大阪のかじ取りは再び大阪維新の会に託された。

 22日投開票された大阪ダブル選で、大阪維新幹事長の松井一郎氏が知事に再選され、大阪市長には橋下徹氏が後継とした吉村洋文氏が初当選した。

 大阪維新は5月の住民投票で否決された大阪都構想への再挑戦を公約に掲げた。だが今回の結果を、ゴーサインととらえるのは尚早だ。

 低迷する大阪は変えてほしいが、市を解体する都構想が唯一の道ではない。住民投票と選挙の相反する結果は、そういう複雑な民意の表れではないか。

 まずは都構想に反対する住民の声を聴く。松井、吉村両氏は、そこから始めるべきだ。

 前回ダブル選後の4年間、大阪は混迷を極めた。橋下、松井両氏が都構想などの改革を強引に進めたことが大きい。

 橋下氏に欠けていたのは、反対意見を尊重し、誤りがあれば柔軟に修正する姿勢だ。吉村氏は「橋下氏の修正すべき点は修正する」と約束した。今後は対話を優先し、大阪の融和を図ってもらいたい。

 橋下氏は住民投票後、「12月の市長退任で政界を引退する」と表明した。ただ、維新の党を割って新党をつくる意向を示してからは「党の法律政策顧問になりたい」と述べている。

 あいまいな立場で政治にかかわるのはやめるべきだ。首長を退いたのに府市の行政に影響力を持ち続ければ、「院政」との批判は避けられまい。

 反維新側は自民が擁立した候補を共産、民主が支援する異例の態勢で臨んだが、敗れた。国政で対立する与野党が反維新の一点で手を組むことに、理解が広がらなかった可能性がある。都構想に代わる明確なビジョンを示せなかったことも大きい。

 選挙戦では自民党幹部や閣僚も次々と大阪入りした。安倍政権とのパイプで鉄道や高速道路を整備し、大阪を浮揚させる。そうした中央頼みの訴えが、現実味のある策として受けとめられなかったのではないか。

 維新の政治に不安や不満をもつ住民が少なくないことは、選挙戦からもうかがえた。そうした声を代弁し、チェック役を果たす責任は重い。

 知事、市長選とも投票率は4年前を下回った。非難合戦で大阪の課題をめぐる議論が深まらなかったことが背景にある。多くの有権者が棄権したことを両陣営は重く受けとめてほしい。

 貧困、少子高齢化、教育、財政危機など、大阪が抱える問題は数多い。今度こそ力をあわせ、解決策を探るべきだ。