おはようございます!桂文枝でございます。
今日の川柳は…分かりにくい時ありますよね。
私もねある所へ行った時にタクシーの運転手さんが私を待ってくれてたんですね名前を書いて。
ここ私の名前書いてね。
「あっこのタクシーだな」と思って。
ほなら運転手さんが「お荷物お持ち致しましょうか?」。
もうどう見ても私よりだいぶ上だったもんですから「いや結構です結構です」言うて私は2つの荷物持っとったんです。
こうしながら行ってね。
でタクシー乗って「運転手さんおいくつですか?」って聞いたら5つも下だったんです。
ですから微妙な人っていうのはできるだけここに「お年」とか書いといて頂きたいですね。
さあ今日の出演者です。
今日の出演者はチャーリーカンパニー。
そして春風亭一之輔さんです。
さあいらっしゃいませいらっしゃいませいらっしゃいませ〜。
いらっしゃいませ〜。
まあ会場いっぱいのお客様生活も苦しいのによく来て下さいました。
さあ今日はですね私本日ここに「楽して金持ちになる」という打ち出の小づちのような本持ってまいりました。
今日はこの本を買って頂いて皆さん一人残らずあっという間に大金持ちになって頂きます。
あんたこんなとこにいやがって。
いらっしゃいませ。
あ〜またこんなとこで店広げやがってばかてめえ。
あのなあ…。
ちょっとあんちゃんあんたなにそんな怒ってんだよ。
怒るに決まってんだろ。
俺な昨日この本を買ったんだよ。
ありゃまよかったじゃないの。
ほれ見なさい。
この人1晩で金持ちになっちゃったんだよ。
待て待て待て。
なる訳ねえだろ。
何言ってんだよ。
その報告に来たんじゃないのか?報告に来たんじゃないんだ。
俺はな今日この本を返しにきたんだよ。
何で返すんだよ?何でってこんな適当でいい加減な本だと思わなかったからだよ。
黙れこのグルコサミンのコンドロイチン!何だよ?そりゃ。
あのねそういういい加減とか適当という言葉やめてくれる?はあ?これから俺ねうまい事言ってこの前の人たちを何人かだまくらかそうとしてたんだから。
だまくらかす?何言ってんだよ。
あのねあんちゃん怒ってるけど一度でもいいからこの本隅から隅まで読んでみたか?どこを読むんだ?こんないい加減で適当な本のよ!だから駄目なんだよ。
せっかく金出したんだから俺が探してあげるから。
探したって何にもいい事なんか書い…。
もう開いたとこにあるじゃないか。
また何でこんないい項目をあんちゃん見落としちゃうんだろうな本当に。
何ページだよ?それ。
いいいい。
俺読んで聞かしてあげるからね。
「楽して金持ちになる方法その39。
楽してお金持ちになるには金持ちの家に生まれる」。
ちょっと待て。
当たり前じゃねえか。
しかも俺はもう生まれちゃってんだよ?ふざけんな全くもう。
もういい!俺金も何も要らない。
帰るわ。
ちょっちょっ…あんちゃん!何だよ?うるせえな。
怒んなよもう。
あんちゃんねこの場所で即10万円の現金で小遣い欲しくない?現金10万?うん。
いやそれはまあ欲しくない人はいないでしょうよ。
あげる。
何何何?おいでおいでおいで。
はいはい。
何?はい。
チャ〜チャラッチャチャ〜ンチャ〜ンチャチャン。
何だよ?これ。
あみだくじで10万円ゲット。
こんなね楽して金もうけできる方法ないんだよ。
そうなの?ちょっと1回練習してみようか。
はいはい。
これが当たりです。
どこでもいいけど…どこにしよう。
じゃあここにしようか?はい。
ここが当たりだとするとABCのどれがここにたどりつくと思う?あんちゃん。
そんなもん簡単じゃん。
Cだよ。
C?じゃあそのCが本当にここにたどりつくかどうかなぞってあげるから。
はいはい。
Cここね。
はい。
アズンタカタッタズンタッタアズンタカタッタッタ〜アズンタカタッタズンタッタッタタ〜タラッタッタッタッタッタッタ〜!大当たり〜!いやちょっと…いやちょっと…。
あんちゃん上手だね。
上手って誰だってできるよこんなの。
いやいや。
あんちゃん筋がいい。
何だよ?筋がいいって。
よし。
それだけ上手だったらこれ外そう。
それでねはい。
チャ〜チャラッチャッチャ〜ンチャ〜ンチャチャン。
ほらいよいよ10万円入りののし袋さっきの当たり札の代わりにどっかつけてあげましょう。
まじで?すごいだろ。
え?どうしよう。
あっちょっちょっと待って。
おっさんさ…。
何だよ?どこに10万貼っつけたか分からなくするために隠すんだろ。
隠す?いやそういう社会保険庁みたいな事しないよ俺は。
このまんまでやんの?だからすごいんだよ。
うそ!まじで?どこがいい?どうしよう。
どこがいいかな?なければ俺が選んであげる。
あんちゃんに一番近い所ね。
ここが10万円の大当たり。
一回1,000円だよ。
それであんちゃんが選んだアルファベットがここにたどりついたらこの10万円はあんちゃんのもの。
本当?でもこれはね無理には「やれ」と言いません。
金がかかってるから。
はいはい。
やるの?やる。
いいね。
やるよ。
当たり前だ。
いいチャレンジ精神してんじゃないあんちゃん。
じゃあね1,000円お預かり致しました。
線は縦に3本ABCしかありません。
どこいきましょう?A。
Aでいく?Aだよ。
そのAが当たってるかどうか1回ここねなぞってあげます。
ヨッ!・「あみだのあみだの曲がり角」・「当たりか外れか運試し」・「当たりかな」よっしゃやった!・「外れかな北風ピャッと吹いて大外れ」チ〜ン。
チ〜ンってちょっと待てよ。
あんちゃんA外れです。
いやいやいや。
Aは当たってんだよ。
だって今外れたんだもん。
何?ちょっとなぞるからちゃんと見といてよ?いいよ。
Aはこう来んでしょ?うん。
こう来てこう来てこう来てこう来てこ…。
ほら。
あれ?A何にもないとこ行くじゃないの。
何にもない所は外れ。
当たりはこっち。
おとうさんごめん。
間違った。
何?AじゃなくてBだった。
あっそうなの?今の1,000円さBに賭け直してもう一回やってくれよ。
変更?変更だ変更変更。
そういう東京オリンピックみたいなの駄目。
いいじゃんよ。
Bでやりたいんだったらあと1,000円。
分かった分かった分かった。
当たり前じゃないか。
そうじゃないとさいずれ1,000円だけで当たっちゃうよ。
悪かった。
悪かったから。
じゃあ改めて1,000円をお預かり致しました。
さあそして今度はBに変更。
ここね。
・「あみだのあみだの曲がり角」・「当たりか外れか運試し」こう来てこう来てこう来てよっしゃ!・「当たりかな」やった!・「外れかな」・「北風ピャッと吹いてまた外れ」チ〜ン。
またチ〜ンってちょっと待てよ。
Bも外れです。
いやいやいや。
Bは当たってんだっつうの。
だから今やったら外れちゃってんだから。
もう一回なぞるからちゃんと見とけよ?いいよ。
Bはこう来んだろ?うん。
こう来てこう来てこう来てこう来て…。
おっさん。
何だよ?これ線増えてねえか?あんちゃん乱視が入ってんじゃないの?目はいいんだよ俺。
よし分かった!あんちゃん特別ね!はい。
チャ〜チャラッチャッチャ〜ンチャ〜ンチャチャン。
当たりをもう一つ増やしてあげます。
さっき10万円。
これ残念賞の5万円。
2つ?これ2つにしてやろう。
うそ!え?よし。
並べてやろう。
はいはい。
何だ何だ?こっち10万円5万円外れはたった一つだけ。
ただ私は無理に「やれ」とは言いません。
金がかかってるから。
はい。
やる?やる。
あんちゃんねチャレンジ精神旺盛っていうか欲の皮が突っ張ってんじゃないの?ちょっ…褒めなくていいから早くやってくれ。
褒めてんじゃないよ。
ね。
はい。
じゃあ1,000円お預かり致しました。
次はどこいきますか?ABCの。
C!Cでいく?Cだよ。
当たり2つだからね。
分かったから早く。
Cが当たってるかどうか。
ここね。
・「あみだのあみだの曲がり角」・「当たりか外れか運試し」・「当たりかな外れかな」やった!よいしょ!・「北風ピャッと飛んで大外れ」チ〜ン。
あんちゃん残念賞いくかなと思ったらピャッと跳び越えちゃった。
ちょっちょっ…おっさん。
何?これの一体どこが楽して金持ちになれんだよ?だって俺あっという間に3,000円ももうかっちゃったもん。
あんたがか!またのお越しをお待ちしております。
いい加減にしろ!ありがとうございました。
(拍手)
(拍手)え〜練習したような拍手をまことにありがとうございます。
一之輔と申しましてどうぞよろしくお願いを致します。
ボ〜ッとしてる人ってのは多い。
中にそそっかしいという方がいらっしゃいましてそそっかしいってのを一名粗こつと申します。
あまり今ね使わない言葉になりました。
粗こつというのは。
落語の方に出てくるこの粗こつ者というのはもう並大抵じゃございませんでもうほとんど病というかね一種神々しいというかそういうところが出てまいりまして「ちょっとお前さん。
何やってんの?上がんなよ」。
「いや〜おっ母よえれえ事になっちゃったんだい」。
「どうしたの?」。
「『どうしたの?』って今トメさんとこでねみんなでばかっ話しててさ『俺帰るよ』って表出た途端だよ。
足が片っぽ短くなっちゃってね」。
「そんな事あんのかい?ばかだねお前さんは。
ゲタと草履片っぽずつ履いてんじゃないの」。
「これ直る?」。
「脱げば直るよ」。
「ああそうか。
余計ひどくなった」。
「草履脱いでんだよお前さんは」。
「ああそうか。
駄目だ俺は。
そそっかしいからよ皆に言われたんだよな。
『あの堀の内のお祖師様に手合わせりゃよそそっかしいの直るから行った方がいいんじゃねえか?』って言われちゃったんだ。
俺は明日さ朝一番に起きてねお祖師様行くからよ。
なあ。
もう寝るから」。
「昼の2時だよ?まだ。
眠れる?」。
「大丈夫だ。
目ぇつぶってよ雨戸閉めりゃ夜みてえなもんだから。
俺は寝るからよ。
止めるんじゃねえよ。
布団敷け。
俺寝るから。
こんなに早く眠れるか!」。
「お前さんが言ったんじゃないの。
眠れる訳ないよ」。
(いびき)「寝ちゃったこの人は。
大丈夫かね本当に。
お前さん朝だよ。
起きとくれ。
お前さん朝だよ」。
「あ〜誰ですかこんな早く…?花魁…」。
「どんな夢見てんだよお前さんは。
私だ私」。
「ああおめえか。
何か用か?」。
「お祖師様行くんでしょ?支度しなよ」。
「ああそうか。
そうだな。
お祖師様支度するから俺顔洗うからな止めねえでくれな。
顔洗う…。
おい水がねえぞ?」。
「タンスの引き出しだよそれは」。
「ある訳ねえな。
これはこれね。
これ桶にな水がめから水くんでおいこれ水がたまらねえぞ?」。
「ざるだよそれは」。
「ざるか。
ざるたまんねえや。
こっちだこっちな。
こうやってよ…これで…こうやって…。
おい!何かおめえ顔がヒリヒリして何かこれワカメが…」。
「おつけだよそれは」。
「しょうがねえな。
手拭いねえか?」。
「それは雑巾でしょう。
それは布巾でしょう。
白いのが手拭い…」。
「あこれか。
これだね。
うわっ!ちょっ…手拭いが襲いかかってきた!」。
「猫だよそれは」。
「傷口にみそ汁がしみて…顔の皮がもげる」。
「『地獄絵図』だね本当に。
しっかりしてよ。
はいこれお弁当ね。
支度して」。
「そうかそうか。
これにねくるんでいこうじゃない。
弁当これな。
よいしょ。
うんよし。
行ってくるからな」。
「じゃあ道分かんなかったらね表で聞くんだよ?大丈夫かい?」。
「大丈夫だよ。
あの〜堀の内のお祖師様はどうやって行ったらいいですか?」。
「うちで聞くんじゃないの!外で聞くの。
行っといで」。
「行っつくるよ。
あ〜驚いちゃったな。
俺はそそっかしいからねちょいと落ち着こうじゃねえかな。
お祖師様行くんだからなお題目でも唱えてかなきゃいけねえやな。
お題目って何だっけな?え〜急に出てこねえな。
南無妙…そそっかしいからな出てこねえんだ。
お題も…。
南無妙…みょう…よう…ようよう…南無妙ようほうほうみょうようほう…ようようようようみょうほうれんようよう…」。
「あなたそれ気持ち悪いんでやめてもらえます?何ですか?」。
「お題目」。
「違いますよまるで。
南無妙法蓮華経でしょう」。
「ああどうもすいません。
ようようみょうみょうみょう…。
ここで聞いてみよう。
すいません」。
「はいはい何ですか?」。
「あそこに見えるお堂が堀の内のお祖師様ですか?」。
「あなた何言ってんですか?あれ浅草の観音様ですよ」。
「え〜」。
「あべこべですよ方角が。
戻んなさい」。
「ああそうですか。
どうもすいません。
みょうようようよう…。
ここで聞いてみよう。
すいません。
少々伺います」。
「お前さん早かったね」。
「戻ってきちゃった。
駄目だこれ。
みょうみょうようようひょうほうほい…。
あの〜すいません。
ものを伺います」。
「はい。
何ですか?」。
「あの〜私はですね…」。
「何ですか?」。
「どこへ行くんでしたっけ?」。
「知りませんよそんなの」。
「みょうようよう…」。
「うるさい。
な…何ですか?」。
「お題目なんですけど」。
「まるで違いますよ。
お題目を唱えながら行くんだったらね堀の内のお祖師様じゃないですか?」。
「そうなんですよ。
お祖師様に行きたいんですけど私は…誰ですか?」。
「そんな事急に…。
あ〜大工の八っつぁんって胸に名札が縫い付けてありますから大工の八っつぁんじゃないですか?」。
「ありがとうございます。
人にものを教えたら礼ぐらい言え」。
「あんただよそれは」。
「ようようみょうみょうよう。
あの〜少々伺います」。
「はい何ですか?」。
「あの〜私は堀の内のお祖師様に行きたい大工の八っつぁん。
A型38歳みずがめ座。
ひとつよろしくお願いします」。
「気持ち悪いこの人。
何ですか?」。
「お祖師様に行きたいんですけどどうやって行ったらいいですかね堀の内のお祖師様?」。
「お祖師様ですか?まっつぐ行って突き当たりに鍋屋横丁。
左曲がってじきに着きますよ。
行ってごらんなさい」。
「ありがとうございます。
みょうようようよう…。
少々伺います」。
「はい何ですか?」。
「私は堀の内のお祖師様に行きたい大工の八っつぁん。
A型みずがめ座38歳。
どうかよろしくお願いします」。
「気持ち悪いなこの人。
何ですか?」。
「あのですね堀の内のお祖師様に行くにはですね…」。
「はいはい」。
「ここをまっつぐ行って突き当たりが鍋屋横丁で左に曲がってズンズン歩くとねじきに着くんですけどどうやって行ったらいいですか?」。
「自分を信じて行けばいいんじゃないですか?」。
「みょうようようようみょうみょうみょう…。
あなたは何ですか?そそっかしいの何しに行くんですか?ん?ああそうですか。
ふ〜ん。
あなたも何ですか?そそっかしいからあそこに手合わせて直してもらおうってそういう魂胆で?ハハッハア〜?あなたは何ですか?そそっか…。
みんな俺を遠巻きに見てるな。
どういう事だ?これは。
え?まあいいか。
ああここだ。
着いた着いた。
よしじゃあおさい銭でも入れてな。
はいお願いし…あっ!財布ごと投げちゃった。
ちょっとすいません。
そこの神父さん。
神父さんあの…私財布…おさい銭…返して下さい。
何?駄目?投げちゃったものはしょうがない?いやあれ一年分ですからお願いしますよ。
お願いしますよ。
ちゃんと言っといてねお祖師様に。
しょうがねえな。
じゃ手合わせよう。
なあ。
え〜っと世界平和。
よしこれでいいや。
じゃ弁当でも食うかな。
よいしょしょしょのよいしょしょしょ…。
あら!何だ?これ。
え?枕が出てきたぞこれ。
え〜?何?これ。
風呂敷かと思ったらかかあの腰巻きじゃねえかこれ。
何だ?これ。
腰巻きに枕くるんでそれしょって歩いてたのか。
こんなもんかかあ渡してどういう事だよこれはな。
文句言ってやろう。
冗談じゃねえやこれはな。
ここに置いていっちゃおう。
行こう。
お〜今戻ったぞおめえ。
え?腰巻きに枕くるんでな江戸中歩いちゃったじゃねえか。
どうしてくれんだおめえ。
人に恥かかせやがってこの野郎。
分かってんのか?この野郎。
分かってんのか?おっ母」。
「フフフフフ…」。
「笑い事じゃねえんだよ」。
「笑いたくもなりますよ。
お宅は隣」。
「あっ隣ですか?驚いたねこれは。
どうも最前は失礼しました。
本当にごめんなさい」。
「あべこべだよお前さんは。
隣で怒ってうちで謝ってんだからさ。
何やってんだよ」。
「驚いちゃって。
腰巻きに枕くるんでそれでもってそれしょってさ歩いちゃったよおめえ。
え?恥かいちゃったよ」。
「返しとくれよ。
私だって腰巻き1枚しかないんだからさ。
この辺ス〜ス〜してんだから返して」。
「置いてきちゃったよ」。
「どこ置いてきたんだよ?」。
「お地蔵様の首っ玉に結わえつけてきたよ」。
「それで返しにきたら何か色っぽい笠地蔵みたいになっちゃうじゃないの。
しょうがないねお前さんは。
もうしょうがない。
時分時だからさ金ちゃんの事ねお湯連れてってくれない?」。
「何が?」。
「金ちゃんの事お風呂連れてってお風呂」。
「金ちゃん?何だい?金ちゃんって」。
「自分のせがれ忘れたのかい?金ちゃんだよ金坊。
金ちゃん。
忘れた?」。
「そうかそんなのいたな。
何かいたような気がしてきたよ。
うんいたな。
金坊な。
うんうんいた。
おい金坊。
出てこいこの野郎!お父っつぁんと湯行くぞこの野郎。
金坊隠れてねえで出てこい!金坊!」。
「隠れてねえよ。
お父っつぁんここにいるよ。
何か用?」。
「おい湯に行くぞ」。
「な…何だい?」。
「おい亀吉…」。
「名前が違うよお父っつぁん。
金坊だってんだよ。
湯に行くの?嫌だよ〜お父っつぁんの〜。
お父っつぁんとお風呂行くってえと必ず逆さまにお湯につけるんだからさ。
命がいくつあったって足りねえや」。
「3回に1回だろ。
我慢しろ」。
「その1回が命取りなんだよ。
嫌だよ!」。
「いいじゃねえか。
行くんだよたまには。
後ろ回れ後ろ。
おんぶしてやっからな。
よいのよいのよっこらしょいのせと。
何だ?おめえ。
でけえケツだな」。
「お前さん私だよ」。
「おめえか。
随分子どもにしちゃ柳腰だと思った。
え?色っぽいケツしやがって。
よし行こう!う〜さあさあさあさあさあ。
おめえもないつまでもピーピー泣いちゃいけねえんだぞ。
分かってんのか?タケシ。
本当だぞ。
え?しっかりしていかなきゃいけねえんだぞジョン。
聞いてんのか?人の話を。
分かってんのか?ポール。
え?ジョージ。
え?リンゴ。
え?ヨーコ」。
「もう誰なんだよ?おいらは」。
「誰でもいいよ」。
「下ろして下ろして」。
「よし下りろ下りろ。
な。
さあさあさあ服脱げ服脱げ。
服脱げ」。
「服脱いじゃいけませんよ」。
「え?」。
「服脱いじゃいけません」。
「てめえんとこじゃ何か?服着たまま湯入れっていうのか?」。
「うちは床屋ですよ」。
「床屋?」。
「あなた方ね2日にいっぺん月水金必ずそこで脱ぐでしょ?この時間帯に客が来ないんですから。
隣行って下さい隣」。
「何だ世の中せちがらいね。
冗談じゃねえ。
よしよしよし服脱げ服脱げ。
え?何?『嫌だ嫌だ』じゃねえ。
帯なんか解いちゃうぞこの野郎。
おらおらおら」。
「嫌嫌…」。
「解いちゃうぞ」。
「嫌嫌…」。
「うちの娘に何すんだ!変態!」。
「娘さんでした?せちがらいね世の中な。
よし背中流してやるからな。
タケシ前回れ前な。
あ〜あらあら。
お〜何だな?おい。
しばらく見ねえうちに背中に般若の彫りもんなんかしやがって。
しょうがねえなおい。
ケツにこんな毛生えやがって。
生意気だ。
抜いちゃうよこれ」。
「痛い!何すんだい!」。
「あっうちのタケシと間違えました」。
「え?俺名前タケシ」。
「奇遇ですねこれは。
奇遇でせちがらいですね。
よし湯に入ろう湯にな。
あ〜温かい温かい。
あ〜湯は落ち着く。
ケツがかゆいぞケツがかゆい。
ケツがかゆいけどかいても全然感じない」。
「私のお尻に何をするんですか!」。
「あなたのお尻でしたか。
じゃあ私のもかいて下さい」。
「何を言ってんのよ!」。
「せちがらい世の中だな。
かいてくれたっていいじゃねえか。
よしじゃあ背中流すからな。
あ〜随分おめえなしばらく見ねえうちに大きくなっちゃったこらあ。
いい背中してらあ。
本当だよ。
お〜何だ?ピカピカ輝いて。
やっぱり子どもってのは未来があるから輝いてるんだな。
こらあな。
あ〜お父っつぁんによく似てきたなお前よ。
え?おっ何だ?おんなじしぐさしやがってこの野郎。
そっくりだな。
かわいいやつだなこの野郎。
何だ?おめえ。
え?こんな端の方に『田中工務店より』とか書いてあんじゃねえか。
ばか野郎。
何考え…。
よしきれいになったから帰るぞタケシ。
行こうじゃねえかな。
ネジ抜いちゃえこんな物。
こうやって…。
ハハハハ…。
よしじゃあ帰ろう。
よっこらしょのしょと!よいしょ〜」。
「あっお父っつぁんお湯屋の鏡持ってっちゃった」。
(拍手)萩本さんが作ってきた笑いいうのはあの〜こう誰か入ってきていい子悪い子みたいなんはあれは僕から見たら大喜利みたいな形ですよね?どっちかというと。
ええ。
まあまあそうですね。
ABCって出てきますわね。
ABCとこうね。
それで最後で落とすみたいなね。
そうそうそうそう。
あれはご自分で考えられて若い人にももうちょっとこうせいとかああせいとか割と指導された方なんですか?え〜っと出すのが素人ですからそれ言っても分かんないんでほとんど言いません。
言っても相手に伝わるような言い方はしません。
例えば伝わらないってのは「出てくる時もっとバッと出て」とかって言うと「『バッと』って何ですか?」って言って…。
あるじゃないですか。
そこを細かに言うとね伝わんない方がいいんですね。
あ〜。
あと一つはえ〜その人によって違いますね。
その人の一番何だ…欠点をまず探すって事とその欠点がお前のいいとこだよっていう何かだましをしないとあの〜欠点って人間隠そう隠そうとするとどんどん汚くなっていくってのありますね。
僕はどっちかというと人を育てるのが下手な方なんですよ。
弟子の稽古を見てもね弟子が「ちょっと分かりにくい」と。
私の教え方が。
「いやそれはそうじゃなくてもっとタンタンタンといってパンといかなあかん。
その間はもっとパッとパッパッといかなあかん」とか。
私と一緒じゃないですか。
中身がないじゃないですか。
これ一番…あとは自分で勝手にしてくれって。
そうなんですよ。
おんなじですよ。
おんなじですよね。
ここちょっと埋まりました。
ちょっと埋まりましたね。
ああそうですよ。
若い人に「ここをねこういう間でどうのこうの」って分かんないんです。
間とかは教えられないでしょ?その時によって違う訳ですから。
お客さんによって。
しかしどうなんですか?今までずっといろんな人を見てきてねみんながみんな成功した訳じゃないしみんながみんな売れっ子になった訳じゃないしそれ何なんですかね?え〜やくね…成功…。
僕…有名になった…運だと思います。
その運っていうのは…僕は「チャンスっていうのはねチャンスの神様は前にしか髪の毛がないから向こうから来たらパッとつかまないと。
チャンスが通り過ぎたらもうあかんで」というような事をいつも言うてるんですけどなかなか言うてもそうはねいかないんですよ。
どうしたらいいですかね?どうしたらって…。
僕はだから…。
どう言っておられるんですか?3つの形で言ってます。
「君はもう生まれた時から運があるんだからもったいないから頑張った方がいいよ」って言う。
運のある人って…。
運があるかないかどうして見分けるんです?だって人間ってみんな平等に生まれてますもん。
そんなはずないですね。
ですから生まれた時お母さんがいなかったっていうんでがっかりすんじゃなくて「お母さんの分を使いなさい」と言ってんだからそれは何か頑張っていればちゃんとそこへ行くと。
僕は11か月でお父さんがいなかったんですよ。
ですからそのお父さんの運が…。
僕についてる訳ですね?そうです。
ですからその中にも頑張ったっていうんであるという。
運があるんだよと。
これは1つの運ですね。
あと運になるってのある。
ですからそれは努力ってのは運になるという。
努力すれば運になる?ええ。
あと運がくるってのがあるって。
それは何かこう…。
それは時代が自分を呼んでるみたいな感じ?そうじゃないですね。
何かその人間が生活の中で人が寄ってくるとか何かあるんでしょうね。
それはどうやって得るかって事ではないですね。
たまたま僕でいうと55って二郎さんが声かけてんですから。
「欽ちゃんやろう」。
僕声を一番かけたくない人から声かかってきて。
あっ坂上さんから声がかかったんですか?はい。
初めはどうしてたんですか?1人でやってた?僕コンビ組む気がなかったんで1人でやってたら「コンビ組もう」って言うから「嫌だ」っつったの。
だいぶ年上ですよね?二郎さんの方が。
7つ上だし「嫌だ」って言ったらそしたら…。
という事は坂上さんの方にものすごい運があった訳ですね?そうですね。
だから二郎さんが僕にくれたんで。
あ〜ほうほう。
今となっちゃ大変感謝した…もう本当にありがたい方だと思ってますね。
何かあの〜何て言うんですかね本屋へ行ったりビデオショップへ行ったら…そんな所行かれます?行かないですね。
え?ビデオショップ?ええ。
レンタルビデオとか。
いや行った事ないんですよね。
行った事ない?はい。
テレビと映画とかは見ません。
あの〜いいもの見るとね必ず人間ってパクるから。
人間っていいもの見ると吸収する。
いいもの見ないと自分が向上しないような気がするんですけど。
いいもの見ると必ず人間ってなぞっちゃいますから。
何か考えててこれいいかなと掘ってると…。
誰かの…。
どっかで見たやつですね。
ですからテレビを作る…。
テレビ見ないんですか?テレビを作ってる時にテレビ見たらばまねしますよ?普通…。
だから今はどうしてるんですか?今はだってテレビ作ってないですから平気で見ますよ。
今は見てるんですね。
そうです。
ですから作るとなると…。
作ってる時は見ない?見ないですね。
それでさっきの話ですけどもビデオショップへ行ったり本屋へ行ったりとか?行かないです。
そこに萩本さんの映画のやつがいっぱい出てるんですよ。
コント55時代の。
見た事ないです。
何本ぐらい撮りました?映画は。
覚えがないです。
あれ〜僕も昔の出てくると全然覚えがないんですけども。
若い時のないでしょ?ないんです。
どうしてないんでしょう?全くないんです。
特にね女優さんは覚えがないです。
若い時に「女の人に目がいくようになると芸って滅びるぞ」って言われたから女の人見ないようにしてたんで。
デートとかした事ないんですか?ですから人生で忘れたものたった一つあればデートです。
ない。
何をされてたんですか?やっぱり視聴率を取るという事が楽しみだったんですか?視聴率を取る…視聴率を取るっていうとね言葉が非常にねあざとくてねちょっと気持ち悪いのね。
僕は視聴率…。
でも視聴率気にしておられたじゃないですか。
ですから視聴率って言葉にした事はない。
見てくれてる人がたくさんいるっていうのに。
それが視聴率じゃないですか。
ですからそれは視聴率と言うとさ数字と闘ってんじゃなくて見てくれる人をたくさん増やす…。
でもテレビ局は視聴率を気にしてすごい視聴率取った番組があったんですね。
私自身が。
でもそれが今度30超えてたのが25ぐらいになると今ですとすごいのにあたふたするんですよ。
「何か次こんなん変えませんか?」とか「こうやろう」とか。
そういう時はどうしてました?そういう時は闘ってましたけども。
闘ってんじゃないですか。
闘ってたんですけどもまあ大抵敗れてましたね。
なるほど。
私はあの〜…私はもう人生ね勝つか負けるかって勝負じゃなく…ですから30いったらもうすぐやめる用意して下がってきたらもうポンとやめちゃいます。
だからやめたんで。
あ〜なるほどね。
それも潔い人生ですね。
いや…どどどうして?だって富士山登って…登んのが面白いんじゃないですか?面白いですね。
これ下りてくんの面白い…私はできればあれヘリコプターで帰ってくるのが一番楽でまた次に登る…。
あ〜いいですね。
でもまた今度何かの山を目指さないといけませんからね。
ですからそのつもりで次に次に山登ってたんですけどその山はたまたま今回大学だったっていう。
いや〜今日は勉強になりましたですね。
勉強って…勉強ってあんな…。
また何かに挑戦して下さい。
はい。
楽しみにしてます。
ありがとうございました。
(笑い声)何でそんな声が高いんですかね。
2015/11/22(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
桂文枝の演芸図鑑「萩本欽一、チャーリーカンパニー、春風亭一之輔」[字]
落語家・桂文枝が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸はチャーリーカンパニーのコント、春風亭一之輔の落語「堀之内」。対談のゲストは萩本欽一
詳細情報
番組内容
落語家・桂文枝が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸はチャーリーカンパニーのコント、春風亭一之輔の落語「堀之内」。対談のゲストは萩本欽一。
出演者
【出演】萩本欽一,チャーリーカンパニー,春風亭一之輔,【ナビゲーター】桂文枝
ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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