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 パリ同時多発テロの実行犯が潜伏するとされるベルギー。新たなテロを懸念する政府は、週明けの23日も首都ブリュッセルで最高レベルの警戒態勢を続けた。平日にもかかわらず地下鉄や学校は閉鎖され、欧州連合(EU)の本拠地は異様な空気に包まれた。

 欧州旗がはためくEU本部前は23日朝、物々しい雰囲気が漂っていた。迷彩服の軍人らが2人1組で警戒に当たる。EUの関連機関や大使館が集中する周辺は、普段は外交官やEU職員が行き交うが、人影はまばら。厳戒態勢が維持されたため、EUはユーロ圏財務相会合など重要度の高いものを除いて会議を延期した。

 出勤したEU職員のポール・ジェディさん(48)は「警備が厳しいのは安心だが、テロの危険が高いなら喜ばしいことではない。今日は早めに帰宅して家族と過ごしたい」と話した。

 市民生活にも影響が出ている。地下鉄全線の閉鎖が続き、バスや一部の路面電車だけが運行。客足が見込めず、一部の百貨店は自主的に休業した。

 政府の勧告を受け、市内の小中学校など教育機関は休校した。日本人学校も22日夜、保護者に休校を伝えた。社員に自宅待機を求めた企業もあるようだが、トヨタ自動車や三井物産など主な日系企業は通常通りに業務を行っているという。