（ベル）
（競りの掛け声）
毎日全国各地から新鮮な食材が集まってくる大阪市中央卸売市場
早朝から活気あふれる競りが始まります
深夜から始まった仕事がようやく終わる頃…
こんな光景が…
皆さんカートで運ばれてきたパンをうれしそうにほおばり始めました
市場でパン屋さんをしてて毎日うちのパンを買ってくれる人がたくさんいるんですけどそれを見ててそんなパンが作れたらすごいなと思います
食のプロたちを満足させる素朴でおいしいパン
それは同じ市場の中で生み出されています
作っているのは２人の子どもを持つお母さん
主婦業もこなしながらの忙しい日々を追いました
市場の人の支えもあってオープンから１年半
彼女に新たな思いが芽生えました
今回は卸売市場でパン作りに奮闘する女性パン職人の夢のカタチ
大阪市福島区にある大阪市中央卸売市場本場
昭和６年に東洋一の卸売市場として開設され敷地面積は甲子園球場のおよそ８倍
１日およそ３０００トン年間７０万トン以上の鮮魚や野菜・果物が取り引きされています
競りが始まる午前４時
市場内の１軒の店に明かりがともりました
昨年４月関連棟と呼ばれる建物の３階にオープンしたパン屋さん
開店は朝７時
一般のお客さんも買うことができます
卵やツナ
日替わり具材を香り高いバンズで挟んだ「バーガー」
野菜や魚をふんだんに使った「惣菜パン」
焼き立ての「食パン」に「アンパン」「クリームパン」
さらにはスイーツまで常時２０種類以上が並びます
これらのレシピを考えお店をまとめているのがオーナーでありパン職人の清水麻衣さんです
変わったパンとかじゃなくって毎日でも食べれるような素直にしみじみ素朴においしいって思えるようなパンを作りたいです
だからこそパンそのもののおいしさが大切だという清水さん
生地の風味にはかなりのこだわりを持っています
それを一番感じることができるのがこの「バゲット」
１日２００本作ることもあるというグラン・ジュテの人気商品です
その秘密は粉の調合
風味を出したい粉と軽さを出したい粉とちょっと酸味っていうかそれも風味付けですけどライ麦粉を少し入れてます一番感じてほしいのは粉の甘みとあと高温でしっかり焼いてあるんで皮の香ばしさ…
こうして焼き上げられた「バゲット」はかたいパンが苦手な人でも食べやすいよう皮はパリっと薄め
中はもちもちかつ軽い生地
かむほどに粉のうまみと香りが広がります
午前７時半できあがったパンをカートにいっぱい詰めて担当スタッフが場内へと運びます
この場所でお店をやるならと始めた移動販売です
市場で働く人にとってパンは仕事終わりの小さな幸せ
カートがやってくるのを楽しみに待っています
市場の人たちは舌の肥えた食のプロ
だからこんな声も聞こえてきます
すごい唐突に「何とかのパン作ってぇや」とか「今日のはおいしくないわ」とか手厳しいことも言われるけどみんな食のプロが集まってるのでそれはすごく恵まれてることなんだろうなと…
魚屋さんのリクエストで商品化した「鮭バーガ—」や「クルミのマフィン」
青果の仲卸さんがオーダーした「エピ」など市場で誕生した商品も数知れず
開店以来進化し続けているグラン・ジュテのパン
午前１１時頃になると今度はスタッフが自転車で出発
週に４日大阪市内の街角で移動販売しています
ＯＬや主婦が好みそうなパンをできるだけたくさん持っていくようにしています
中央卸売市場の工房で焼き上げましたパンの移動販売グラン・ジュテでーすこんにちはああどうもお久しぶりです
「市場のパン屋さんだから」そういって来てくれる人も最近は増えてきたそうです
うちの店が市場にあってそこの魚市場で買ったおいしい鮭なんですって言ったら「ほんじゃ食べようか」ってなる人もおるからそういう感じでもっともっと市場らしさをアピールしたいとなとは思いますね
そのおいしさがクチコミで広まり店舗販売や移動販売に加えて最近はレストランからの注文も入るようになりました
ちょっとしたご縁で試食をさせてもらったら予想を３倍ぐらい…おいしくて
（清水）ありがとうございます
（平井）パンというものはレストランの中では脇役に徹してもらわないと困るんですねそういうところでおいしいパン探してたんですけど清水さん…パンの主張が強すぎずでも食べてもおいしい
現在パンを納品している飲食店のうち清水さんが配達しているのはほんの僅か
なんと市場の人たちがみずから取引先に営業し自分の店の商品と一緒に届けてくれているんです
失礼しまーす
（スタッフ）もうパン屋さんですね・パン屋です・魚屋です
市場の人たちの協力でグラン・ジュテのパンは今や２０数店舗の飲食店で使われています
清水さんがまだ行ったことのない店も多いんだとか
ほんとに今店が成り立ってること自体が市場の皆さんのおかげですねもうすごいありがたいです
翌日の仕込みなどを終え５時の閉店と同時に清水さんは必ず店を出ます
車を走らせて真っ先に向かうのは八尾市にある自宅ではなく保育園
彼女は２人の子どもを持つお母さんでもあるのです
主婦でありながら店を営むことができているのは家族の大きな支えがあるから
毎朝家を出るのは３時半
ご主人や子どもたちを起こすことも送り出すこともできない清水さんにとって夜は家族のために頑張れる唯一の時間です
頑張ってすぎて僕が打ちっぱなし行くのちょっと言えないぐらいの…この子らがねかわいそうかなって最初はつい思てしまうんやおばあちゃんの気持ちでね
清水さんはどれだけ疲れて帰った日でも家族の前では絶対に弱音は吐かないと決めています
「パン作りに携わりたい」そう思ったのは学生時代
近所のパン屋さんで販売のアルバイトをしてたんですけどパンを見るお客さんの笑顔が何て言うんですか幸せそうな顔するじゃないですかそれがやっぱり魅力やったかもしれないですね
神戸の有名店などでパン作りの修行を重ねましたが結婚して一度はその夢を断念
けれどあきらめきれず自宅でパン教室を開講
再びパンで笑顔になる人を見てもう一度夢を追いかけようと家族を説得しました
そんな時設備も整った市場の物件を見つけ念願の店をオープン
７名いるスタッフは全員女性
パンが好きなら誰でも働ける場所にしたいと主婦も大歓迎しました
ここに電話したら
仲間と助け合い市場の人や家族に支えられなんとかやってきた１年半
軌道に乗りだした今清水さんはこんなことを考えています
その思いをカタチにするため奮闘の日々が始まりました
果たしてどんな新作ができるのでしょうか？
大阪市中央卸売市場の中にあるパン屋さんグラン・ジュテ
パン職人の清水麻衣さんが昨年の４月にオープンさせました
彼女が作る素朴で優しい味わいのパンは市場で働く人々に大好評
厳しくも温かい食のプロたちのクチコミでそのおいしさが広まり今では２０数店舗のレストランに卸すまでに成長しました
（清水）うちの店は市場の人たちに支えられてる店なんですね何か恩返しじゃないですけど私たちも市場の人たちのために何かしたいなと思ってて…
最近野菜や魚が嫌いな子どもが多くその需要が減ってきていることに市場の人たちも悩んでいるのです
そのためにもまずは市場や食材のことをもっとよく知ろうと場内でリサーチすることに
まずは魚から
早速旬を迎える安くておいしいものを教えてくれます
オススメは天然のはまち
続いては果物
最近はハウス栽培が多く旬というものが消えつつあるといいますが…
そして野菜
ここでも趣旨を話すと色んなものを見せてくれました
市場の人たちの熱い思いも受け止めた清水さん
栄養があっておいしいものを安く提供したいと思っています
選んだ食材は身が締まった天然のはまち
鮮やかな夏野菜そして今が旬の桃
これで市場ならではのランチセットを作ります
子どもに喜んでもらえるよう主婦どうし意見も出し合いメニューを決めました
夏野菜はピタパンにたっぷり詰めてサラダ感覚で食べられるサンド
桃はそのもののおいしさが感じられるようシンプルなコンフィチュールにしてスイーツにすることにしました
この２品はイメージ通り
問題ははまち
特有のクセを消すため照り焼きにすることは決まりましたが合わせるものに苦戦していました
パン生地も一体どんなものがいいのか…
ベーグルやイングリッシュ・マフィンなど色んなタイプの生地を試しました
そしてはまちに合わせたのはなんとたくあん！
まずはペッパーを入れたたくあんのマヨネーズソースを合わせてみました
濃厚な味ではまちの臭みを消す作戦です
その味は…
今度は照り焼きのタレを薄くして塩抜きしたたくあんをそのまま載せてみることに…
それは分かります
という意見を受けてマヨネーズに梅干しを混ぜたソースを作ることにしました
パン生地も素材の味を生かすためもちもちでシンプルな風味の白パンに
さらにたくあんも優しい味の白たくあんに変更
ここまでですでに試作は２０回以上
その成果は…
うん…・いける？おいしい
８月中旬ランチセットを販売する前にまずは協力してくれた市場の人たちの意見を聞くことに
店の前で試食会を開きました
野菜・果物・魚それぞれに趣向を凝らしたパンはなかなか好評のようです
しかし…
照り焼きと梅の酸味だけでは特有の臭みを消し去ることができなかったようです
試食会のあとスタッフ全員でミーティング
市場の人たちから指摘された点や感想をまとめ試作案を練り直しました
発売１週間前からはお客さんに足を運んでもらえるよう移動販売先で告知も開始しました
「新作の商品を販売しよう」っていう日があるのでもしよかったら
発売前日はまちパンの試作はまだ続いていました
果たして無事完成するのでしょうか？
いよいよ市場のランチセット販売開始の日がやってきました
ギリギリまで試行錯誤を繰り返していましたが納得のカタチに仕上がったのでしょうか？
いや〜めっちゃいい感じです
名付けて「採れたて！市場んランチ」
旬の野菜をたっぷり詰め込んだ２種類のピタパン
全部で１０種類の野菜が味わえます
桃はそのおいしさがより引き立つように試作を重ね軽めのブッセに
はまちパンは臭みを消すためショウガ入りのタレを使い梅干しに大根とにんじんの甘酢漬けをプラス
市場ならではのセットになりました
この商品が市場を盛り上げるきっかけになることを願ったメッセージも添えられています
お昼時呼びかけの効果もあって大勢の人が集まってくれました
市場に来るのは初めてのお客さんも
ランチセットにお客さんたちは興味津々
子どもたちは早速その場で食べ始めました
苦労したあのはまちパン子どもたちの反応は？
どうやらはまちのクセを消すことにも成功しているようです
思いきってやってみたらこんなにみんな喜んでくれたのがちょっと感動しました
市場の人たちも様子を見にやって来ました
・はまちパンおいしい？・お〜すばらしい！
このランチセットは季節ごとに食材を替えて販売する予定です
清水さんの夢のツヅキは…
これからももっともっと色んな食材に挑戦して市場の方たちと一緒に子どもたちが市場の食材を好きになれるようなパンを作って市場を盛り上げていきたいなと思います2015/11/21(土) 11:00〜11:30
ＡＢＣテレビ１
ＬＩＦＥ〜夢のカタチ〜[再][字]
人生はいろんな夢でできている…夢追う人の輝く瞬間を佐々木蔵之介の語りで描きます。
今回は、大阪市中央卸売市場でパン作りに奮闘する女性パン職人の“夢のカタチ”！
詳細情報
◇番組内容
大阪市中央卸売市場にあるパン屋さんのオーナー兼パン職人の清水麻衣さん！
市場で働く食のプロたちを満足させる清水さんの美味しいパンの魅力とは？
市場の名物になるような“ランチセット”作りに挑む！
◇ナレーション
佐々木蔵之介
◇おしらせ
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー／教養 – ドキュメンタリー全般
情報／ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味／教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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