昨年冬、韓国首都圏にある児童保護専門機関の相談員は「小学生の姉妹が夜遅くにスーパーで足を引きずりながら試食コーナーを回り、空腹を満たしている」という通報を受け、警察と共に駆けつけた。
調査の結果、家出した母親を探しに行くといって父親が2週間以上も帰宅していないことが分かった。姉妹は足が凍傷にかかり、重症の姉は切断手術を受けねばならなかった。児童虐待の一種、ネグレクト(育児放棄)が招いた悲劇だった。
保健福祉部(省に相当)が「児童虐待予防の日」の19日に公表した報告書によると、韓国での児童虐待の発生件数は昨年が1万27件で初めて1万件を上回った。2001年(2105件)の3.7倍、前年(6796件)比では47.5%の増加となった。
特に、虐待を繰り返す再虐待は昨年が1027件と、08年(494件)に比べ6年で2倍以上に増えた。児童虐待の加害者の81.8%は親だった。
児童虐待件数の急増は、人々の意識の高まりや法規の強化とも関連している。昨年9月の「児童福祉法」改正、「児童虐待犯罪の処罰などに関する特例法」施行により、児童虐待を「犯罪」として厳しく対処できるようになり、国民からの通報も増えた。だが、韓国の児童虐待の実態は改善していないと専門家らは口をそろえる。
カトリック関東大国際聖母病院のキ・ソンワン教授(精神医学科)は「親から虐待を受けた経験のある人はその虐待癖を受け継いでいることが多く、子どもへの虐待を繰り返すケースも多い」と説明し「被害者の児童を保護すると同時に、加害者の親に対する治療や訓練も一段と強化すべきだ」と指摘した。
性的暴力の被害児童を支援するソウルヘバラギ(ヒマワリ)センターのウ・ギョンヒ副所長も「再発を防ぐには性的虐待の加害者を厳しく処罰するだけでなく、国が矯正・相談システムを整備する必要がある」と述べた。