と称し、体験入隊や防衛・防災講話を全国で行っている。二〇一三年度、中学生を対象に二千六百一回開かれ、二万六千三百十七人が参加。小学生も対象となり、百五十回で五千五百八十四人の児童が参加した。

 「教育」の看板こそ掲げてはいるが、将来の入隊者獲得につなげることが狙い。全国規模で「青田買い」が進んでいる。(半田滋)

 

この記事を印刷する

PR情報