(銃声)
(長谷川進)君!待ちなさい!おらあ殺すぞ!
(長谷川)ああ…!待て!待てー!
(サイレン)
(榊伊知郎)ご苦労さん。
(乾健児)犯人は1時間前左京区の路上で警官に職質され逃走の末に立てこもったようです。
犯人は拳銃を所持しています。
(土門美貴)人質となってると思われるその家の住人の写真が届きました。
(伊知郎)立てこもり犯からの接触は?電話もメールも応答なしです。
(伊知郎)取引する気がないのかねえ?
(日野和正)自暴自棄になってるんでしょうね。
(榊マリコ)かなり危険な状態ね。
(佐久間誠)参りましたね。
(佐久間)接触もなければ動きもない。
中にいる人間の正確な数と位置がわかれば突入できるんだがね。
科捜研のほうでなんかできませんか?山下包囲をもっと狭めろ。
包囲変更。
3メートル前進。
(福田孝輝)1分隊2分隊3メートル前へ。
(美貴)機動隊が動いた…。
(伊知郎)包囲を狭めてる。
(電話)
(乾)はい科捜研…。
お待ちください。
所長佐久間部長からです。
(伊知郎)代わりました。
ガラス戸に誰か…。
美貴ちゃん!
(美貴)はい。
(日野)犯人だ拳銃を持ってる!美貴ちゃん前科者リストと照合して。
日野さんはこの拳銃の照合を。
(日野)オッケー。
(伊知郎)お願いします。
対策本部が立てこもり民家の人の数と位置を知りたがってる。
わかりました。
現場に向かいます。
乾くん。
はい。
どうですか?もう少しお待ちください。
該当者出ました。
久野学傷害で前科一犯ですね。
金竜会系二見組構成員。
金竜会ってどっかと抗争中じゃなかった?
(佐久間)久野学…。
(土門薫)部長自分はこっちを当たります。
(佐久間)解析車画面左の赤いものはなんだ?「この熱源はエアコンの室外機です」右にある熱源は冷蔵庫だと思われます。
(佐久間)「じゃあ真ん中の赤いところが人間だな」はい4つの熱源が確認できます。
(ため息)
(佐久間)この部屋に4人ってことですね。
犯人1人に人質3人ってことか。
該当する銃がわかりました。
「ペトロフSP2」。
現場と対策本部に送信。
はい。
(堀添)弾は薬室にも装てんした場合9発だな。
(佐久間)しかし持ってる銃がこれだけかどうか…。
ああ予備弾を持ってる可能性もある。
本部から解析車。
(佐久間)「4つの熱源のうちどれが犯人か確認できるか?」人物に動きがあれば確認できると思いますが…。
隊長もう一度犯人に呼びかけてもらえませんか?うん。
(福田)「おい聞こえるか?久野学」「お前の素性はわかっている」「無駄な抵抗はやめてすぐに出てきなさい!」1人動きました。
犯人確認できました。
マークします。
(堀添)よし犯人が人質3人から離れた瞬間に突入する。
了解。
(山下)副隊長銃器対策班の配備は?
(福田)配備完了してます。
いつでも突入できます。
(佐久間)なかなか人質から離れないな。
突入は日々の訓練どおり。
ただし人質または隊員に…。
(山下)「危険が迫った場合は各自の判断で発砲を許可する」「犯人の身柄確保は生死を問わない」「ただし決して人質を傷つけないよう行動を求める」
(乾)あっ!犯人移動!犯人西側の部屋に移動。
よし突入だ。
総員突入!
(爆発音)
(久野)うわあ!
(銃声)
(隊員)犯人確保!
(隊員)犯人確保!
(隊員)大丈夫ですか?
(隊員)人質3名保護!
(山下)了解。
人質は…?
(山下)3名とも無事です。
よかった…。
犯人は?病院に運ばれました。
(乾)犯人の持ってた銃は?隊員が回収しました。
今頃鑑識に渡っているはずです。
わかりました。
鑑定するわよ。
(乾)はい。
(福田)東隊員どうした!?東隊員!どうした東隊員!どうした!?ああ動かさないで!機動隊1名負傷。
救急車!はい!頭を動かさないでゆっくり寝かせて。
(乾)マリコさんこれ…。
採取して鑑定。
はい。
頭の傷は深くない。
出血も少量。
脈も安定してます。
どういうことだ!わかりません。
(福田)非常線解除直後倒れている東を見つけて…。
(東貴昭)ああ…。
(福田)おいどうした東!誰にやられた?銃を…銃を奪われました…。
えっ鑑識に渡したんじゃないんですか?弾も一緒に…。
おい!誰に奪われたんだ!うるさい!まずは病院だ。
立てこもり犯は捕まったのにどうして…。
犯人がもう一人潜んでいたってことですか?
(アナウンス)「中川部長中川部長至急ナースセンターまでお越しください」ではお預かりします。
(東弘美)あの…兄は…?ああ妹さんですか?東隊員の。
はい東です。
お兄さんは大丈夫です。
頭を打ってますが軽傷です。
意識もはっきりしています。
心配ありません。
会えますか?えーと…ちょっと待ってください。
(ノック)失礼します。
東隊員の妹さんが…。
機動隊長の山下です。
兄がいつもお世話になっています。
兄に会いたいんですが…。
すいませんが現在事情聴取の最中で…。
事情聴取…?精密検査もありますから寮に帰れるのは早くて明日になると思います。
それまで申し訳ありませんが…。
わかりました。
兄をよろしくお願いします。
襲った人間は見ていない?はい…。
後ろから突然だったんで…。
しかしすごい犯人ですね。
は?屈強な機動隊員を一撃で倒すなんて。
無様です…。
ほんとに申し訳ありません。
仲がいいんですね。
お兄さんと。
え…ええ。
家族は兄だけですから。
ご両親は?両親は離婚してて一緒に暮らしていた母も私たちが高校生の頃…。
あ…ごめんなさい。
変なこと聞いて…。
いえ…。
あの…兄はなんかしたんでしょうか?え?さっき上司の方が「事情聴取」って…。
すいません。
私からは詳しいことは話せないんです。
そうですか…。
いえ他の隊員も何も見てないと…。
そうですか。
しかし一体どうやって…。
は?非常線を解いたあととはいえ部外者があの場所に近づけますか?いや可能性はあると思います。
現場は報道陣や野次馬でごった返してましたから。
しかし大失態です。
現場から銃と弾が盗まれるなんて!ここに付着していた血痕ですがDNA鑑定の結果襲われた東隊員の血液でした。
凶器確定だね。
でも残念ながら指紋は出なかった。
東隊員の装備を調べましたが指紋は出ませんでした。
じゃあ犯人手袋してたんだ。
それにしても機動隊員から銃を奪うとは…。
怖いもの知らずですよねえ。
(電話)銃と弾を奪って犯人は何をする気なんでしょうね?もしこれが犯罪に使われたら…。
わかりました。
銃殺事件発生です。
東京からの宿泊客門倉修三さん。
深夜1時頃銃声がして隣の客がホテル側に通報した。
(乾)銃創ですね。
出射痕はないわね。
弾は体内に残ってる。
火薬の痕からみて50センチ以内の距離で撃たれてる。
自分で撃ったという可能性はないか?え…?彼はこの銃を右手に握って死んでいた。
(乾)ペトロフ…。
うん。
まさか立てこもり現場から盗まれた…。
…かどうか鑑定してくれ。
(乾)取り込みました。
(銃声)
(風丘早月)終わったわよ。
はい弾丸。
腹部大動脈を損傷してた。
失血死ね。
即死ですか?うーん…数分間は息があったと思う。
(美貴)手が血液で汚れてますね。
ああパラフィンテストするんでしょ?と思ってこのままにしといた。
ありがとうございます。
恐らく手で自分の傷を押さえたんじゃないかな。
やっぱりしばらく息があったんですね。
ねえこれ見て。
人差し指の先だけ血の色が薄くなってない。
そうですね。
遺体を運ぶ時に何かに擦れたかそれとも死ぬ直前に人差し指で何かを触ったのかな?出ませんねえ。
うん…。
門倉修三さんから摘出された弾です。
口径9ミリこのペトロフの弾でした。
門倉さんが握っていたペトロフね。
はい。
線条痕を調べた結果前科がありました。
おとといここを撃った弾と一致しました。
(乾)大阪の難波興業つまり飛田組です。
あっ確か立てこもり犯は金竜会の構成員。
じゃあやっぱり飛田組と金竜会の抗争が発端だったか。
久野は大阪で暴力団の事務所を襲ったあと…。
(銃声)
(美貴)京都で警官に職質され逃げた。
待てー!
(美貴)でも逃げ切れなくなって民家に立てこもった。
その後立てこもり現場で何者かによって銃が盗まれた。
(山下)どうした!?で昨夜何者かが門倉さんを撃ち殺した。
(乾)撃ち殺した?自殺じゃないんですか?彼これ握って死んでたんですよね?
(伊知郎)美貴ちゃんこれ…。
門倉さんの両手の火薬残渣を調べたんです。
(伊知郎)結果銃を撃った痕跡はなかった。
じゃあ銃を奪った犯人がその銃で撃って門倉さんに握らせた。
でも銃についてた指紋立てこもり犯以外は門倉さんのだけでしたけど…。
だからやっぱり手袋してたんだよ犯人。
ああっ!門倉さん弓状指紋だねえ。
(乾)弓状指紋…?うんほらこのように弓なりになってる形。
ちなみに私は渦状指紋ほら。
あっ僕も渦状指紋です。
ねっ。
私もだー!ねっ。
いや日本人の半分はねこの指紋なの。
で私はね蹄状指紋ほら。
馬の蹄のような形してるでしょ?これね大体4割。
で残りの1割がさっき言った弓状指紋。
これ珍しいんだよ。
ふうーん。
マリコさんは?あ…所長と同じ蹄状指紋。
じゃあ親子だと同じタイプの指紋になるんですか?まあそういうわけじゃないんだけども指紋は遺伝の要素があるからね。
所長鑑識から結果報告あげてもらえますか?私もう一度現場に行ってきます。
(伊知郎)了解。
じゃあ…。
僕も行ってきます。
(伊知郎)うん…。
どうしたの?もう一度確認しますがあなたがここに駆けつけた時この鍵は内側からロックされていたんですね?
(係員)はい間違いありません。
開かなかったのでマスターキーを使いましたから。
あの…窓の鍵もかかっていたんですね?はい。
どうもありがとうございます。
はい失礼します。
つまり密室殺人ね。
うん…。
そういえば昨夜9時頃お隣の部屋から少し苦情が…。
ほう…。
(係員)門倉様の部屋で男女の言い争う声がしてうるさいと…。
言い争う声…。
はい。
宿泊したのは門倉さんだけですよね?はい。
門倉さんの部屋に出入りした人の記録は?そういうものは…。
一応出入り口とエレベーターに防犯カメラはございますが…。
ほう…。
ここで撃たれた。
(カメラのシャッター音)ここに倒れていた。
(カメラのシャッター音)
(カメラのシャッター音)やっぱり…。
(カメラのシャッター音)死亡する直前にこの鍵を触った。
(刑事)ちょっとすいません。
(刑事)門倉修三さんご存じですね?
(三好裕子)はい…。
どういうことでしょうか?昨夜このホテルで死体で発見されました。
突然別れを切りだされた?
(裕子)でも納得いかなくて…。
だから京都まで追ってきたの。
門倉さんはどうして京都へ?知らないわよ…。
私と別れて急に京都行くって。
わざわざ京都まで来てもめたわけか。
だって彼が変なこと言うから…!変なこと?これからは償いの人生を生きるって…。
償いの人生…。
(ため息)現場の客室から採取された指紋はこのホテルの従業員4名と宿泊者で被害者の門倉さんそして三好裕子さんのものでした。
(日野)誰?その美人。
門倉さんと内縁関係だった女性です。
現場を調べてきました。
客室の中央門倉さんはここで撃たれたようです。
それなのにドアのすぐ近くに倒れてました。
(伊知郎)どういうことだ?つまり門倉さんは撃たれたあとここからドアへ向かって歩きドアの前に倒れた。
(美貴)ドアを出てった犯人を追ったんだ。
違うと思う。
ドアの鍵に血液指紋が。
(日野)あっ弓状指紋!っていうことは被害者の指紋?そう。
被害者は撃たれたあとドアの鍵に触ったの。
まさか…被害者が自分で鍵をかけた?そう!死体が発見された時ドアの鍵は閉まってましたから門倉さんは即死じゃなかったので可能です。
密室状態にしたのは被害者自身ってこと…?でもどうしてそんなことを…。
たとえば自分を撃った犯人をかばうため…。
つまり犯人は顔見知り…。
この中で考えられるのは…三好裕子さんだ。
三好裕子には動機がある。
別れ話をされたから?門倉修三の女関係を調べたらかなり派手だった。
派手って?東京で三好裕子と内縁関係になる前名古屋で女と暮らしてて警察沙汰になっている。
警察沙汰…。
別れ話がこじれて刃傷沙汰になったらしい。
その前は大阪で心中騒ぎを起こしている。
三好裕子が別れ話のもつれで撃ったと思ってる?彼が死んだ夜彼と女が言い争う声が聞かれている。
でも…自分を撃った女性をかばって撃たれたあとわざわざ密室にするかしら…。
うん…しょせん男と女だからな。
でも彼女が機動隊員から銃を奪える?ねえずっと気になってることがあるんだけど…。
ん?東隊員は押収した銃と弾を鑑識に届けようとして途中で誰かに襲われ銃と弾を奪われたのよね?ああ。
東隊員が銃と弾を持ってるって知ってたのは誰?まあ一緒に突入した機動隊員とか…。
そうよねえ?部外者なら絶対に知り得ないわよね…。
犯人が女?ええ。
その可能性はありませんかね?すいません…わかりません。
そうですか。
でもなんで女だと思うんです?そういう人物が浮かんだので念のための確認です。
いや…でも俺ですよ?女に襲われるなんて…。
うん。
気をつけ!
(山下)東隊員!警備部長から話がある。
(貴昭)はい。
ご連絡をいただければ自分のほうから伺いました。
東貴昭くん機動隊の任を解き人事課預かりとする。
多大なご迷惑をおかけしどう謝罪すればよいか…。
本当に申し訳ありません!隊長にはせっかくチャンスをいただきながらそれを生かせず恩をあだで返し申し訳ありません。
銃と弾を奪われた時これでもう機動隊にはいられない…そう思いました。
覚悟はしてました。
でも隊長や警備部長にまで迷惑をかけて…。
そこまで思い至らなかった自分が腹立たしいです。
その隊長からチャンスをもらったと言ってましたね。
え?ああ…。
ええ。
どういうことですか?機動隊は当番制です。
ええ。
毎日事件に備えて当番の班が待機する。
立てこもりが起こった日自分は当番じゃなかったんです。
え?しかし現場にいたんですよね?ええ。
急きょ隊長が呼んでくれたんです。
山下隊長が?どうして…。
「大きな現場を経験したい」普段から俺隊長にそんなこと言ってて。
それできっと隊長が…。
それなのに俺…。
DNA鑑定の結果ドアの鍵から見つかった血液指紋ペトロフに付着していた血痕ともに門倉さんの血液でした。
やっぱり自殺に見せかけようとしてたんですね。
そうまでして犯人をかばうかねえ…。
愛していたんでしょうねえ彼女を。
ママ〜これきれい!
(乾)通報を受けて高野川から回収された弾は6発。
すべて未使用でこの…ペトロフの弾でした。
立てこもり現場から盗まれた弾だね。
犯人がホテルから逃げてそのあと捨てたんですね。
指紋は?この2つから検出できました。
一つは立てこもり犯の指紋。
そしてもう一つからはこの指紋が出ました。
前科はありません。
ああ…弓状指紋。
(乾)ええ。
でも門倉さんの指紋じゃありませんでした。
でこの弓状指紋と同じ指紋がこの手袋から検出された。
弾と一緒に見つかった手袋ですよねえ。
多分門倉さんを撃った犯人の指紋だろうね。
じゃあ犯人は門倉さんと同じ弓状指紋の持ち主。
でも…弓状指紋って珍しいんですよね。
指紋も遺伝の要素があるからね。
もしかして…。
あそこに銃弾と手袋が捨てられていました。
きっとこの橋から捨てたんでしょうね…東さん。
お兄さんを殴った凶器に血液が付着していました。
DNA鑑定の結果お兄さんの血液でした。
一方こちらは血液でスタンプされた指紋です。
市内のホテルで殺された門倉修三さんという方のものです。
ご存じですか?門倉修三さん。
いえ。
鑑定の結果血液指紋の血液も門倉さんのものでした。
この2つのDNAには親子関係がありました。
つまりお兄さんは門倉さんの息子です。
…ということはあなたも。
それで東隊員の戸籍を調べました。
あなた方は母親が死亡したあと母方の親類に養子縁組され「東」の姓となっていますね。
もとの姓は「門倉」。
昔の話です。
昔のこととはいえなぜ隠す必要があるんです?私たちを捨てた男のことなんて思い出したくないからです。
ではこちらに見覚えは?知りません。
あなたがお兄さんから渡された銃じゃないですか?知りません。
銃と一緒に奪われた銃弾です。
それと一緒にこの川に捨てられていた手袋。
この銃弾と手袋から同一人物の指紋が出ました。
お父様を撃った犯人の指紋です。
あなたの指紋と照合してみますか?
(貴昭)やめてくれ!もういい…。
すべて俺の計画です。
妹は俺にただだまされただけです。
違う…。
俺はあの男が憎かった。
だから殺した!それだけだ。
私だって憎かった…あの男が!女癖の悪いあの男のせいで母がどれほど苦労したか…。
あげくに捨てられるように離婚されて…。
それからの母は女手一つで私たちを…。
でも無理がたたって1年後母は死んでしまった。
あの男が殺したんです!あの男にあんな仕打ちをされなければ母は…!
(貴昭)親戚に預けられたあとは俺も弘美もあんな男のことなんて忘れて過ごしてきました。
でもこの前…弘美が偶然東京であの男を見かけたと連絡してきて…。
あとをつけたんです。
住んでるところを突き止めてそれで兄に相談したんです。
(弘美の声)兄は迷ってました。
でも私はどうしても…恨み言の一つでも言ってやりたくて…。
いってらっしゃい。
じゃあね。
じゃあ。
何見てんだ…。
貴昭か?ひ…弘美!?なんでここに…。
いや…っていうかどうして?ああ…母さん元気か?今の女性は?え?ああ…まあ一緒に住んでる。
入籍はしてないけどなあ…。
相変わらずなんですね。
彼女お前より若いかもな。
ふざけるな!
(弘美)お兄ちゃん!ちょっと…。
お兄ちゃん…!やめて…。
(門倉)やめろ!やめてお兄ちゃん!
(弘美の声)その時初めてあの男にはっきり殺意を抱きました。
そのあとすぐです。
兄にあの男から電話が…。
「今からでも一緒に暮らせるか」あの男は電話でそう言ったんです。
今さらどの面下げて…。
それで?お望みどおり京都に呼びました。
(貴昭)あのホテルは俺が門倉の名で予約しました。
非常口から入って階段を使えばカメラに映らない。
あの男をナイフで刺して殺すつもりでした。
(弘美)兄はそれを私に黙ってました。
でも兄があの男を京都に呼んだことを知ってすぐに兄が何をしようとしているかわかりました。
「私も一緒に…」兄にそう言いました。
でも…その前夜あの立てこもり事件が起きて…。
(貴昭)俺は急にかり出され予定が大きく狂いました。
弘美には中止しようと言ったんですが一人でもやるときかなくて…。
それで…拳銃があれば弘美でもあの男が殺せるとそう思って…。
(銃声)
(うめき声)
(貴昭)犯人を逮捕したあとすぐ犯人の銃は俺が最初に手にする。
そうすれば足のつかない銃が手に入る。
それを使えばあの男を撃った銃は永久にわからない。
でもその銃は大阪で使われていました。
(銃声)あとで知って驚きました。
でもその時は未使用の銃だと思っていて。
だから現場に妹を手引きして…。
(貴昭)使い方はわかるな?ここが安全装置だ。
(ぶつける音)あっ…!
(弘美の声)その夜あのホテルで…。
弘美…!なんの真似だ!?来ないで…。
おい弘美…。
(銃声)
(弘美の声)でもそこで予想外のことが…。
(弘美の声)あの男に銃を奪われて…。
(弘美の声)でもあの男を殺せました。
私に後悔はありません。
きっと兄も同じ気持ちだと思います。
隊長と警備部長に多大な迷惑をかけた。
それがわかった今でもお前後悔はないのか?自殺だと思いました。
お父様の死は自殺に偽装されていました。
そんなことしてない…。
いや…門倉さんがしたんだ。
それはどういう…!?お父様の死体が発見された時部屋は密室でした。
しかも銃を握ったまま死んでいた。
鑑定の結果お父様自ら密室にしたことがわかりました。
なんでそんなこと…。
彼は君に撃たれたあと殺人の証拠になる銃を君に置いていかせ君が逃げたドアの鍵を閉めその場に倒れ息を引き取った。
銃を握ったまま。
まるで自殺のように見せかけようとして…。
明らかにあなた方をかばったんです。
最後の最後に父であろうとしたのかもしれない。
そんな…。
あの男がそんなことを…!彼は京都に来る前にあの女と別れていたよ。
…え?「これからは償いの人生を生きる」と言い残して。
うれしかったんでしょうね…「京都に来い」って言われて。
今さら…今さらそんな…!もう一度見てください。
お父様の指紋を。
弓のように山になっている指紋日本人には珍しい「弓状指紋」といいます。
お兄さんも同じタイプの指紋でした。
指紋の形も遺伝することがあるらしい。
きっと…あなたも。
どうです?同じですか?同じだとしたらそれはきっと親子だから。
その親子を示すDNAによって私たちはあなた方にたどり着いたんです。
(パトカーのサイレン)悲しい事件ね。
奇妙な話だ。
やくざの事務所を襲ったり立てこもりに使われたりした銃が殺したのはそれとは無関係な父親一人。
しかも殺したのはその息子と娘。
どうして子供が親を…。
それだけ血が濃いんだろう。
親子も兄妹も。
だから互いに互いを止められなくなっていた。
でもたとえそうでもいくら積年の恨みがあっても…。
父親を殺そうなんて…。
2015/11/20(金) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
科捜研の女9[再][字]
沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所研究員の榊マリコが“科学”を武器に事件の真相解明に挑む科学捜査ミステリー。
第9話『立て籠り事件の死角!銃を奪われた警察官』
詳細情報
◇番組内容
拳銃を持った男が民家を襲って立て籠り事件を起こした。機動隊の突入で人質を無事に解放した直後、犯人の拳銃を確保した隊員が何者かに襲われ、銃を奪われてしまう・・・。
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、加藤貴子、斉藤暁、泉政行、小野武彦、田中健
【ゲスト】
酒井美紀、井坂俊哉ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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