日経スペシャル 夢織人 〜小さなトップ企業〜 2015.11.21


福島県いわき市にあるスーパー
食器売り場にある目玉商品が中央に陣取っていました
見た目は真っ白なありふれた食器
すごく売れているんです!その理由は?
半信半疑ではあったんですけど使っていただくと…
実際に使っている介護施設を訪ねてみました
どうですか?食器の実力は
これ少ない水で洗える画期的な食器なんです
普通の食器と比べてみると一目瞭然
こちらの食器には水滴が残りません
さらに油性マジックで書き込んでも…ご覧のとおり!ほとんど消えてしまいましたね〜
そんな最先端の食器を作るのは伝統ある会津漆器を手がける会社でした
というふうに漠然と
この食器誕生のきっかけは…
被災者のために食器の寄付を願い出たところ「水不足なので使えない」と断られたのです
苦い経験が新製品を生み出しました
技術を開発することで伝統技術を継承していくことにつながるんじゃないかというふうにも考えています
伝統を守りながら進化を続ける漆器店
訪ねたのは数々の大企業のコピーを手がける…
今回は生き残りをかけて変化し続ける伝統工芸の会社
苦難の歴史に迫ります!
企業でさまざまな夢を抱き働く人々
それぞれの夢を重ね織り合わせて作られる企業の物語に気鋭のクリエーターが迫ります!
難攻不落の名城として知られた鶴ヶ城のおひざ元会津若松
歴史あるこの町で400年以上前から脈々と受け継がれている伝統工芸があります
日々の生活でも気軽に使え漆器の中でも比較的値段が手ごろです
漆を薄く塗って木目を楽しめる器があるのも特徴の1つです
今回訪ねる…
会津漆器のトップ企業です
そんな会社を訪れるクリエーターは…
「キミがやりたいことはキミしか決められない」「最初の一歩を踏み出せるのはキミだけなんだ」
神谷さんは…
「トヨタ」「キリンビール」など多くの企業のCMを手がけ日経広告賞グランプリを過去3回受賞したことがある企業広告のエキスパートです
(スタッフ)きょう訪ねる会社なんですが漆器の会社なんです漆器?漆の?今初めて聞きましたから
神谷さんどんな驚きと出会うんでしょう?
さて今回も神谷さんには三義漆器店を訪問したあとに応援コピーを作ってもらいます
おはようございます
(神谷さん)おはようございますいらっしゃいませ
(神谷さん)どうもはじめまして遠いところありがとうございます曽根です
出迎えてくれたのは社長の曽根佳弘さんとヨシエさんのご夫婦
実は三義漆器店まだ若い会社なんです
会津漆器の起源は400年前ですが三義漆器店はおよそ80年前に創業した新参者
それだけに伝統に気を配りながらも新しい会津漆器作りに取り組む意欲も旺盛でした
ではどんな漆器を作っているのでしょう?
そもそもが漆なんですがえー…食洗機や電子レンジにも使えるこちら漆そのものなんですね?漆だけなんですね?ただ中身が木じゃないんですってことは木じゃないってことはプラスチック樹脂なんですねPET樹脂ですはい
PET樹脂とはなんだか難しいことばに聞こえますがペットボトルの原料でもあるプラスチックのひとつです
あぁ分かんないですね重さ的にもこれだとうーん電子レンジに入れられるってそれがすごいですね
今までPET樹脂には漆を塗れませんでした
そこで開発されたのがMR漆です
これによりPET樹脂がベースとなる漆の器が誕生
高級感と手軽さを両立させました
またこれまで漆の食器は電子レンジでは使えませんでした
ところがこのPET樹脂と新しい漆の器は電子レンジにも対応
日用品の仲間入りをしました
今の若い人たちの生活に合わせるような器というふうに考えていいんでしょうか?使ってもらって喜んでもらって私たちの付加価値がようやく生まれるというふうにそれをいつもみんなで話し合って作っているわけです
これがプラスチックですか?
一体どのように作られているんでしょう?
工場の中を案内してもらいました
こちらが成形工場ですあ〜成形なんですか
え〜!?これで作るんですか?
なんでも車の部品を作る機械と同じものなんだとか
この最新の設備でどんどん器が作られていきます
PET樹脂を300度の温度で溶かして金型に注入するとあっという間に器が完成
この間30秒です
木目の感じもうまく出ていますね
こちらは漆を施す前の下地の工程
ここでも機械が自動で塗っているんです
器の大群がお目見えです
下地の塗装を終え乾かした器をチェックしているこちらの男性…
出来上がってきた器に傷がないか厳しい目を光らせていました
皆さん分かりますか?
こんな小さな傷も見落とさないんですね!
機械が常に正確なわけじゃありません
腕のいい職人の目配りが大事なんですね!
三義漆器店の強みはこうした新しい材料や機械を導入することでさまざまなデザインの商品を生み出すことです
こちらは世界が認めた弁当箱
ニューヨーク近代美術館にも展示されています
こちらはですね…失礼します
プラスチックの器に新しく開発されたMR漆を塗っていきます
作業するのは数少なくなった会津漆器の伝統工芸士曽根社長の父で会長の賢治さんです
賢治さんの手でプラスチックの器がまるで木のような風合いに
一塗り一塗りに輝きを増していく器
まるで命を吹き込むように作業を進めます
しかし伝統的な漆器からプラスチックの器への方向転換に戸惑いはなかったのでしょうか?
いると思いますよ結局はあのう…やはり考えてせっかくいい漆ですけど…最低でも漆が欲しいって要望が入ってきたんですよ
邪道と言われても消費者のニーズに応えるために革新の道を選んだのです
そこには生き残りをかけた歴史がありました
曽根社長の父賢治さんが跡を継いだのは1978年でした
世はプラスチック製品があふれる時代
いち早く安くて手軽なプラスチックの食器を手がけ経営は順調でした
しかし90年代後半黒船がやって来ます
あの時は非常に…もうどうしようかなというくらいに大変でした
プラスチックの食器よりもさらに安い木製の漆器が中国から大量に入ってきたのです
いやこれ…どうしようまずいなだって…こりゃちょっと樹脂…ダメなんじゃない?ってやっぱりそういう危機感がありました
まともに競争しても価格では勝てない
そこで中国産の木製漆器そのものを仕入れようと考えました
多少お値段は国内で加工する分は高くはなったとしても海外ではない……そういった物を作る事はできないかで作ってみよう
中国産の漆器をベースに会津塗りを施した食器は売れなんとかピンチを乗り越えました
そして2008年賢治さんの跡を継いだ曽根社長
今まで培った技術で…
当初日本サイズの食器はヨーロッパでは小さすぎて売れませんでした
しかしすぐに方向転換
子ども用として売り込むことで成功しました
そんなやさき東日本大震災が起こります
…みたいな検査をしてOKですということで…今までの分やっぱりキャンセル
今まで積み上げてきたヨーロッパでの信頼が一瞬で崩れ落ちたのです
ヨーロッパで子ども向けの食器がうけて売り上げを伸ばした…
しかし2011年に大きな危機に直面しました
東日本を襲った大震災
その影響はこれまでの努力を無にしてしまうものでした
ヨーロッパというと規格も非常に厳しい所ではあるんですねただそのなかでも子ども向けというとさらに厳しくて……みたいな検査をしてOKですということで…今までの分やっぱりキャンセル
風評被害に苦しみヨーロッパの事業から撤退せざるをえませんでした
さらに苦い思いも味わいました
ですから…
食器の寄付を水不足を理由に断られたのです
ここで新たなニーズに気付きました
そうか…これ水こういう時でも簡単に洗える……というふうに漠然とまあ最初は思ったんですけど車のあの…ねぇフロントガラスっていうんですかああいうの撥水もあるじゃないですかいろんな部分で撥水っていうのはあるわけで…
曽根社長は撥水性の優れた食器を作ろうと決意します
そして翌日にはつき合いのあった塗料メーカーを訪ねていました
曽根社長のひらめきは塗料の常識を根底から覆す提案でした
…っていうところで逆にもうあおられたっていうかね私どももねまあなんとか……という気持ちでやってまいりました…と思ったんですよ
開発に費やした期間は3年
試行錯誤を繰り返した末画期的な新製品が誕生しました
いきますよ同時に同時にいきます
(神谷さん)うわぁ…
(神谷さん)こちらの…
(曽根社長)まだ残ってますね
(神谷さん)そうですね陶器ですらそういうことなんですね
ふつうの食器は水切れが悪いですが新製品の食器は水滴すら付いていません
会津漆器で培ってきたその塗りという技術が当社を支える付加価値であるというふうにも考えますですからその付加価値でもって現代の人をより多く笑顔を作りだせるような器を作り続けていきたいんです
伝統を重んじながら新たな製品開発に挑んでいく
これが三義漆器店の変わらぬ姿勢です
(神谷さん)いただきます
お昼休み社員のみなさんと食事をともにした神谷さん
どんな会社ですか?
(笑い声)どんな会社なんですかいやもう…ここでですかはいもう何言ってもいいですけっこう…なんて言うんでしょうねやりにくいところは言って直してもらうしけっこう…
三義漆器店には社員一人ひとりの意見を聞き入れる土壌がありました
週に1度の「社風作り委員会」の日
会社で気付いた事を報告しあう会議がありました
まあ標語みたいなのを掲げてやってきましたそこでまあ…きょうもニコニコしてますね!なんて言ってみたりとかそれがホントに定着すればすごく…・いい事ですよね…気分よく帰ってもらうには重たい物持って来るんでじゃあ皆さんであいさつ会った人は…そういう事をみんなで決めて全員に浸透するようにここで一応決めて現場に帰ったらばみんなに報告するっていう事をやってます
雰囲気づくりが製品開発にも生きているんですね
多くの社員とふれあった神谷さん
どんな事を感じたのでしょうか
やっぱりこの会社のとてもいいところはやっぱりみなさん…それとまずやっぱり技術的な事ですよね会津塗りっていうものがベースにあってそれがどういうふうに進歩していくのかっていう事がこんな事やってるんだっていう事はやっぱ新しい……とてもラッキーでしたね…であるというところまでそこまで考えてませんでしたこんな漆器があるんだっていう事を初めての情報もあったから…うんおもしろかったですねそこはどうもみなさんきょうはお世話になりました
(社員たち)ありがとうございました
はたしてどのようなコピーができるのでしょう
福島県会津若松で伝統の漆器と独創的な製品を次々と生み出す三義漆器店
この会社を取材して神谷さんはどのようなコピーを考えたのでしょうか?
…神谷さんの事務所へ
常識を一度壊して新しい常識を作ると世界最先端の漆器であると漆器をもう1つ発明してみたとテクノな漆というのが…このテクノの感じというものを漆ということばと組み合わせるととてもなんかおもしろいと言いますか新しく…
神谷さんのコピーをご紹介しましょう
旬の小鉢が大好きな豆助
2015/11/21(土) 12:30〜13:00
テレビ大阪1
日経スペシャル 夢織人 〜小さなトップ企業〜[字]

「七転び八起き!会津漆器店の挑戦」不屈の精神で伝統工芸に革命!レンジで使える漆器から少ない水で洗えるモノまで!

詳細情報
番組内容
三義漆器店(福島県会津若松市)
蒲生氏郷が築いた会津漆器の歴史に革命!
▽安い外国製品、東北大震災の風評被害と
戦いながら新製品開発▽ニューヨーク近代美術館も認めた技▽技のデパート神谷幸之助が鋭いコピーで斬る!
出演者
ナレーション キムラ緑子

コピーライター 神谷幸之助
音楽
「Cheer Up!」(作詞・作曲)田中雄也
制作
【製作】テレビ大阪 BSジャパン 日経映像
ホームページ
www.tv−osaka.co.jp

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 経済・市況

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:47074(0xB7E2)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: