くらし☆解説「3Dプリンター 悪用を防ぐには」 2015.11.20


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマはこちらです。
担当は三輪誠司解説委員です。
三輪さん、実際にここにあるのが3Dプリンターですね。
これぐらいのサイズのものがあるんですね。
三輪⇒こちら価格は5万円程度のものでして、主に家庭用で販売されています。
今、そんなに安くなったんですね。
家庭用に購入する人はどんな人ですか。
日曜大工が趣味の方ですとかデザインの勉強をしている方というのが多いようです。
どういうものを作っているかといいますと、例えば日用品や飾り物というものを自分で作るという方が多いようです。
このほか、こういったようなものを作っている人がいらっしゃいます。
ブレスレットですか。
実際につけてみてください。
きれいな色ですね。
これは、実は中の芯にあたるところだけを3Dプリンターで作るということなんです。
そこに好きな布地をくっつけてオリジナルのアクセサリーを作ることができるんです。
自分だけのものができるんですね。
今、3Dプリンターの使い方というものを中学校で教えるところもあります。
将来的には家庭用ミシンとか、または電気で動く大工道具とかそれと同じように身近なものとして家庭に入ってくるという可能性があるのではないかと思います。
一家に1台という日もそう遠くはないかもしれませんね。
今のところ製造現場でその力を発揮しています。
メリットは試作品を早く作ることができるというもので、早ければ数日間で作れてしまうというところがメリットです。
実際、試作品を目の前にしてデザインやそういうものについて話し合うことができますのでイメージしやすいということです。
最終的に完成品を作るところまでの日程を早くすることができるということで産業界に革命をもたらした機械とも言われています。
いい面もすごく3Dプリンターにありますがきょうは悪用は防げるかということでその心配もあるんですね。
去年の5月なんですけれども3Dプリンターで拳銃を作ったとして川崎市の男が逮捕されたという事件がありました。
この際、この3Dプリンターの拳銃の設計データがアメリカの団体によってインターネットで公開されていたんですがそれが使われたという事件です。
また、ことし9月なんですが別の問題も明らかになっているんです。
私が自宅で使っているスーツケースの写真です。
このスーツケースの合鍵が勝手に作られたという問題があったんです。
鍵の部分だけ大きくした写真がありますが、これはダイヤル錠の隣に赤いマークのついた鍵があるというのが見えると思います。
丸いものが鍵穴になります。
実はこの鍵同じマスターキーで開けることができる特殊な鍵なんです。
一般の人は持っていない鍵ですね。
どうやって使われているかといいますとアメリカで使われているんですが飛行機に乗るときにスーツケースを預ける際、中に危険物が入っていないかを確認するために空港では鍵を壊してでも中を開けるということがあります。
しかし、赤いマークのついた鍵を使っているスーツケースですとマスターキーを空港の職員が実は持っています。
これを使って開けてくれるということになります。
しかしことし8月なんですが、このマスターキーの写真がアメリカのメディアによってインターネット上に掲載されてしまったんです。
何者かが、この写真を元に3Dデータとして複製できる設計データを何者かが作ってしまいました。
3Dプリンターに読み込ませると合鍵を作ることができます。
今のところ、これを使って窃盗事件が起きたということは報告されていませんがその危険性はあるということです。
写真だけで実物の複製ができてしまったということですか。
そういうことです。
そういうことができるというのは3Dプリンターの技術の進歩があるからです。
3Dプリンターで物を作るときは、立体のデータが必要になります。
今は、このようなことができるんですが1枚の写真を手に入れましてそれをなぞったりするだけで3Dプリンターに使えるという立体データにできるソフトがあるんです。
このソフトは立体のデータ、インターネットで使っているさまざまな写真を使うことができます。
ネット上に公開されたいろいろな写真からコピーのものができてしまうんですね。
もう1つの技術の進歩は3Dプリンターで使える材料のことです。
今は軟らかい樹脂が主に使われていますがチタンやステンレスなど金属材料でできるものも開発されています。
さらにこれが低価格化しています。
今は1億円ぐらいするというのが主流ですが海外では400万円ぐらいにまで値段が下がっていまして今後家庭でも買えるぐらいまで落ち着いてくる可能性があります。
金属のものができると、銃ですとか鍵の複製が心配ですね。
精巧なものを作ることができる3Dプリンターを手に入れることができるとこっそりと自宅で武器を作ったりまたは合鍵を勝手に作るということができるかもしれませんもう1つ問題なのが著作権の問題なんです。
例えばゲームのキャラクターですとかアニメのキャラクターを立体の形にするフィギュアという趣味を持っている方もいらっしゃいますが今そういったフィギュアを勝手に3Dプリンターで複製してインターネットオークションで販売するという問題も起きています。
売ると罪になりますね。
著作権法違反ということになります。
アメリカでもことし2月、テレビに出てきた着ぐるみのキャラクターが勝手に複製されたという問題があります。
弁護士が設計データの削除を申し出たということが大きく報じられました。
技術が進歩してきたがためにこういう問題が出てきましたが悪用を防ぐためにはどういう対策が考えられますか。
3つあると思います。
悪用を防ぐ対策の1つは危険物などを見分ける機能を3Dプリンターにつけるということです。
日本でも大日本印刷が開発をしています。
3Dプリンターでこういう危険物や、著作権のあるものを作ろうとするとエラーが出て作ることができなくなるというソフトがあります。
これは今、コピー機などでお札を印刷しようとするとそれができなくなるという機能が多くの事務機に付いています。
それと同じような発想です。
2点目は不適切なデータの削除要請ということです。
先ほどの拳銃のようなケースは設計データがインターネットで勝手に公開されてしまうということがあったんですがそういったデータを削除していくという取り組みが出てきます。
これはサイバー犯罪や違法に公開されているさまざまなウイルスなどをそういったものを削除していくという公的なルールがあります。
それと似たようなルールを国際的に作っていくことが必要だと思います。
私たちが注意することもありますか。
それが3点目です。
写真などを安易にネットに載せないということです。
写真だけで複製されるという話ですね。
お気に入りのキーホルダーだよということで鍵の写真をもし一緒に載せてしまうと複製されてしまうかもしれないということでこれはやめましょうということになります。
特に、これまで写真や音楽などネットに載せるのを注意していたという人がいると思いますが同じようにこれに注意する時代がきています。
3Dプリンターはこれからどんどん身近になって家の中で工場と同じようなものを作れる時代がくると思います。
違法なものがどんどん作られて対策が後手に回るということがないように今のうちから対策をするための技術やルールを整備していく必要があると思います。
三輪誠司解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
自動走行車が事故を起こした場合責任はドライバー?メーカー?人工知能ロボットに人権は?ロボットと共存する社会のルールはどうあればいいのか、解説します。
担当は室山哲也解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。

(テーマ音楽)2015/11/20(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「3Dプリンター 悪用を防ぐには」[字]

NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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