フランス中部を流れるロワール川。
かつて輸送路として活躍したフランスいち長い川です
パリの南西90キロのオルレアンから河口までの風光明美な流域は王侯貴族が競うように城を建てたことからフランスの庭と呼ばれています。
何世紀もの時代を越え今も圧倒的な存在感を示す古城の数々
どの城も実に個性的で私たちを魅了してくれます
こんばんは小林薫です。
おかげさまをもちまして…。
そこで今週からをお送りします。
番組が訪れたのはフランス・ロワール地方にあります古城のエリア。
戦国武将が活躍していた頃ですね。
ではこちらの年表を見てみましょう。
皆さんヴェルサイユ宮殿はご存じでしょう。
その建設よりも200年ほど前のこと。
ちょうどこの辺り。
ジャンヌ・ダルクが活躍したイギリスとの百年戦争が終わった頃からおよそ130年あまりの間です。
この間ロワールには大小数百もの美しい城が建てられました。
今回はそのなかからご覧の6つの城を巡ります。
「謎の地下道」とか「女たちの闘い」とか意味深なキーワードがついています。
ちょっと気になりますよね?それではロワール川の古城を巡る美の旅に出発しましょう。
古城巡りの旅に出たのは私蒼井優
パリからTGVでおよそ1時間。
トゥールという町にやってきました
ロワール地方のほぼ中央に位置し古城巡りの拠点にはうってつけです。
中世には絹織物で栄えた商人の町で月曜日以外は町にある広場の数か所でマルシェが開くという賑わい
旧市街には当時の面影が残ります
では町を抜けてロワール川へ
自然豊かな美しい川です
城それは美の館。
見る者を圧倒する芸術の宝庫
最先端の技術と芸術を駆使してつくられた豪華な装飾。
そこに込めた王の狙いとは
更に…
中世の美の痕跡が
ロワール地方に花開いた古城の美。
そこに秘められた王たちの愛と野望の物語に迫ります
まず訪れたのはブロワの町。
トゥールからは車でおよそ40分です
目指すお城は町の中心部にあります
町を見下ろすようにそびえ立つブロワ城
元は要塞だった建物を13世紀以降に増改築した城です
赤いレンガが特徴的。
こちらがお城の入り口です
実は中に入るとまったく趣の違う建物が見られるんです
うわ〜。
すごい。
ブロワ城は通称建築博物館。
中庭を囲む4つの館はすべて様式が違っているんです
1つの城の中に4種類の建物。
王が込めた思いとは?
4つの建物からなるブロワ城。
13世紀最初に増改築されたのがこちら
ブロワ伯爵家の手によるものでした
案内してくれたのは館長のエリザベットさん
わぁすごい。
シンプルな外観からは想像できないほどあでやかな部屋です。
美しいアーチを描く天井には色鮮やかな装飾が
この天井はもともと…。
大聖堂を思わせるこの荘厳な部屋では国の重要な政策を決める会議が開かれていました
19世紀に修復されたそうですが壁や柱の色彩装飾は実に見事
完成してから800年余りこの美しい部屋を支えてきた技が屋根裏にあるそうです。
特別にその屋根裏に案内してもらいました
何じゃこりゃ?
この形何かに似ていませんか?
13世紀につくられた大きな部屋の空間を支える技術が屋根裏にあるというのですが…
うわ〜。
びっくり。
優れた技の結晶。
城は時代の最先端の技術と芸術でつくり上げられているのです
このブロワ城では4つの時代の建築を見ることができるというのですがちょっとわかりにくいので全体を俯瞰で見てみましょう。
え〜今見てきた13世紀の建物がこちら。
三角屋根のこの部分しか残ってないんです。
そして赤いレンガが特徴的なのが15世紀から16世紀。
ルイ12世の時代のもの。
次にその後を継いだフランソワ1世が建てた部分。
4つめは17世紀オルレアン公ガストンの時代の建物です。
増改築を繰り返し趣の違う建物が組み合わさって中庭を囲んでるんです。
では続いてルイ12世の館を見てみましょう。
この城で生まれ育ったルイ12世は1498年に即位すると王にふさわしい住居用の館に改築します。
ブロワ城の入口になっているのが
中庭に面してL字型に建つ赤レンガの建物。
建築様式は後期ゴシックの
この城ではたなびく炎に見えるデザインが窓枠に取り入れられています。
柱の直線的デザインとフランボワイヤン様式の複雑な装飾のコントラスト
外壁の赤レンガと白い石の鮮やかな色使いが王の洗練された美意識を現しています
次に造られたのはこちらの館。
城主はルイ12世のいとこの子で王位を引き継いだ
16世紀に造られた城は
象徴的なのは螺旋階段。
フランソワ1世はイタリア遠征でルネサンス芸術に出会いフランスにも広めたいと考えていました
ルネサンス様式の特徴のひとつはデザインです
螺旋を印象づけるように施された装飾。
壁のレリーフなど細部にまでこだわっています
フランスのルネサンス建築はブロワ城で花開いたのです
階段を上がった先にあるのがフランソワ1世の部屋
フランソワ1世はイタリアから職人や芸術家を呼び寄せ室内もルネサンスの美で彩りました。
その特徴はシンメトリーのデザインや部屋中に施された色彩豊かな装飾
わ〜すごいきれいな。
このタイルは何世紀のものですか?う〜んなるほど。
王は城をきらびやかに装飾することで自らの富と権力を誇示していたのです
王の執務室はちょっとおもしろい部屋なんです。
壁は装飾された板が237枚も張り合わせてあります。
この中に隠し戸棚があるんですがわかります?
壁の下にあるペダルを踏むと…。
こんなふうに扉が開きます。
宝石など大切なものをしまっていたそうです。
ここも壁だと思ったら…
どうぞ。
すごい。
案内されたのはちょうどこの部分
なぜ途中でやめてしまったのでしょうか
その答えは次の館に…
17世紀最後に改築が行われたのがこちら
城主はルイ13世の弟
ルイ13世から結婚祝いにブロワ城を贈られたガストンは古典主義を追求しそれまでの館にはないダイナミックな建物にしました
古代ギリシア神殿を思わせる柱が他の棟よりも一層重厚感を漂わせています。
ガストンが目指していたのは国を治める者にふさわしい荘厳な城でした。
しかし…
うわ〜!
当時ルイ13世には跡継ぎがなく弟のオルレアン公ガストンが次のフランスの王になると思われていました
しかしルイ13世に息子が生まれたためガストンは王位継承者ではなくなってしまいます。
予算がストップし城の改築は中断。
そのまま残されることになったのです。
王にならなければ城は完成させられない。
まさに城は王の象徴なのです。
王にふさわしい館をつくったルイ12世。
ルネサンスに魅せられたフランソワ1世。
そして王になれなかったオルレアン公ガストン。
それぞれの城主の思いが結集し多様な建築様式を持つ城が作り上げられたのです
何代にもわたって増改築が行われ城主の好みが色濃く表れたブロワ城。
ロワールで最初に訪れるのにはもってこいの城でしたね。
さて次に訪ねるのはアンボワーズ城。
トゥールとブロワ城の中間にあります。
こちらの系譜図でいうとシャルル8世とフランソワ1世の時代に栄華を誇った名城です。
あっこのフランソワ1世はブロワ城でも出てきましたね。
ロワール地方ではかなりのキーマンのようです。
よく覚えておいてくださいね。
では蒼井さんキーワードは謎の地下道です。
よろしく。
おや?船ですか?
そろそろ見えてきましたか?
この城の城主だった2人の王がフランスの芸術文化を大きく変えることになるのです
ロワール地方の古城巡りにお勧めなのがショーモン城から出ている川下り。
ロワール川沿いの自然と古城の風景を巡ります。
1日かけて楽しめるものから2時間のものまでさまざまなコースを用意
私も船で古城巡りを楽しむことに
おや?船頭さんに挑戦?
あっ危ない!
やめたほうがよさそうですが
見えてきましたよアンボワーズ城が
ロワール川沿いの町アンボワーズ。
中世時代からロワール川の拠点として栄えた町です
中世の面影を残す旧市街を抜けると…
アンボワーズ城が見えてきました
この城にはある秘密が
中世時代ロワール川から敵の侵略を防ぐ要塞だった城は15世紀から16世紀にかけゴシックとルネサンス様式の城に生まれ変わります
この城のキーマンはこの2人
切り立った丘を利用して建てられたアンボワーズ城。
もともと川を見張る砦だったことからいかにもいかつい感じ。
ところが城の建物は洗練されたお屋敷のような趣です
15世紀最初に改築をしたシャルル8世が最もこだわったのがこの2つの塔です
その1つへ案内していただきました
何だろう?
おや?ここが謎の地下道でしょうか?その答えは後編のお楽しみということに
美しくドラマチックな城が次々に登場します。
料理人にとって新しいひと皿を生み出すことはたやすいことではない。
2015/11/21(土) 22:00〜22:30
テレビ大阪1
美の巨人たちSP 仏・ロワール“古城巡り”〜愛と野望に彩られた究極の美〜前編[字]
今回は2週連続でお送りする15周年SP『ロワール古城巡り・前編』。小林薫がナビゲーターとして登場!さらに蒼井優が現地を訪れ、ロワール地方に残る古城を巡ります。
詳細情報
番組内容
ロワール川周辺には、今も美しい姿をとどめ、訪れる人々を魅了する多くの古城が残っています。その誕生の裏には、王たちの情熱や愛憎、さまざまな人間ドラマが…。番組では2週にわたって6つの古城を中心に巡ります。まず訪れるのはブロワ城。増改築を経て今はまったく姿の違う4棟となり、4つの時代の建築様式を見ることができる、いわば「建築様式博物館」!城主と共に変わる古城の全貌に迫ります。さらにアンボワーズ城も。
出演/ナレーター
小林薫
蒼井優
音楽
<オープニング&エンディングテーマ>
辻井伸行
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/
お知らせ
次回11月28日(土)は『フランス・ロワール“古城巡り”〜愛と野望に彩られた究極の美〜後編』!60分拡大版でお送りします。お楽しみに!
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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