国連:「青い旗は希望の旗印」…発足から70年 光と影
毎日新聞 2015年10月24日 11時40分(最終更新 10月24日 18時05分)
【ニューヨーク草野和彦】国連は24日、発足から70年を迎えた。第二次世界大戦を防げなかった反省を踏まえて創設され、加盟国はこの間51から4倍近い193に増えた。一方、内戦5年目のシリアでは犠牲者が20万人を突破するなど、紛争や抑圧で家を追われた人々は世界中で6000万人に達し、戦後最悪の状況が続いている。国連憲章第1条に掲げられた「国際平和と安全の維持」という理想の実現は、まだ遠い。
国連総会は23日、記念会合を開催。潘基文(バンキムン)事務総長は「70年たった今も、国連の青い旗は全人類にとって希望の旗印だ」と評価する一方「我々の取り組みはまだ完全ではない。暴力と貧困、疾病、虐待は今でも多くの人々を苦しめている」と強調。「よりよい世界のために強い国連が必要だ」と述べ「すべての人にとって、より良く、明るい将来を目指すという誓約を再確認しよう」と呼びかけた。会合では「国連憲章の目的と原則を今後も変わることなく守っていく」ことなどを誓った決議が採択された。
今年は広島、長崎への原爆投下から70年でもあるが、4〜5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、交渉がまとまらずに決裂。記念会合でリュッケトフト総会議長は「核軍縮交渉はあまりに長い間、行き詰まっている」と厳しく指摘した。
また、国連安全保障理事会は、加盟国に対して法的拘束力を持つ決定のできる唯一の機関だが、拒否権を持つ5常任理事国(米英仏中露)が支配する構図は、変わらないままだ。日本は、国連加盟から60年を迎える来年にかけ、安保理改革に力を入れる考えだ。
さらに、国連は地球温暖化という発足当時にはなかった課題にも直面している。今年9月には、来年から15年間の国際社会の新たな開発目標「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択。11月末にパリで始まる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で再び、国際社会の結束が問われる。
発足70年を記念し、国連本部は23日、青色にライトアップされた。東京スカイツリーや中国の万里の長城など世界中のランドマークも24日、「国連ブルー」に染まる。