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新タイプ商標登録:「おーいお茶」…「音」など43件認可

毎日新聞 2015年10月27日 20時26分(最終更新 10月27日 22時55分)

登録が認められた商標の例
登録が認められた商標の例

 ◇ロゴマークの「動き」、「位置」、「ホログラム」も

 特許庁は27日、企業のテレビCMなどで使われる「音」や画面上で動くロゴマークの「動き」など、新しいタイプの商標登録43件を認めたと発表した。久光製薬や味の素のCMでおなじみのメロディーなどが対象。改正商標法が施行された4月1日から出願の受け付けを始め、今回が初めての認可となった。商標の保護範囲をこれまでの文字や図形から、音や動きなどにまで広げることで、企業の知的財産を守り、ブランド戦略を後押しする。

 43件の内訳は、メロディーや声など「音」の商標が21件、文字や図形が変化する「動き」が16件、製品上のマークの場所などに特徴がある「位置」が5件、見る場所によって変化して見える「ホログラム」が1件だ。

 久光製薬のテレビCMの「ヒ・サ・ミ・ツ」のメロディーや、伊藤園の「おーいお茶」という人の声、エステーの社名とヒヨコマークが動く動画、エドウインのジーンズのポケットの左上につけられる赤いタブの位置などが登録された。

 出願は、今月23日までに1039件あった。今回、登録が認められたのは4月1日に出願された481件のうち審査で問題がないと判断されたもの。登録料(基本料3万7600円)を支払えば、11月上旬には登録が完了、商標が保護される。

 音などの商標登録は欧米やオーストラリア、韓国などが先行している。大筋合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)でも、音について商標制度の導入が義務化されることになり、「日本もやっと世界に追いついた」(企業の法務担当者)状態だ。

 企業のブランド戦略は多様化しており、特許庁は「新しいタイプの商標は、言語を超えたブランド発信手段として大きな役割を果たせる」と意義を語る。

 一方、今回は「色」の商標登録は認められなかった。「他の企業が同様の色を使えなくなる恐れがあるため、慎重に審査している」と特許庁は説明している。【横山三加子】

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