料理人にとって新しいひと皿を生み出すことはたやすいことではない。
けれど彼はそれが楽しくて楽しくてしかたないのです。
その料理のヒントを探しに…東急ハンズ?しかも手にしたのは料理器具ではなくどう見ても実験用の試験管。
すると突然…。
できるわ。
できるわ。
ちなみにどうやって?すき焼き?はい。
試験管で?とにかく手にするのはみな料理とは関係のない物ばかり。
これいいですね!牛さんちょうど喜びますね。
この男の正体は…。
そう焼肉の料理人。
実はこの店再来年の3月まで予約がいっぱいという人気の焼肉店。
その店を取り仕切るのがこの男。
しかし彼の焼肉はひと味もふた味も違います。
それではまず…。
おはようございます!現れたのは人工芝を牧場に見立てた肉料理。
さっと炙ったハラミのローストで客たちの心をつかんだかと思えば…。
左側の網の部分のほうでですね40秒ほどクルクルクルクル…。
熱をかけてあげるわけでございます。
試験管を器に見立てたアグー豚のすき焼きで度肝を抜く。
ひと呼んで森田劇場。
ありがとうございます。
インパクトを残しながらお客さんに植えつけるとうちで食べた例えば心臓であったりミノであったりレバーであったり他の肉でもいいんですけど他の店で食べたときに思い出すと思うんですよね。
おいしくて当たり前ですけれども。
こいつおもろいなって思ってもろうたら関西人としては勝ちかなと思いますね。
そんな森田さんがおもろい焼肉店を始めたのが6年前。
わずか2.2坪の1号店。
立ち飲み焼肉六花界。
全国各地から選び抜いた新鮮な肉がなんと6年経った今でも連日満員です。
うめえ!今までになかったスタイルで焼肉界を革新し続ける。
そんな彼にはどうしてもやりたいことがありました。
そうまたも誰もが考えなかった新しいこと。
ボトルキープってあるじゃないですか。
この人が持っててこのブランデー置いときますっていうのをお肉でやります。
特許庁のほうに商標の出願をしております。
お疲れさまです。
森田劇場にとって肉がおいしいのは当たり前。
ランクにとらわれず自らの舌と足でみつけたおいしい肉を全国各地から仕入れています。
きれいなしろたんやな。
(スタッフ)肉のよしあしってどこで見るんですか?つやですね。
うまい肉はきれいです。
その肉をどう仕上げていくかが料理人の腕の見せ所。
おおいいねぇ。
すごいいいね。
森田さんが扱うのは熟成肉。
納得のいくものを提供したいと自ら作っています。
しかし他と違うのがその製法。
かけているのは何ですか?日本酒の素になるやつです。
酵母菌と麹菌の塊ですね。
それをかけるとどうなるんですか?日本酒の酵母菌の中には乳酸が入ってるんで悪い菌が発生しない。
それを抑制することができる。
そしてアルコールをかけてるんで殺菌作用もある。
更にはタンパク質がふだんの状態よりも仕上がったときに悪い菌がついてないんでこのタン熟成のタンなんですけど法律的にもまったく問題なく通常熟成肉はカビが生えるため実際に食べられるのはその部分を取り除いた6割から7割程度。
しかし彼の熟成はカビが生えないためほとんどを食べることができるのです。
農大の教授や全国の酒蔵の協力を得て生み出した独自のこの製法今年特許を取得しました。
その自慢の熟成肉のフルコースを味わえるのがここじゃあ準備しておくか。
席数はわずか10。
森田劇場を十分に満喫してもらうためあえてこの広さを選びました。
住所電話番号は非公開。
しかも会員制にもかかわらず予約は再来年の3月までいっぱいというから驚きです。
そこまで待っても食べたい森田劇場の焼き肉とは?では召し上がっていただくのはザブトンですね。
いいですねいいサシの入り方ですね。
いいですね!超いいな。
いいですね熟成肉です。
スッと炙ってまいります。
え〜!少しツヤっぽく変わってまいりますね。
赤身が増えていくような感覚です。
更にですねこちらのほうも炙っていきます。
では濃度を変えていきましょう。
このように炙っていきます。
温度を上げることによって濃度が変わりますフランベと言いますね。
おぉ!バーナーで炙ることで余分な脂が落ちる。
つまりそれは肉の旨みの濃度が上がるということ。
いい状態ですね。
では本日旬のものでございますね。
秋田からいちばんのお米ミルキークイーンの新米ですね。
ザブトンの小盛りご飯でございます。
炙ったザブトンにホカホカの新米。
仕上げにワサビをちょこんと。
このひと手間がいかに大切か…。
ほおばるお客の顔を見れば一目瞭然。
美味いねこれ。
本当においしく焼きたいのであればこうです。
まずは1秒この1秒がとっても大事です。
裏返していきます肉の色を変えてまいります。
3秒です3秒経ちますとお肉の色がきれいに変わってまいりますね。
そして3秒です。
ほぼこの状態で完成です。
あ〜いい光景だ。
話術とパフォーマンスで五感を刺激する。
それが森田劇場の真骨頂。
召し上がっていただくのはハラミの寿司。
和食とフレンチのコラボです。
2時間でおよそ20品。
そのすべてをサーブし全身全霊でおいしさを伝えたいから一度に接客できるのは10人が精いっぱいなのです。
もっともっと深く知りたい。
その探究心は繁殖農家にまで彼の足を運ばせます。
しかしなぜそこまでして牛肉を知りたいのか?食材は命なんでそれをどこから知っていくかっていうのは命に対する責任そのものですね。
彼は牛の出産に立ち会わせてもらいました。
だからこそどうすればいちばんおいしく大切にその命をいただけるか。
ずっと彼はこだわってきました。
チケット売り場を自らの手で改装したわずか2.2坪の六花界では立ち飲み焼肉というアットホームな雰囲気で肉をよりおいしく食べさせる。
3年後には劇場型焼肉翌年には割烹という形の焼肉吟花をオープンさせます。
そして今年1月焼肉バル五色桜と斬新な焼肉スタイルを次々とヒットさせわずか6年間で4店舗。
気がつけば誰もが認める時代の寵児。
そんな彼を決して認めなかった人がいます。
まず褒めないですね。
絶対褒めないですね。
少年時代は気が弱くて泣き虫何をやるにも自信がない。
そんな息子に厳しく接したのが建築士のどっちかっていうと独特で全部で一番取ってこいみたいな感じのタイプの人間なんで。
少林寺拳法小学校のときにやってて試合出たんですけど緑帯で始めたばっかりの白帯に負けたんですよ。
お前誰の子供やねんって言われたことがあって。
まず褒めないですね。
絶対褒めないですね。
おやじに褒められたことなんかほんまにこの…。
ないんじゃないかな?多感な時期父のその厳しさを飲み込むことはできませんでした。
日に日に広がる親子の距離。
なぜそこまで厳しくしたのか。
両親それぞれに今だから言える思いがありました。
まあそうですね…。
私は主人は怒るかもしれないけど。
主人はこんなん普通だと思ってるんですけど言われるほうにしたらやっぱりかなり堪えてたと。
でもねたぶんねやっぱりちっちゃいときからいまだに引きずってると思います。
そのラインに来ないとね。
だって認めてほしいからよしよしって言うかっていうたら言わないですよね。
やっぱり実際に自分の力で越えてきたらこっちも本心で言えますやんあ〜すごいなっていうて。
認めてもらいたい。
その一心で大学を卒業すると…。
しかし思うように仕事は来ませんでした。
しかも知人が起こした事件に巻き込まれ留置場に入ってしまったのです。
無関係とわかりすぐに出所。
その時迎えに来てくれたのが父でした。
おやじが…待ってたんですよね。
荷物持って当時着てたスーツかなんかを着てたんかな。
なんかわからへんけどな。
冬やった気するな。
出てきたときにおやじが待ってて「おうおかえり」って言われたんですよね。
泣きながら抱きつきましたね。
「でお前何したい?」って言われて「風呂行きたい」って言ったんですね。
風呂入って「どうや気持ええか」って言われて「はい気持いいです」て言うて風呂入って帰ったの覚えてますわ。
そのあとコンビニ行こう言うてコンビニ行ったな。
コンビニってローソンですわ覚えてますわ。
ローソン行って…「好きなだけ買え」って言うてローソンでなんかいろいろ買わせてもらいましたね。
覚えてるな懐かしいな。
コンビニすごいなと思いましたもんね。
なんでも揃うやんて。
あの時けして責めようとはしなかった父。
そして焼肉の料理人として生きると決めたときも…。
ずっと越えられなかったおやじという壁。
それを原動力に走り続けてきた彼は今5店舗目に挑もうとしていました。
例えばボトルキープっていうのがありますけれどもそれは来ていただいて次に来たときに同じボトルが残ってます。
そのボトルの残り飲んでくださいってなってなるんですけど僕たちはそうじゃなくって今回の私たちのミートキープっていうシステムが1つ押しです。
ボトルキープならぬミートキープ?そうそうそうそうですミートキープです。
しかも今回は今まででいちばん大きな店舗。
そこである人に助っ人を頼みました。
お疲れさまです。
そう今までずっと越えられなかったこの人に。
この日新店舗の下見にある人がやってきました。
一軒家を夢の舞台へ改装する助っ人。
そう看板どけてもらうんですけど。
これなんですよ。
すごいな。
はい。
このエントランスからの観音の…。
バッと開けたこの感じ。
親子でやっぱり嬉しいですよねなんかね。
僕が東京へ出てくるのが邪魔くさいからあんまり出て来ないでしょ。
そんで言うたんちゃうかな。
おやじと一緒に仕事…やりたいっすよねやっぱり。
心のどっかでたぶんしたかったんですよ。
今あるいちばんの幸せとたしてったらそうなりました。
全部くれるって言ってるから。
ああそう。
うん。
店の成功に向け下見のあとの1杯。
実はこうして2人で飲むようになったのは去年からのこと。
僕初任給貰ったお金で父誘いたかったんで仕事終わって7時くらいに「お父さん今日初任給貰ったから一緒にお酒飲みに行こう」って。
普通のおやじとかめっちゃ喜ぶんちゃうかなと思って言ったら何時やねんと思って。
それで断られて断られて。
でも元気でおってくれて父に認めてもらいたくてそんな思いで走り続けてきた人生。
今回の申し出を父が受けてくれたのは少しだけ息子を認めた証拠なのかもしれません。
己が決めた道を突き進むそれぞれのプロとして。
親子で築く新たな店。
その扉の向こうに2人は何を見るのでしょうか?初花一家の営業をやりながら新店舗の準備。
この日も帰宅すると休む間もなく新メニュー作りです。
お肉ってミノはミノセンマイはセンマイハツはハツほんまにそれだけなんかなって。
ひと手間ふた手間かけれるやろうって思うんですよね。
今回考案したいのはひと手間を惜しまぬ肉料理。
しかし頑固おやじはやっぱりひと筋縄ではいかないようで。
いよいよ迎えたさてお父様。
オープンでございますけれども。
これちょっとあれしといてほしかったけどね。
おお。
こないして見るとすごいね。
かっこええな。
かっこええかっこええ。
抜いててよかったね。
夜なったらやっぱいちばんボーンと抜けるやろけどね。
およそ5か月父とともに築いた夢の形。
肉を更においしくするためにひと手間もふた手間もかけた肉料理とあっと言わせる仕掛けが隠された新たな森田劇場です。
なんかうちの家そんなんばっかりや。
帰るんですか?用事があるんではい。
なんでやろ。
怒る顔が。
なんでやんほんま。
ありがとうございました。
ありがとう。
頑張ります。
またなまた来るわ。
息子のすべてを認めたわけじゃない。
頑固おやじのささやかな抵抗と少しの照れ。
そんな親心を森田さんもようやくわかるようになりました。
バイバイ。
はい。
はい頑張ります。
よし。
さあオープンまであとわずか。
最後の追い込みです。
やっぱ肉こうするといいですね。
これ嬉しいな。
これ作りたかったんですよ。
ようやくできましたね。
今回どうしてもやりたかったミートキープ。
予約の際にミートキープを申し込めば来店するまでに彼がおいしい熟成肉に仕上げてくれるシステムです。
そしていよいよ。
お入りくださいませようこそ。
料理人も客も待ちに待ったオープンです。
和食は料理人フレンチイタリアンはシェフ。
けれど焼肉はいつまで経っても焼肉店の店主。
だからこの店で証明したかった。
料理人によってこれほどまで焼肉が変わるということを。
もう焼きながらよだれが出てきちゃう…。
これだけではありません。
2階にはとっておきの夢舞台を作りました。
(一同)すご〜い!そこは焼肉屋さんでありながらそうじゃないまったくの異空間。
さあ森田劇場のスタートです。
宴のほうを始めさせていただきたいと思います。
召し上がっていただく心臓ですがこのように今日は左心室の部分をご用意させていただきました。
鮮度そのものが違いますから召し上がっていただくこちらのほうは今日は刺身で召し上がっていただけたらと思っております。
心臓…刺身で召し上がっていただける機会はほとんどやはりございません。
召し上がっていただきますこちらのほうは本日は海水をかけることにより完成を促していきたいと思います。
今日は石垣島のほうからとってきました海水ですね。
ぜひ本日召し上がっていただきますこちらのほうは心臓は赤貝に見立てて。
その赤貝のふるさとといえば…。
それではぜひ
(手を叩く音)なんと店内が海辺に早変わり。
おいしいのは当たり前。
けれど楽しいからこそその味が格上になるのです。
何が起きるかわからない劇場型エンターテインメント焼肉店。
賛否両論おおいに結構。
誰もがやらないからこそおもしろい。
それが森田隼人の信じた道。
あんなに喜んでくれると思わなかったんで…。
いやぁ嬉しかったですね。
自分がやっぱり考えてて2年ほど経つんですけどその間に実現したかった世界の片りんがここで出せたのは感動でしたね。
自分が見ててもやっぱり胸躍りましたもん。
ここで飯食いたいって。
焼肉界を革新し続けるそんなあなたを応援します。
2015/11/21(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
クロスロード【森田隼人/焼肉店 店主】[字]
今、最も予約が取れない焼肉店ともいわれる「初花一家」で腕を振るう店主・森田隼人。世界に発信する最高峰の劇場・体験型「新店舗」オープンまでの軌跡に密着する。
詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
美しく美味しい、他に類を見ない肉料理の数々と、客を楽しませる劇場型エンターテインメントで焼肉屋の常識を覆してきた森田隼人。自らの舌と足で見つけた美味しい肉を全国各地から仕入れ、話術とパフォーマンスでお客の五感を刺激する。
その森田が新たに店を構えるという。新店舗オープンに伴い、彼が声を掛けたのは建築士でもある父。新店舗に森田が託す想いとは?
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなクロスロード(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
音楽
【エンディングテーマ】
「youth」竹原ピストル
(JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)
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情報/ワイドショー – グルメ・料理
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