瀬戸内海に浮かぶ周防大島。
人口1万7,000。
深刻な人口減少に直面する過疎の島です。
その島に今大にぎわいの場所があります。
一軒のジャム屋です。
人気の秘密は島の果実にこだわったジャム。
都会から移り住んだ元サラリーマンが店を開きました。
刺激を受けたのは島の人たち。
足元の魅力に気付き始めました。
瀬戸内の島でふるさとの宝を探す人々の記録です。
平日にもかかわらずこのにぎわい。
山口県周防大島のジャム屋です。
客のお目当ては島で取れる四季折々の果実で作るジャム。
みかんと柚子を組み合わせたマーマレードにさつまいものジャムもあります。
週末には県外からも多くの客が訪れます。
おはようございます。
店を営む…都会でサラリーマンをしていましたが8年前妻のふるさと周防大島で念願のジャム屋を開きました。
いいねこれ。
大丈夫ですか?松嶋さんが魅せられたのは島のみずみずしい果物。
煮込み時間は短く砂糖は控えめ。
新鮮な食感や風味を生かしています。
温暖な気候に恵まれた周防大島。
山の斜面にかんきつの畑が広がりみかんの島とも呼ばれています。
農家を訪ねた松嶋さん。
薦められたのはまだ熟していないみかんです。
これ…。
(松嶋)あっはい。
ちょっとお味見させてもらって。
こうした産地ならではの食材も島の魅力です。
(松嶋)僕には宝に見えるピカピカと輝いた。
松嶋さんの成功に驚いているのが島の人たちです。
地元のスーパーなどにパンを卸している…店を始めた時期は松嶋さんとほとんど同じ。
ジャム屋の人気ぶりが信じられません。
…って感じじゃないですか。
こんにちは。
すみませんお邪魔します。
この日嶋津さんのもとに松嶋さんがやって来ました。
ジャム屋で売るオリジナルのパンの開発を依頼していたのです。
要望は地元の小麦やハチミツを使う事。
どちらも嶋津さんが初めて使う食材です。
配合や焼き加減を試行錯誤してようやく試食にこぎ着けました。
うん。
うまい。
これはうまいですよ。
しっかりとした味がするので非常にジャムに合うと思います。
ただ嶋津さんには気がかりな点がありました。
1斤550円。
嶋津さんはこんなに高いパンを売った事がありません。
松嶋さんは島の食材なら高くても大丈夫と言いますが…嶋津さんは素直に信じられませんでした。
ありがとうございました。
いやもう全然全然…「へえ〜」みたいな。
大島産ですか…おいしいんですか?それって。
嶋津さんはふるさとの島に複雑な思いを抱いてきました。
田畑にできる土地が少なく目立った産業がなかった周防大島。
戦後は島を挙げてのみかん栽培で活気づきましたが需要の減少や輸入の増加で長くは続きませんでした。
ここでは食べていけないと若者たちは次々と島を出ていきました。
嶋津さんもその一人です。
何もない島に嫌気が差し東京や大阪を転々としていました。
その後島で結婚してパン屋を開業。
しかし年々客が減り5年前閉店に追い込まれました。
今は卸売り専門。
挫折も経験しいつしか自分にも島にも自信が持てなくなっていました。
島の食材にこだわったパンが売れるのか。
半信半疑のまま発売の日を迎えました。
いよいよオープン。
奥さん食パンいかがですか?ジャムズガーデン専用に作ったんですけど。
よろしいですか?パンはなかなか売れません。
嶋津さん売り場を離れてしまいました。
すると…。
代わりに売り込みだしたのはジャム屋の松嶋さんです。
(松嶋)しっとりしてておいしいです。
買う?2つ買って1つはお友達に。
はい。
ありがとうございます。
記念すべき最初の2斤が売れました。
ありがとうございます。
おいしかった。
そこで頂いたら。
「島の食材へのこだわりをもっとアピールしては」と言われました。
ここのジャム専用の食パンです。
こちらですね。
今日初販売?はい。
以上でプレゼン終わらせて頂きます。
ありがとうございます。
ぎこちなく客に話しかける嶋津さん。
県産の麦せときららっていうのが。
これを1つ。
こちらで。
ありがとうございます。
少しずつパンが売れ始めます。
ありがとうございます。
嶋津さんの心配がうそのようにパンは売れていきました。
よし。
そして…。
最後のお一つでございます。
ありがとうございます。
450円。
ありがとうございます。
どうも。
売れましたよ。
売れました。
550円24斤。
ありがとうございます。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
本当にありがとうございます。
勉強になりますね本当。
この島には人を引き付ける魅力がある。
外から来た松嶋さんに気付かされました。
地元の商店主が集まって新商品の検討会が開かれていました。
餅屋の…島のハチミツを使ったスイーツを考えています。
ああやっぱりね。
これが一番クセがないっちゃクセがない。
川田さんは松嶋さんに出会ってから島の食材を生かした商品を次々と作っています。
みかんを皮ごと使った爽やかな香りの餅。
瀬戸内のいりこを入れた餅はだしが出てみそ汁に合います。
パン職人の嶋津さんも動いていました。
おはようございます。
お世話になります。
訪ねたのは近所にある郷土料理の保存会。
お目当てはさつまいもと餅米で作るかいもちです。
これ糖度はだいぶある?昔はどの家でも食べていたこの味をパンに生かしたいと考えたのです。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
いや〜驚きやな。
このかいもちを揚げパンにします。
島の食材にこだわって自ら作る初めての商品です。
うまいなあ。
これいいっすよ。
甘すぎず。
うまいですね。
週末道の駅で売る事にしました。
午前2時に起きて120個作ってきました。
いらっしゃいませ。
試食販売しております。
ドーナツ試食いかがですか?ドーナツ今日初めて売るんですけど。
山口県産の小麦と大島のハチミツと。
種類もいろいろあるんですけど今日…かいもちご存じですか。
大島の郷土料理なんですけど芋と餅の。
それ入れて今売ってるんですけど外がカリで中がモチで。
ありがとうございます。
温かい。
どうも。
おいしかったら追加いくらでも…。
これがお餅の…。
ああそうです。
かいもちっていうやつですね。
おいしそう。
これ芋と餅を合わせて。
ありがとうございました。
はい。
バイバイって。
評判は上々。
ありがとうございます。
いらっしゃいませどうぞ。
島のドーナツいかがですか?本日発売です。
道の駅にはかいもちの保存会の人も来ていました。
最初に聞いた時「そんなん食べられへんのちゃうの」と。
揚げパンは半日で売り切れました。
嶋津さんは最近家の近くの浜辺によく来るようになりました。
食材にしてもそうですけど。
そういうのが目に入ってくるようになった。
そういうとこですかね。
そういう時でしょうね。
何もないと思い込んできたふるさとの島。
足元にある宝を今見つめ直しています。
今日は日本人の心おコメの話。
2015/11/22(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「ジャムの香りに導かれ」[字]
急速な人口減少に将来を悲観する声もあがる瀬戸内・周防大島。Iターンの男性が始めた1軒のジャム屋に刺激され、人々が変わり始めている。商店主たちの奮闘を見つめた。
詳細情報
番組内容
山口県の周防大島は、人口減少で“消滅可能性”が指摘され、島の将来を悲観して出て行く若者が後を絶たない。しかし、都会から来た男性が始めた1軒のジャム屋が人気となり、人々が変わり始めた。「新鮮な果実に美しい風景、島には宝がいっぱい!」そんな彼の言葉に驚いたのが、島への愛着と自信を見失っていた商店主。最初は半信半疑だったが、次第に足元の“宝”を探すようになっていく。故郷の魅力を再発見する人々の記録。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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