武田2度目栄冠 平原の捲りをG前かわす 小倉競輪祭
小倉競輪(北九州メディアドーム)で熱戦を繰り広げたG1「第57回競輪祭」(優勝賞金2890万円)は23日、最終11Rで決勝戦があり、武田豊樹(茨城)が、2角捲りを決めた平原康多(埼玉)をゴール寸前でかわして優勝した。武田のG1制覇は、今年6月の宮杯以来、通算7度目。競輪祭Vは3年ぶり2度目。平原が2着で、武田に離れながらも懸命に踏んだ池田憲昭(香川)が3着に入った。シリーズの車券売上額は93億1308万円(目標105億円)だった。
■ヒーロー
第57代の競輪王を決める大一番は、まさに歴史に残る激闘だった。ゴール前、平原の2角捲りをキッチリと逆転した武田豊樹だったが「本当にきつくて、レースのことはあまり覚えていない」と、顔をゆがめながら話した。
「最初の勝負どころだった赤板すぎからの突っ張り先行。村上(義弘)君は本当にすごかった」。下馬評では、昨年大会のお返しで“武田絶好”というムードで包まれていた。確かに武田が、平原に乗って3年ぶりのV。結果だけを見れば“やっぱり”だが、新鋭・竹内を出させずに村上義が主導権を握る展開を、どれだけの人が推理しただろうか。それほどまでにタイトルを懸けたG1決勝戦は、一筋縄ではいかないものだ。
想定になかったレース展開の中、やっぱり頼れるのは最高・最強の底力を持つ平原だった。「小倉バンクの重たいところで(外の浅井から)締め込まれて、さらに(稲川に)すくわれたところからの捲り。本当に強かった。自分はもう脚が残っていなくて、とにかく必死に2着をと思って踏んでいたら最後、伸びていました」。
2015年は、昨年のグランプリ(GP)覇者としてチャンピオンユニホームを着て戦った。「ギア規制があり、自力選手として走るにはプレッシャーが強かった。思ったように走れなかった時期もありましたね」。大きな変化にとまどったが、これまで培ってきたキャリアを生かして、G1 2冠で締めくくった。
さあ、あと1カ月で最終決戦がやってくる。「競輪祭はGP前、最後のG1なのでとても大切な大会と思って優勝を目指してきた。この気持ちが、きっとGPにつながっていくはず」というと、さらに力を込めてこう言った。「関東は(武田、平原、神山雄一郎の)3車もいますからね。今年はGPが岸和田から京王閣に来るので、関東の代表として頑張ります」。史上2人目のGP連覇(02、03年に山田裕仁が達成)へ、グッと気持ちを高めていく。 (森川)
◆武田豊樹(たけだ・とよき)1974年1月9日生まれ、北海道斜里町出身、41歳。2002年ソルトレークシティー冬季五輪スピードスケート8位入賞。88期で03年7月デビュー。通算成績は930走で371勝、優勝68回(GP1回、G17回、G27回)。通算取得賞金は12億7850万2758円。177センチ、90キロ、血液型O、師匠は川村恵三(20期、引退)。
■決勝戦VTR
渡辺、竹内-浅井、平原-武田-池田、村上義-村上博-稲川で周回。村上義が鐘前に先頭に立ち、竹内のカマシに猛然と突っ張る。内を突いた平原が3番手を奪うが、武田が連結を外してしまう。稲川がすくって平原をどかすが、平原がそのまま2角捲りで前団を粉砕。平原に付け直した武田が、G寸前でかわした。
■戦い終わって
平原康(2着)どこから仕掛けてもGまで踏み切る脚をつけないと。ただ、7月にケガ(右手首骨折)をして以降、やってきたことが間違いではなかった。
池田憲(3着)それほど緊張せずに臨めた。離れたが、その後にリカバリーができて良かった。
渡辺一(4着)初手で中団を取ったラインの後ろにいたかった。飛び付き含みに武田さんの後ろを狙ってもよかったかな。
浅井康(5着)ある程度は読み通りの展開。稲川君のところへ突っ込みたかったが、池田さんとぶつかった。GPへ向けてまだやることはたくさんある。しっかり修正したい。
村上博(6着)最後は脚がいっぱい。現状を考えると決勝に乗れたのはうれしいが、まだ勝負できる段階になかった。
村上義(7着・GP決定)流れの中でああいうレース(先行)になった。ラインの全員にチャンスがあるように頑張ったが、関東勢の強さが一枚も二枚も上だった。(GP出場は)G1を優勝して乗れないのは悔しいが、1年の積み重ねの結果だと思う。
稲川翔(8着)悔しい。村上義さんがあれだけのレースをしてくれたのに…。また頑張ります。
竹内雄(9着)自分が甘い。もっと自分主体で動かないと。位置取りも含め、もっといろいろなことをやっていかないとダメ。もっと練習します。
=2015/11/24付 西日本スポーツ=