野球の国際大会「プレミア12」で優勝し、韓国野球の名を世界にとどろかせた代表選手28人は、決勝の米国戦が終了後、静かにグラウンドに集まった。そして、一列に整列し、脱帽して観衆に頭を下げ、準優勝の米国にも大きな拍手を送った。
21日に東京ドームで行われた決勝を8-0で制した韓国代表は静かに勝利の瞬間を迎えた。金寅植(キム・インシク)監督を胴上げしたのが唯一の祝賀セレモニーだった。選手は記念撮影をし、優勝の瞬間を過ごした。賞金として100万ドル(約1億2300万円)を受け取った。
韓国代表は本来、韓国国旗の太極旗をマウンドに立てる「儀式」を準備していた。五輪やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などの国際大会で勝利した際の恒例だった。だが、今回は違った。一部ファンは「共同主催国の日本の顔色をうかがったのか」「国際大会で優勝したチームや選手ならば、大半が国旗によるセレモニーをするのに」と不満を漏らした。しかし、主将の鄭根宇(チョン・グンウ=ハンファ)は「決勝で対戦した米国だけでなく、準決勝で韓国に負けて悔しい思いをしている日本のファンのことも考え、太極旗セレモニーは自粛した」と説明した。
今年初めて開催されたプレミア12は、未熟な大会運営に不満が集中した。予選終了後に準々決勝の開始時間、場所を通知されるという理解不能の出来事も起きた。共同主催国である日本の試合ばかりを夜に組むという優遇を行い、公平性の問題も指摘された。ホスト局のテレビ朝日は日本が準決勝で敗退すると、決勝戦の生中継を取りやめた。
韓国代表は最後までマナーを守り、王者の品格で大会を締めくくった。金寅植監督の配慮も目に付いた。金監督は日本との準決勝に勝利した後、日本の先発・大谷翔平(日本ハム)の交代が早すぎたのではないかとする取材陣の質問に「それは私が答えるべき問題ではない。小久保裕紀監督が全勝優勝していれば、むしろ監督生活をする上で毒になるかもしれない。今回の敗北をうまく克服すれば、今後よりよりリーダーになれる」とエールを送った。
韓国に負けるたびに憤ってきた日本の野球ファンの反応も変わった。日本のインターネットサイトには「敗者に配慮する立派なチームだ」「これまで韓国代表には敵意を抱いていたが、今大会の韓国代表は控えめで格好良かった」といった好評が相次いだ。