制限なく記事をお読みいただく方法はこちら

訃報:毛利甚八さん 57歳=漫画「家栽の人」原作者

毎日新聞 2015年11月23日 18時34分(最終更新 11月23日 19時12分)

毛利甚八さん
毛利甚八さん

 家庭裁判所判事を主人公にした漫画「家栽の人」の原作者として知られる作家の毛利甚八(もうり・じんぱち<本名・毛利卓哉=もうり・たくや>)さんが21日、食道がんのため大分県豊後高田市の自宅で亡くなった。57歳。葬儀は近親者で営んだ。

 1958年、長崎県佐世保市生まれ。日大芸術学部を卒業後にライターとなり、87〜96年にビッグコミックオリジナルに連載された「家栽の人」の原作を担当。植物好きの家裁判事が少年事件の解決と更生に取り組む姿が共感を呼び、テレビドラマ化もされた。

 ルポライターとして民俗学者、宮本常一の足跡を追う一方、2001年に豊後高田市に移住。篤志面接委員として地元の少年院でウクレレを教えながら、毎日新聞で少年問題に関する「さかさメガネ子ども論」や「育ち直しの歌」(西部本社版)などのエッセーを連載。少年事件の厳罰化の流れに反対し、少年院などを通した更生の可能性を発信し続けた。

 12年10月から今年4月までサンデー毎日に掲載された、商店街を舞台にした漫画「のぞみ」の原作も担当。今年10月には、故郷の佐世保市で昨年7月に起こった高1同級生殺害事件に関する著書「『家栽の人』から君への遺言」を出版し、末期がんにかかっていることを明かしていた。

最新写真特集