週刊 ニュース深読み「なぜ辞められない? “ブラックバイト”の闇」 2015.11.21


おはようございます。
週刊ニュース深読みです。
先週のこの時間にお伝えした、パリの同時テロ事件。
きょうで発生から1週間になりました。
まずはですね、その1週間の動きから振り返ります。
パリの中心部に鳴り響いた銃声、一連のテロ事件が起きたのは、現地時間先週金曜日の夜でした。
バーやレストランなど4か所では、男3人が銃を乱射。
39人が死亡しました。
同じころ、コンサートホールでも。
アメリカのロックグループの演奏中、3人の男が観客に銃を乱射した末、持っていた爆弾を爆発させました。
89人が犠牲になりました。
さらに。
サッカーのフランス代表とドイツ代表の試合も標的に。
スタジアムの周辺3か所で、3人が自爆テロを強行し、1人が犠牲になりました。
会場には、フランスのオランド大統領もいました。
銃撃や爆発は、およそ30分のうちに、合わせて8か所で発生。
その後、大けがをしていた人も亡くなり、犠牲者は130人に上りました。
オランド大統領は、非常事態を宣言。
捜査当局は、フランス全土で大規模な捜索を進めました。
水曜日には、パリの北のサンドニで、銃撃戦の末、武装グループ3人が死亡しました。
そのうちの1人が、モロッコ系のベルギー人、アブデルアミド・アバウード容疑者。
一連の事件の首謀者と見られています。
フランスにとって、戦後最悪のテロから1週間。
パリは追悼の祈りに包まれています。
今回の事件、改めてこちらで整理していきます。
これ、地図ですが、オレンジ色の点線で囲まれているのがパリ市です。
その北側、黄色い線で示されているのがサンドニ市、これら2つの市にまたがるように、たくさんのバツ印が並んでいるんですが、これが今回、テロが行われた場所です。
ちょっとですね、距離感がつかみにくいので、こんなものを用意してみました。
同じ縮尺なんですが、これ、JR山手線の内側に収まるぐらい狭い範囲、このバツ印が集中しているのが分かります。
例えばですね、この赤い×印の付近、パリ11区と呼ばれる地区なんですけれども、どういう場所かというと、こちらに事件前の映像があります。
あらっ、いい雰囲気の石畳の街なんですね。
そうなんですね。
中世からの職人が集まる庶民的な街だそうです。
この辺りというのは、もう一度地図に戻ります。
大統領府からおよそ4キロほどしか離れていなくて、国家の中枢の目と鼻の先でもあります。
こういった場所を襲ったテロ、合わせて、こちらですね、130人の方が亡くなっています。
この×印の色分けは?
実行犯たちは、3人ずつ、3つのグループに分かれて行動したと見られています。
そのグループごとに色分けされています。
1つ目のグループというのが、このサンドニ市のオレンジ色のバツ印、サッカースタジアムの入り口など3か所で自爆テロを行いました。
そして、2つ目のグループは赤色の×印、下にいきます。
コンサートホール、バタクランでコンサートの最中に銃を乱射しました。
そして3つ目のグループは紫色の×印、車で移動しながら、飲食店4か所を相次いで銃撃しました。
ここ、逃走中かという?
現在も逃走中という情報もあります。
金曜日の夜という、多くの人が集まる時間帯です。
そしてご覧いただきますと、分かりますように、大勢の人が集まる場所を襲っています。
およそ30分という短時間に、犯行は行われました。
周到に準備されたように見えます。
その首謀者と見られているのが、先ほども出てきました、こちら、アバウード容疑者なんです。
フランスのメディアは、アバウード容疑者は、現場にいた可能性もあると伝えています。
このアバウード容疑者なんですが、2013年にシリアに渡りまして、過激派組織IS・イスラミックステートの戦闘員になったと見られています。
そのISが、今回のテロ事件について、犯行声明を出しました。
さらなるテロも示唆していまして、世界各国で警戒が強まっています。
ISがインターネット上に公開している映像です。
フランスを名指ししています。
ISは今回のテロ事件について、犯行声明を出しました。
ISの拠点に対してフランスが行っている空爆を非難するとともに、さらなる攻撃をほのめかしています。
これに対しオランド大統領は。
事件の2日後、フランス軍はISの拠点2か所に、最大規模の空爆を実施しました。
国際社会もテロを強く非難しました。
直後に開催されたG20サミットでは、テロとの戦いはすべての国々にとって主要な優先課題だとする声明が採択されました。
ロシアのプーチン大統領も。
ロンドンで行われたサッカーの試合。
スタジアムがフランス国旗の色にライトアップされました。
スポーツの場でも世界が連帯しました。
一方、新たなテロへの警戒も強まっています。
爆弾のようなものと、ニューヨークの雑踏。
ISが公開した映像です。
ニューヨークへのテロを示唆したものではないかという受け止めが広がっています。
スタジオには、危機管理やテロ対策に詳しい、日本大学の河本志朗教授です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
ISのテロはこれから世界中へと広がっていくんでしょうか?
そうですね、実は、昨年からすでに、ISが呼びかけたテロの扇動に対して、これに呼応したと思われるテロが、実はアメリカ、オーストラリア、ベルギーなどですでに起こっているんですね。
すでに?
今回、いわゆる有志連合による空爆が強化をされて、ISがますます劣勢に立たされていますから、それに対する報復、あるいはISに対する有志連合の決意をくじこうとして、パリのテロなどを呼びかけたというふうに思われてますね。
追い込まれれば追い込まれるほど、こういうテロが起きるということなんですか?
そうですね。
報復という意味もありましょうし、あるいは有志連合の決意をくじいて、空爆を弱めさせるというねらいもあるかもしれませんね。
日本も例外じゃないんじゃないかと、心配する声を、この1週間、よく聞きましたが、どうなんでしょうか?
そうですね、ことし1月と2月にかけて、日本人が2人、イスラム国の人質になりました。
そして残念ながら、殺害をされてしまったんですが、そのときのビデオの中で、イスラム国は、日本人をこれからも殺害するという宣言をしています。
その後に続くイスラム国のインターネット雑誌の中でも、繰り返し日本は標的だというふうに言っているんですね。
さらに来年には、日本でサミットが開催されます。
伊勢志摩サミット。
そうですね。
有志国連合の首脳が集まってくるこうしたイベントでは、そこでもし、テロをすれば、世界中に彼らの主義主張でありますとか、存在感だとか、あるいは恐怖や不安を拡散することができますから、テロリストにとっては、格好の舞台になるということは考えておく必要があると思いますね。
その伊勢志摩サミットなどに向けて、日本国内でも、今、テロへの警戒が強まっています。
神戸市の港です。
来年、サミットの会合が開かれるのに備え、訓練が行われました。
これ、僅かに漏れる空気を測定できる、二酸化炭素検知器を使って、テロリストの居場所を突き止めます。
左右に分かれてお進みください。
大勢の人が集まる施設では、手荷物検査を強化するなど、警戒を強めています。
入場前に手荷物検査を行っております。
対策は都心の大動脈、地下鉄でも。
東京メトロでテロ対策などを担当してきた小暮敏昭さんです。
東京メトロが、テロ対策を強化するきっかけとなったのが。
外に出てください、外、外。
危ない、ガス出てるから!
20年前に起きた地下鉄サリン事件。
13人が死亡し、およそ6300人が被害を受けました。
今では普通に目にする、この透明なごみ箱が置かれるようになったのも、あの事件がきっかけでした。
これ、設置する場所は、係員の目が届く範囲だけだそうです。
例えばこういうコインロッカーですとか、こういう所もまあ、何か危険なものを仕掛けられたりという可能性はありますよね?
防犯カメラは、管理する170の駅すべてに設置され、本社と指令室で、どのカメラの映像も見られるようになっているということです。
対策はほかにもあるということなんですが、公表できるのは一部だけだといいます。
公表されない、できない対策については、私たちもお伺いすることはできませんが、専門家から見て、どうなんでしょう?こういう対策で十分だというふうに考えていらっしゃいますか?
そうですね。
防犯カメラの性能も上がっていますし、設置される数も増えています。
警備員もたくさん配置をされるなど、一定のテロ対策の取り組みは進んでいるというふうに思います。
なるほど。
でも今後、課題になることをこちらにまとめていただいたのですが、解説していただけますか?
テロ対策には、大きく見て3つポイントがあると思うんですね。
1つはまず、外国からテロリストを入れないという、いわゆる水際対策ですね。
2つ目は、それでもすり抜けて入ってきてしまったテロリスト、あるいは日本国内で生まれてきたテロリスト、彼らはテロをする前に、必ず準備をします。
武器を手に入れたり、爆弾を作ったり、あるいは計画をしたり、あるいはターゲットの下見をしたり、そういう準備段階で、いかに早くこれを察知するか、あるいは準備をさせないかということが2つ目、最後は、ターゲットとなった施設などで、警戒警備を強化して、テロを実行させないということですね。
先ほどの東京メトロの例というのは、この実行させないというところに当たるということですね。
そうですね。
カメラでありますとか、警備員を使って警戒、警備を強化をして、テロリストが容易に実行できないようにする、あるいは抑止をするということになりますね。
こちらは?
そうした3つの対策の中で、いずれも情報収集というのが、非常に重要になるということですね。
テロリストに関する情報を収集するということですか?
そうですね。
例えば水際対策でありますと、外国の治安機関から、テロ容疑者に関する情報を入れる、入手をするということが必要ですし、準備の段階ですと、不審な情報を、例えば市民から提供してもらうといったことが大事ですね。
市民から提供?私たちも何かやらなきゃいけないことがあるということですか?
そうですね。
日本の警察というのは、諸外国の治安機関に比べると、捜査権限は決して強くありません。
諸外国ですと、幅広い通信傍受でありますとか、テロ容疑者の身柄の拘束なんかもありますけど、ただ日本では、警察を中心に官と民、そして地域が一体となって、テロ防止を進めて行くという取り組みをしています。
特に重要なのが、国民の皆さんの強力なんですね。
国民の方一人一人が、テロを実際、起こりえるんだという警戒心を持っていただいて、例えば不審なものがありますよね、そうすると見過ごすのではなくて、すぐ警備員なり、係員の方に教えていただくというような。
よく駅で流れていますよね。
アナウンスが流れてますね。
それをただ聞き流すのではなくて、本当に不審物があれば、必ず届け出ると。
警戒心を持って、ちょっと自分ができることをしていただくということが、非常に大事だと思いますね。
いすの下をのぞき込むなんてことも、そのアナウンスを、車内アナウンスをきっかけにやってみることですよね。
そうですね。
警察だけでテロを防止することはできませんので、国民一人一人の警戒心と、国民の目でテロを防止していくということが非常に大事だと思います。
分かりました。
ありがとうございます。
ここまで日本大学の河本志朗教授に聞きました。
次です。
小野さん、最近、インターネットで買い物がずいぶんできるようになってきたと思うんですが、使ってます?
使いません。
私はお店で買います。
私は結構、インターネットで買い物をする派なんですけれども、ちょっとね、こんなデータがあります。
ネット通販の市場が、平成22年、5年前にはおよそ8兆円だったんですが、去年はぐっと伸びて、12兆7900億円と。
ずいぶん皆さん、お買い物なさってますね。
急増してるんですね。
こうしたネットのお店。
一方で、実際のお店も、なんとか消費者を取り込もうと、今週、新たな動きが相次ぎました。
これ、カメラの機能がついた眼鏡型の端末をかけた男性。
デパートの店員です。
離れた場所にいる人に、インターネットを通じて、デパートで買い物しているような体験をしてもらう試験的なサービスです。
ああ、お客様の目の代わりになって差し上げるというサービスですね。
店員の視線の先には、洋服がありますよね。
利用者のパソコンにも同じ映像が流れます。
自宅などにいたままで、商品の説明を受けることができるんです。
なるほど。
ありがとうございました。
と、そのまま買うこともできます。
1時間に届く毎日のお買い物。
ネット通販の業界では、スピードを競う動きも。
お届けものをお持ちしました。
ありがとうございます。
アマゾンは、注文を受けてから1時間以内に商品を配送するサービスを、1回890円で、東京の一部の地域で開始。
1時間?
はい。
住宅街の中に、専用の物流拠点を整備して、可能にしました。
同じ動きは各社でも。
楽天は、都内の一部で最短20分で。
大手スーパーのイトーヨーカドーは、4時間程度で、生鮮食品などを配送するサービスなどを展開しています。
一方で、ネットではなく、実際の店舗にこだわる動きもありました。
ネット通販で雑貨などを扱っている業者が、実際の店舗をオープンさせました。
やっぱり、自分で触って、確かめたいことってありますもんね。
そうなんです。
直接触れてよさを体感してもらおうというねらい。
洗剤の香りなどは、ネットでは分かりませんよね?
そうですね。
ネットに押されて一度は閉店した店も、戻ってきました。
大手CDショップ、HMVです。
5年前。
ネット通販や音楽配信の普及で、CDの売り上げが落ち込み、東京・渋谷の店舗を閉じました。
しかし、装いも新たにおとといオープン。
お客さんの反応は?
CDだけでなく、書籍や雑貨も扱っています。
テーマごとに組み合わせて展示する、複合型の店舗です。
ミニコンサートなどができるスペースも設けられています。
と、さまざま見てきましたが、小野さんはこのあとはネット、お店、どうしましょう?
いやいやいや、いろいろお客が便利になるように、努力してくださるのはありがたいのですが、まあ、買い過ぎないようにしないとね。
さあ、このほか今週は、こんなニュースもありました。
大相撲の元横綱で、日本相撲協会の北の湖理事長が亡くなりました。
62歳でした。
昭和42年に初土俵を踏み、昭和49年、史上最年少の21歳2か月で、第55代横綱に昇進。
歴代5位の24回の優勝を成し遂げました。
平成14年に日本相撲協会の理事長に就任。
一度辞任したあと、平成24年から再び理事長を務めていました。
九州場所は毎日会場に来ていましたが、体調を崩し、昨夜、直腸がんと多臓器不全で亡くなりました。
沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画を巡り、国と沖縄県が、法廷で争うことになりました。
承認する。
移設先の名護市辺野古沖の埋め立てを、おととし、当時の仲井真知事が承認。
しかし先月、翁長知事が取り消しました。
このため国は火曜日、知事の代わりに取り消しを撤回する代執行を求めて、行政訴訟を起こしたのです。
最初の弁論は、来月2日に開かれます。
働いたのに給料が支払われないなどのいわゆるブラックバイト。
仙台市の大学4年の男子学生が、アルバイト先の経営者に、給料の支払いなどを求める、労働審判を申し立てました。
労働審判は、労使間のトラブルを、通常の裁判よりも早く解決するための制度です。
学生は仙台市青葉区の飲食店で働いていましたが、去年8月からの7か月分の給料が未払いになっているということです。
また、最大で連続およそ40日の勤務が組まれて、大学の単位を落とすなど、学業に支障が出たとして、未払い分の給料や慰謝料など、およそ210万円の支払いを求めています。
学生は、自分と同じように、学生がアルバイトで苦痛な思いをすることがなくなってほしいと感じていますというコメントを出しました。
2歳の男の子にたばこを吸わせる動画です。
24歳の父親と、交際相手の16歳の少女が、月曜日、逮捕されました。
逮捕されたのは、栃木県足利市の無職、羽渕駿容疑者と、名古屋市北区の16歳の無職の少女です。
警察の調べに対し2人は、遊び半分でたばこを吸わせたと、容疑を認めているということです。
たばこを吸わされた男の子、健康への被害はなく、児童相談所に保護されているということです。
ハリウッドの人気俳優が、テレビ番組で驚きの告白をしました。
ベトナム戦争を題材にしたプラトーンなどの映画に出演したチャーリー・シーンさん。
4年ほど前、感染が確認されたことを明らかにしました。
感染を知った人物に、公にしないことと引き換えに、大金を支払ったことも打ち明け、こうした行為を終わりにするため公表したとしています。
まだ発症はしていないということで、今後、感染している多くの人の助けになりたいと話していました。
気象情報、南さんです。
続いて深読みのコーナー。
私も学生時代に経験したアルバイト。
今、大変なことになっています。
多くの人が一度は経験があるアルバイト。
皆さん、どんなアルバイトをしてどんな思い出があるんでしょうか。
しかし、今学生たちに付きまとうのは休みなしの勤務や過重なノルマなどの問題…いわゆるブラックバイト。
今週水曜、仙台市の大学生がバイト先の飲食店から7か月分の給料が支払われていないなどと労働審判を申し立てました。
厚生労働省の調査ではアルバイトをする学生の6割に何らかのトラブルが…。
一体なぜ、こんなことに…。
きょうは、辞めるに辞められないそんなブラックバイトの闇についてとことん深読みします。
きょうもメール、ツイートでのご参加、お待ちしています。
辞めるに辞められないアルバイトって、辞めたいときに辞められるのがアルバイトじゃないんですかね。
なんなんですかね。
おかしいですよね。
一体なぜ辞められないのか、ごしつもんもたくさん来ています。
長野県30代の女性。
やっぱり疑問に思う方、多いので、そこらへんからひもといてまいりましょう。
きょうは深読み初挑戦のプレゼンター、魚住アナウンサーです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
私、今、31歳ですが、最初、そういうふうに感じていました。
なんで辞められないのかなと。
ただ、違うんですよ、今の若者の認識が。
それを説明するために。
何が違うんですか?
違うんですよね。
十分お若いですけど。
それを分かってもらうために、実情を説明していきますね。
お願いします。
先ほど、国の労働省の調査で、バイトの関連でトラブルに遭った人、学生、6割ほどいるとありましたよね。
ブラックバイトといいますと、このようにね、劣悪な環境、これもちろんアウトなんですけれども、そうじゃないんですよ。
こういうね、深読みレストラン、フカレスのように、どこにでもあるようなレストラン、こういった所にも、ブラックバイトが潜んでるかもしれない。
これが怖いんですよ。
なるほど。
どういったもんですか、ちなみに。
説明していきますね。
深読太君、大学1年生。
彼、バイトをしなければいけない状況にあります。
それは、奨学金。
今、大学生の2人に1人が、この奨学金を受けて大学に行っています。
年々、大学の授業料、増えているんです。
読太君もバイトをして、生活費などの足しにしたいと考えています。
奨学金だけじゃ足りないんですね。
そうですね。
そこで今の若者、バイトといいますと、これ。
スマートフォン。
スマートフォン。
すぐ見つかるんですよね。
アルバイト急募。
この深読みレストランのバイト情報、出てきました。
週2日OK。
読太君。
週2日だったら、勉強と両立できるかなと考えました。
面接に早速行きました。
いらっしゃい。
君が読太君か、きょうから僕たちの仲間だよと。
もう採用。
週2日で採用するよと。
早速、もうね、仲間の証し、制服、似合うねぇ、読太くんね、いいね。
はい、2000円、給料から天引きしておくから。
制服、自腹なんですか?
そうなんです。
配られるわけじゃないんですか?
そうなんです。
仕事を続けますね。
続いては習2日で入りたいといった読太君。
店長言います、じゃあね、読太君ね、水、木、金、土、日。
週2日だったのに。
週2日からOKだから?
から。
そう、こういうふうに、一方的なシフト変更、これ、学生のアルバイトのトラブルで一番多い問題なんです。
そこで断れないものなんですか?
やっぱり断ればいいじゃないですか。
言えばいいじゃない。
2日しか働く気はありませんと。
無理なんです、勉強があるんです。
なかなか労働法の知識がない若者は、言いなりになってしまうケースもあるということなんです。
知識がないっていうのが大きいんですね。
さあ、仕事を続けますね。
読太君、昼間は勉強していますので、夜の時間帯、働きます。
11時、12時、1時、だいぶ疲れてきたな。
あー。
読太君、お皿割ったでしょ。
1枚100円、20枚だから2000円ね。
はい、没収。
取られちゃうんだ。
そして、やっと閉店だー。
読太君、誰のミスが分からないけど、赤字が出ちゃってるじゃん、おかしいよ、お金、合わないよね。
これね、はい、連帯責任。
みんなで割り勘!
アルバイトなのに?レストラン自体が赤字が出たら、経営者とかの責任ですよね。
赤字じゃなくて、あれでしょ、レジ締めたら、計算が合わないみたいな、一日一日のことですよね、きっとね。
赤字を補てんするケースもあります。
えっ!
もあります。
それはちょっとあくどいですよね。
続いていきますね。
だからブラックなんですね。
お店も閉まりました。
もう午前3時ですよ。
読太君、いいとこにいるね。
ちょっとさ、きょう、店汚れちゃったし、掃除やってってくれないかな?残業でね。
でもねこれ、給料ないから。
えー。
辞めなさい、読太君。
いや、本当ですよ。
深読みレストランは。
もうあしたから行かなくていいよ。
読太君もちょっとね、どうしようかな、辞めようかなと思っているんですけれども、最初にあった、なぜ辞められないのか、事情を見ていきますね、読太君の場合で。
就職に役立つ?
役立つんですか?
バイトが?
深読みレストランに就職したいんですか?読太君。
そうともかぎらないんですけど、正社員になるのが非常に難しいといわれています。
町なかの就職活動の指南本のハウトゥ本を見ますと、どれもが、アルバイトは就職に役に立つと書いてあるんですって。
実際、アンケートで、番組のアンケートで、アルバイトが就職に役に立つと答えた学生、これだけいました。
アルバイト経験が就職に役立つと思っている学生が67%。
67%も。
でも先ほど、スマホなどで、簡単に見つけることができるって言ってましたので。
深読みレストランじゃなくても、ほかのバイト先に変わればいいじゃないですか。
就職活動に役に立つの?それとも就職活動をしたあとに役に立つんですか?どっちなんですか?
就職活動に役に立つということです。
バイトで、こんなに苦しいときを…。
頑張りましたというのが実績になるということ?頑張りましたっていうアピールを。
就職活動でアピールできるということですね。
もしも、何個もやってるとこの子は我慢が足らないんだということで、不採用になる可能性もあるということですか?
1つの仕事をやり遂げたほうが評価は高いという風潮なんですって。
うそー、そうなの?
サークルで、みんなをまとめてきましたとか、そういうのがアピールになるのと同じような感じなんですか?
早見さんが、ほかの所に移ればいいじゃんとおっしゃっていましたけれども、こういったフカレスのこの過酷な労働環境、この店だけじゃないんですよ。
今ね、人手不足、非正規労働者4割います。
そうしますと、バイトは貴重な戦力なんです。
なのでほかの会社も、似たり寄ったりの環境があるんですね。
そうすると読太君、ほかに行っても同じかもなと思ってしまうわけです。
一方で企業も、人手不足ですから、バイトを大切にしたいということで、ちょっと辞めたいなと思ったバイトに、バイトリーダーが、いやぁ、読太君、君はね、本当に仕事がよくできる、もう社員並みの仕事を君に与えるよと。
シフト管理、金庫の管理、鍵管理などなど。
アルバイトに?
そうです。
そう思うとね、この読太君、あれ?もしかして僕、頼りにされてる?
忠誠心が。
でもそれは賃金に影響しないんですか、反映しないんですか?
賃金も多少、上がる場合もありますね。
なるほど。
こうなるともう、読太君ね、バイト、やめられない、頑張ろうってなっちゃうわけですよ。
たまにね、学校に行きます。
バイト休みの日。
おっ、鳴りましたね、今ね。
ぴんぽーんって、もう1回鳴りますか?
放送中は、携帯電話は切っておいてください。
違うんですか?
違うんです。
若者、スマホ持ってますよね、LINEのグループ、今、みんな、バイトのグループに入っているんだそうですね。
バイト仲間だったり、リーダーから、きょう、シフト入ってなど、来るわけですよ。
もう、そうするとこの忠誠心の読太君、バイトに行かなきゃと。
そうか。
なります。
急な頼みでも行っちゃう。
そうですね。
さあ、さらにまた学校に行きました。
今授業中です。
行かなきゃ!
えっ、授業抜け出してまで?
そうです。
それ、奨学金もらってていいんですか?
…にもなってしまう。
友達関係が崩れるとか、そういうことですか?
そういったこともあります。
バイト先の仲間関係。
仲間?
そういったつながりもあります。
めんどくさいですね。
大変ですね。
さあ、かくして最近、この大学では、読太君の姿が見られなくなったといううわさが広がっています。
大学で?
読太君、ちょっときょう、かぜひいてしまいました。
きょうは家で休んでいたい。
バイト、来いよ!ついには大事な試験の日。
バイトでしょと。
試験も行かずに?留年しちゃいますよ。
そうです。
今、留年しちゃいますよとありましたね。
このように、学生が学生らしい生活を送れなくなることを、ブラックバイトというんですよ。
ブラックバイト。
じゃあ読太君、どこに行ったか。
その後どうなったか?いない。
きょうからバイトリーダーの深読太です。
わーお。
きょうもなんか学生が来たね。
ようこそ。
フカレスに、君もきょうから僕の仲間だよ。
もうミイラ取りがミイラになってしまったということですね。
という話です。
それはなんか、でもほかの深読みレストランだけじゃなくて、ほかの企業もそうだということは、何か方程式があるような感じなんですか?
感じしますね。
…今の話にあった、バイトは戦力というね。
基幹労働化。
普通の会社だと、正社員とかがやる、中心的な仕事ですよね。
本来であれば。
ところがバブル経済が崩壊して20年余りになりますけれども、その間、日本の雇用システムはどんどん変わっていってるわけですよ。
つまり学生アルバイトまで使って、この基幹労働をさせるというような仕組みを取っている企業が増えているということ。
要は、コストを徹底的に削減する。
人件費が一番削減できるわけですね。
アルバイトの賃金、安いですから、正社員よりは。
どんどんどんどん、今、非正規雇用、アルバイト含めたパートとか増えていて、今の全労働者の4割以上になっていると。
そうした中でも特に、特徴的なのは、新しい企業。
どんどんこのようなファミレスみたいに、店舗を展開して、事業を拡大することで収益を得ようと、そうすると人がいりますよね。
その中で賃金の安いアルバイトをどう活用するかといったような企業が増えてきている。
利用されちゃうんですね。
でも、やっぱ学生がしっかりしていかなければいけないっていう話になってきますよね。
そうですよね。
もうちょっとしっかりしろと。
どうなんでしょう、坂倉さんは、全国のブラックバイトに悩む学生の相談に乗ってらっしゃるそうなんですけど、学生ももうちょっとしっかりしたほうがいいなというようなことなんですか?
そうですね。
実は僕たちブラックバイトユニオンという団体で、学生のアルバイトの労働相談を受けているんですけれども、一番多い相談が、辞められないとか、休めないという相談がやはり多いんですね。
どういうふうな相談、じゃあ具体的になんで辞められないのかというと、皆さん、辞めてはいけないと思ってたりするんですよ。
そうすると、さっきの話にもつながってくるんですけど、店長なんかに、例えばいざ辞めようと思っても、お前辞めるの?自分勝手だなとか無責任だなとか、仕事をなめるなとか、甘えるなとか、仕事と勉強、どっちが重要なのとか、そういうことを言われてしまう。
実際仕事が非常にたくさんあったり、責任も重いですので、そういったことで責任感をあおられてしまうと辞められなくなってしまう。
真面目な人ほどそうなるんじゃないですか。
真面目ですよね。
だから正義と悪というので、辞めることは悪なんだよみたいな感じで植えつけられてしまうと、だめなんじゃないかなっていう強迫観念で辞められないということですかね。
ブラックバイト、確かに諸悪の根源。
でもホワイトすぎる学生にも問題があるきがします。
自分の…を持ってバイトに取り組むこと、大切ですっていわれてたり。
自分は辞めたよって人もいますね。
いますね。
コンビニで罰金を払わされたからむかついてすぐ辞めた。
すぐって言っても2か月は頑張ったけど。
2か月は頑張りすぎだと私は思いますけど。
そのとき、両親に相談とか、要するに、人生経験豊富な先輩とかに相談とかしないんでしょうか。
そこはやはり、アルバイトが変わったということだと思うんですね。
かつてのアルバイトであれば辞められたし、休めたと思うんですよ。
先ほどの基幹労働化っていうのがポイントで、なんで、前、そんな簡単に辞められたかっていえば、補助労働だったんですよ、かつては。
正規労働の。
だから仕事場のメインの部分っていうのは、正社員がやっていて、補助ですから、だからきょう、少し学校で用事ができたと言って電話すれば、休んでも、職場はそれで成り立たないということはないですよね。
それから、基幹労働になるということは、相当の研修をして、仕事も習熟するってことになるわけです。
そうすると、働かせる側も辞められてしまっては困るし、本人もそれだけやりがいとか感じてるから。
辞められたら困るんだったら、大事にしないといけないんじゃないですか。
実態は、全然大事にされてないですよね。
大事にしなくても、辞めない事情があるんだと思います。
一番変わったのは、学生の経済状況ですね。
これは大学生の仕送り額の推移を見たものなんですけど、本当にこの20年間で、すさまじく下がってるんですね。
10万円以上というのが減って、5万円未満が増えてます。
これ、部屋を借りて生活すれば、普通10万円以上かかりますよね。
5万円未満だと、これ部屋代すら足らないということになります。
そうすると、これ、かつてのアルバイトは、基本的な学費や生活費は親が支えてくれていて、例えば、サークルとか、遊びとか旅行とかね、自分に自由になるお金を稼ぐためにアルバイトやってますから、それだったら、嫌なところだったら辞めて、しばらく間が空いても、大丈夫ですよね。
でもこういうふうに生活に食い込んでいると、これ、辞めてしまって次がすぐに見つからなかったらどうしようみたいな、あるいはずっと続けないといけない。
そういう学生が弱くなってることに、職場の側が付け込んでいる。
足元を見られてると思うんです。
先ほどは、入ったあとにシフトを変更されるってありましたけど、むしろ最初から5日とか6日とか、入れと。
で、授業があるんで6日は入れませんと言うと、そんな人はいらないよって言う。
そういうバイトも増えているんです。
これは学生で就活じゃなくて、バイ活といわれているんですけど、学校の授業に出ようとか、試験の勉強するっていうと、10社以上バイト落ちるっていう例が、私の周りでも、たくさん起こってるんですね。
かつてアルバイトにそんなに落ちるなんて、考えられないと思うんですけど、それは今度、働かせる側のほうが、学校と両立しない働き方を求めてるわけですよ。
そうすると学生は授業を大事にしている学生。
だから真面目だっていうか、学校と両立させようと思うと、決まらないという職場が多い。
どうせ入ってもそうですから。
そうですから。
苦しんでる学生から、たくさん、ツイート来てますね。
塾のアルバイトにて。
学校と会社。
どちらを取るのかと責められた。
つまり自分の学校なのか、かわいい生徒たちなのか。
どちらを取るのかと責められました。
学校を取りなさい。
高校生もありますよ。
去年は高2だったけど、クリスマスとその前後、計5日間で40時間働き、そのあと辞めるまでに半年かかった。
学費のためにバイトをしてるけど、連帯責任の罰金制度、残業代未払いは当たり前だと思っていた。
それが社会の暗黙のルールなんだと思っていた。
いいえ、その社会が今、驚いています。
うちのコンビニはノルマでクリスマスケーキ5件予約取れないと買い取りです。
これは違法ではないのでしょうか。
どうなんですか?
これはですね、あとでまたご説明しますけれども、無理やり強制的に買わせている、強要の場合は、それは違法ということになります。
あとはなかなか難しいのが、最近は自発的に買わせる、買うのは当然だよねというふうに思わせて買わせるようなそういったケースも非常に多いんですね。
しかもクリスマスケーキだけじゃないです。
これからのシーズン、おでんとかクリスマスケーキ、おせち、そうですね、おせちなんか1つ1万円とかしますから。
高いですよ。
おせちもそうですし、恵方巻きとか、母の日のプレゼントとか、父の日のプレゼントとかもノルマで買わせると。
そういうバイトをやってる人で、そういうような経験したら、もう本当、クリスマスがトラウマになったりしますね。
クリスマスが嫌いな学生、増えてるんですよ。
クリスマスこないだの学生は言ってました。
仮に月末締め15日がお給料日の場合、15日の給料日を最後に辞めようとしたら、じゃあ、先月の末からきょうまでの分は払いませんと言われる。
お金、合わなかったら出すの、学生時代は当たり前かと思ってた。
ちょっとこれ、いけませんよね。
何が。
経済的なね、なんというか、環境の変化というのもあると思うんですね。
というのは恐らく、こういう状況というのは、さらに環境としてはそういうのが増えやすくなってると思うんですね。
というのは、最近、ちょっと前までってものの価格が下がって、企業にしても、例えばいわゆる円高ということで安く海外から物を買ってたんですね。
そうするとコスト簡単に減らせましたですね。
ところが最近、物の値段が上がり始めてるんですね。
そうすると、ところが企業は大体、安く、例えばレストランでも安く売ってる、いわゆる低価格で売ってるところ、増えてますね。
ところがコストは上がってくるので、どこかで、圧縮しないといけない。
そうすると人件費をやっぱり減らしたいというのが出てくる。
かつ今は、一方で人手不足。
人手不足だと、本来給料は上がったりするんですけれども、日本の場合は、いわゆるパート、アルバイトさんっていうのは、正社員とかっていうのは結構、賃金交渉をして上げたりするんですが、そういう仕組みがないもんですから、かつ、企業としては人、取れないので、アルバイトの人をできるだけ長く使うと。
安いコストの。
要は企業としてはそういう追い込まれている部分もあって、要は、環境は変わってるのに、安いものを売っていこう、できるだけコストを安いものをという、そこと、今の環境が合わなくなってきて、そこにしわ寄せがね。
どうなんですか?違法なんですか?使っている側というのは。
そこですよね。
ツイートも来てまして、罰金や残業、未払いなど、建て前上のルールで、暗黙の了解だと、自分たちにとっては。
社会のこと知らないなんて、言われたら、何が正しいか、分からなくなってしまうんですとおっしゃってて、ここは一つ、はっきりさせたいと、この番組でも思います。
学生のためにね。
魚住アナウンサー、あれ、お願いします。
いろいろなところ。
すみません、ごめんなさい。
それがブラックバイトみたいなもんだから。
失礼しました。
厚生労働省の調査でも、6割が、そういったトラブルや経験があると言ってましたけど、実際に学生が経験したケースを、ここにまとめました。
例えば、仕事のミスが多いから給料を減らすと言われたとありますけど、これ、坂倉さん。
そうですね。
お給料というのは勝手に減らすことはできないんですよ。
もし減らすとしても本人の合意がないと減らしてはいけなくて、もしそれを勝手に減らすとしたら、単にお給料を払ってないということになって、賃金未払い、つまり違法行為になってしまいます。
次お願いします。
きょうは客が少ないから早く帰ってと言われた。
これもよくありそうですね。
特にサービス業、接客業などだと非常に多いですけれども、実はこういった場合も、休業手当と行って、最低限、給料、もともと支払われる給料の6割を、大体払わなければいけないんですよ。
これも払わなかったら違法になってしまいます。
仕事が終わって。
ミーティングで長時間拘束される。
こういう相談もすごく多いんですけれども、特に塾とかで、授業が終わったあとに会議が、1時間ぐらいあってみたいなのが、そういうのがよくあったりするんですけれども、もちろんこういった長時間、賃金を払われないというケースだと、それはやはり未払いということで、違法になってしまいますね。
急にほかの店舗のヘルプに入ってと言われた。
これも本当に多いんですよ。
ひどいケースで、飲食店で働いていたら、3時間離れた所に、ちょっときょう、たまには別の店に行ってよと言われて、派遣されて、しかも交通費も払われなかったという、そういう相談なんかもありますけど。
これは、もともとの最初に契約書をもらっているはずなんですね。
そこで、どこのお店で働くかと書いてなきゃいけないんですよ。
書いてなかったらそもそも違法ですし、そこと違う所に無理やり行けと言われたら、それは断ることができるんです。
そして皆さん、これだと思いますが、コンビニでおでん50個販売ノルマ。
これですね。
これは非常に多いんですけれども、強要すると違法ですけれども、あと勝手に給料から天引きをしても違法になります。
つまり断れるってことですね。
そうです、断って大丈夫です。
ノルマは断れる。
それから?
辞めると言ったら、代わりの人が見つかるまで待って。
これが僕らが受けてる中では実はこれが一番多い相談ですけれども、基本的に法律上は、2週間前に辞めますというふうに言えば、その2週間後にもう辞めていいということになっているので、別に代わりの者を見つけるのって、経営者の方の責任ですので、学生の人が代わりのものを見つけろなんて相談、多いんですけど、そんなことをする必要は全然ない。
学生の人たちはこれを知っていたら、もう少し、はっきりと意思表示をできるということなんですよね。
それは一つあると思いますね。
やっぱり労働法の知識もないですから。
公教育の中でね、就職についてのやり方は教ええるけれども、どうやったら企業に入れるか教えますが、こういう労働のルールについて、教えてないんですよね。
だからみんな知らない、知らないままに、ある意味、洗脳されてしまうようなところがあると思いますね。
なんか、ちょっと変わった感じ、しますね。
私たち世代は、権利ばかり主張して、あんたたちはって、よく怒られるんですけど、逆ですよね。
今の人、従順なんですかね。
空気を読むことを主に教わってるんですか?
そうですね。
先ほども、就活に役立つっていうのは出てたと思うんですけど、1990年代以降、就職が厳しくなる中で、学校でもキャリア教育っていうのが行われるようになってきたんですね。
そのキャリア教育というのが、ちょうどその就職が難しくなったときと時期が一緒だったものですから、学校でも、どうしたら会社に気に入られて、そのことによって、入ることができるかっていう方法、本来であれば、キャリア教育というのは、そういうことだけじゃなくって、仕事の能力とか、あるいは今の労働法のような、不当なことに対しては不当だといえるということを、バランスよく教えるべきだと思うんですけど、恐らく入った時期や手法に問題があって、とにかく職場に気に入られなさいっていうメッセージを、学生に送ってしまっている。
そうすると就職難で、学生は不安ですから、とにかく気に入られなきゃならないと。
しかもアルバイトでということになったときに、逆ですよね。
アルバイトで不当なことを不当というよりは、アルバイトで、こんなつらい経験をしましたって、語ったほうが、あっ、使える人間だみたいな。
そういう印象を持ってしまってる。
実際、調べてみると、本当にアルバイトの経験が役立ったかどうかって、だってほとんどの学生、アルバイトやってるから証明できないんですよ。
証明できないんだけど、しかしそれがキャリア教育と結び付いて、やはり、そういうことは役立つんじゃないか、だから学生に聞いたら、わざと、そういうきつい経験できるアルバイトを、就活のために選ぶという学生がいるんです。
それはでも、すべてなんだろう、文化的にもおかしいですよね。
その、気に入られるじゃなくて、就活してるときに、やっぱりどうやってこの会社に貢献できるかとか、そうやって自分の意見を持っていないと反対になんか、怖いなと思うんですけど。
そうですね。
だからそこで貢献とか、能力ってことが問われればいいと思うんですけど、むしろ適応力?今、大学でもインターンシップって、どんどん入っているんですけど、あれも職場体験ですから、何かを身につけるというよりは、その職場になじむとか、適応するっていう要素が強いですよね。
個の意思というのが弱くなってきてるということなんですか?やっぱりみんなに流されてしまうというか。
やっぱり、その意思は強いんじゃないかなと思います。
一人一人が責任を感じて、あれだけの仕事を大量にしているわけですから、昔の学生バイトなんて、こういう言い方はしたくないですけど、ある意味、気楽に働いていたわけですよ。
本当、われわれそうですよね。
すぐ辞めてました。
学生バイトというのは、真剣にやるものなんだと。
むしろ会社のほうも学生バイトは繰り返されてるように戦力化しているので、ちゃんと学生バイト、働かなきゃいけないんだということが、やっぱりすごく位置づけられているわけなんですね。
だって息子もひどいコンビニで働いているので辞めさせようとしていますが、バイトリーダーがもっとひどい目に遭っているので、助けたいんだと続けるんです。
こんないい子、そりゃ。
正義感が強いんだ。
仲間意識みたいな、残ってる人にしわ寄せがいってしまうということがある。
さらに店長にしわ寄せがいってしまうということで、辞められないなんて人もいたりします。
企業のほうもそういう、熱い思いのある人を採用したいなって、人事担当者が思っても不思議はないような気もしますね。
就職できる先っていうのが、いわゆるブラック企業みたいな、本当に、体力とか、単に耐える力、方向へと疑問に思わない。
ブラック企業に勤めてしまうわけですね。
ブラック企業の予行練習になってしまっている。
言ってしまえば。
それ、本当にブラックですね、学生だけじゃなくて主婦パートにもブラックは当てはまるという声も来てますし、実際、娘がブラックバイトと思われる学習塾で仕事をしていると思われるので憤りを感じます。
息子さんが、卒論に支障が出ましたっていう声。
そして、こんな声も来てます。
若者を粗末に扱う、このような国は、今後ますます衰退の一途をたどると思う。
…見えてこないのか。
国がね。
国が一億総活躍社会というだけでなく、具体的な策を打ち出して、ブラックバイトがなくなるようにするべきだという声も来ています。
じゃあブラックバイトを、どうやったらなくせるのかということを、ここからちょっと話していただきたいと思うんですけれども、その前にちょっと、魚住アナウンサーのこんなプレゼンをお聞きください。
今、学生みずから立ち上がる動きが広がっているんですね。
学生が労働組合を作っているんです。
札幌から大阪まで全国9か所あります。
学生も労基法などに対して守られているんですけれども、それを知らない学生が多いと。
それにつけ込んだブラック企業に対して、ノーモア・ブラックバイトと、組合が法律を武器に立ち向かっているんです。
ちょっといくつかケースをご紹介いたします。
学生アルバイト、仕事の悩みがあります。
先ほども紹介しましたけれども、賃金未払いに自腹購入など、いっぱいあるんですけれども、会社との間に入るのが、ブラックバイトハンター。
ブラックバイトユニオンに加盟している学生たちなんですが。
何をするかといいますと、悩みを抱えているこの女性の所にまず行きまして、聞き取り調査をします。
LINEだったり、メール、雇用契約書などなどがありませんかと、まず証拠を固めます。
それから法律に詳しい学生が、親身になって相談します。
そしていざ、向かうは、会社。
ブラックハンターが悩みを抱えている女性と一緒に行くことが、非常に心強いと。
そして会社に対して、雇用契約書、渡しましたか?通知しましたか?労基法に違反してませんか?などなど、交渉します。
そうすることによって、企業から改善を引き出すことができたんです。
本当は、大手の学習塾、飲食店、アパレルなどなどで、困っている学生と共に力を合わせて、自分たちの働き方を変えていっているんです。
それ、改善だけであって、ペナルティーは科されないわけですよね。
企業に対して。
どうでしょうか、坂倉さん。
そこはこういった、私たちはまさにこれをやっているわけですけれども、例えば調査、相談を受けて調査をやって、会社に交渉することありますし、行政に告発することもあります。
労働基準監督署という部署があるんですけれども、そちらから指導させるとか、そういったこともやることもありますし、さまざまな手法を取って、ブラックバイトをなくすための取り組みをしています。
ペナルティーというか、もう、公に出れば、やっぱり嫌だから、みんな辞めていくと思うんですよね。
それ、どんどんどんどんしていったほうがいいと思うんですけども。
そういった問題、明らかに違法行為をしているような会社なんかについては、社会的にどんどん発表していくという、そういう取り組みなんかも私たちではやっています。
ですけど、あれですね。
昔は学生は、学生のアルバイトって、どっか支援する気持ち、雇う側も。
なんか、この子がいつか、将来、社会の役に立つかもしれないかなと思って、応援するっていうか、なんかそうやって応援してもらった記憶があります。
経験があります。
それがどうしていつの間にか、こんな、学生がみずから、組合を立ち上げて身を守らなきゃいけない時代になったんだろうというような。
一切気持ちがなくなってますよね。
嘆きたくなってきました。
やはり、労働側と経営側の労使の関係というのが、だいぶ変わってきているということなんですよね。
昔のように、今労働組合の組織率って、20%切ってるんですよ。
17%ぐらいかな。
これは企業の労働組合。
そうすると、労働側の、働く側の権利の主張、これがなかなかできにくい環境が、やっぱり日本の社会に広がっている。
そうなると、こういう坂倉さんのように、学生たちが立ち上がらなければいけないような現状が起きてる。
学業を置いといてですよ。
こういうことが問題だということをまず私たちは考えなきゃいけないと思うんですよね。
そうですよね。
でもどうしたらいいんですか?
それとですね、日本の労働組合の在り方っていうことも、実は関係していると思うんですね。
日本とこれ、フランスを例に取り上げてます。
ヨーロッパ、大体、こういうケースなんですけどね。
ヨーロッパっていうのは、産業別に1企業の組合というよりは、産業とか職業で、横の連帯というのはあるんですね。
ところが日本っていうのは基本的には企業ごと、どちらかというと、正社員中心な組合になってるわけですね。
労働者が守られやすいのは、やっぱりフランスのほうが守られやすいんですか?
厳密に言うと、組織率、いわゆる、さっき村田さんがおっしゃった組合の組織率は低いんですけれども、ところがヨーロッパは、特別な仕組みがあって、こういう組合が決めたことが、いわゆる非正規の人たちにも適用できるっていう仕組みを作ってるんです。
ところが、日本はそういう仕組みが基本的にないんですね。
そうすると、正社員のほうは守られていくんだけれども、結局、だんだん、経済環境が厳しい中で、例えば海外との競争とか、企業はコストダウンしたくなってきますね。
そうすると、非正規の人をどんどん使っていく。
そこの条件を守る仕組みがなかったもんですから、どんどんどんどん、そこにしわ寄せが行ってる、そこの一つの典型が、学生、今の、ブラックバイトになってるという、そういう構図があるっていうことなんですね。
そこから変えないとだめなんだ。
そうなんです。
結局、ヨーロッパなんかだと労働組合というのは、当然のようにあるわけなんですよね。
ところが日本でこういった形で学生ですとか、アルバイトの方なんかは特に、なかなか守られない。
そもそも組合には入れないし、組合のほうも、特に入らせようともしてないので、もう完全に取りこぼされてしまうんですね。
そういった人たちをちゃんとカバーして、ちゃんとサポートしていくのが、僕たちのような、学生ユニオンの取り組みになるということなんですよ。
それがね、結局ね、賃金にもはね返ってくるというところにも問題があるわけなんですよね。
賃金?
賃金。
国際比較で見ますと、これ、最低賃金、これ、法律で最低限、支払わなきゃいけないわけです。
これに違反するとペナルティーがある。
最低賃金というんですけど、日本の場合は、国が目安を決めて、都道府県ごとの実情に応じて決めるんですが、平均がことし18円上がったんですが、平均で。
それでも798円。
時給です、これ。
これね、外国と比較しますと、今、例のあったフランス、高いですよね。
1300円ぐらいあります。
アメリカも低いようにありますが、連邦政府の最低賃金なので、州ごとにそれぞれ…、1000円超えているところあります。
なおかつ最近の動きとしてはアメリカでも、時給で1800円ぐらいかな、15ドル、しようという、そういう取り決めをしていってる州も出てきている。
はい、分からないことがあります。
最低賃金が低いから、学生がブラックバイトに悩まされてるんですか?
最低賃金ぎりぎりの方ってすごく多いんですよ。
ですので最低賃金上がれば、もう少し賃金も高くなってくるので、学生の扱いも多少変わってくる部分はもちろんあると思います。
待遇も変わってきますし、まず要するにね、何がこれで言いたいかというと、非正規労働がどうして増えてるかってことです。
その中でアルバイトも増えてるわけですね。
非正規労働がなぜ増えてるかというと、賃金が安いからなんです。
なるほど。
正社員より賃金が安いから、安い労働力として、使われてるわけです。
最低賃金を上げれば、もう企業も、それだったら正社員を増やしてもいいじゃないか、そっちのほうがいいじゃないかというふうになるんですか?
同じような労働をやってるわけですね、正社員と。
にもかかわらず、正社員とは非常に低い、よりも低い賃金しか今は支払われていないという、そういう労働に対する対価として、どういった賃金を設定するか、これは非常に重要で、ここを変えていかないと。
使い勝手がいいんですよね。
そういうことですね。
そこを底上げしてあげないことには、企業側も考えが変わらないと。
学生だから最低賃金でもいいっていうのが、昔からずっとあるわけですよ。
ところが、もちろん学生自身も、今お金がなくなってきてるということもありますし、雇っているほうは、学生だから安いから、どんどん使っちゃえということで、責任どんどん負わせていく、正社員並みの仕事を負わせていく。
そうするともうすごく利益が上がっていくわけなんです。
最低賃金って大事なんですね。
特に僕らに相談に来るケースは、実は業界も結構限られてるんですよ、ブラックバイトの相談って。
ほとんどが、3つあって、1つは飲食業、ファミレスとか居酒屋とかそういうのですね。
あとはコンビニとかアパレルとか、量販店、小売店ですね。
小売業。
そして塾なんですよ。
このあたりは、言ってしまえば人件費をどれだけ削ることができるかってところで、ある意味、売り上げがどんどん上がってく、急成長していけるという、そういう業界なんですね。
なので、まさに学生のアルバイトを酷使することによって、そういった業界がかなり成長してきた。
ある意味ブラックバイトというのは、サービス業の利益の源泉とまでいえるのではないかなと。
なんか。
いいですか?
まさにさっきの話、最低賃金は日本は低いという話と、あとは非正規の人は守られてないという、この2つがあって、どんどんどんどん学生アルバイトを中心に非正規にしわ寄せがいっているという構図ですよね。
本当はこれって、もっと最低賃金を上げていく、それからしっかりした非正規の方の労働環境を守っていくということになってくると、ある意味、適正なコストっていうのがあるはずで、そうなってくると、企業は、今、ともかく安くっていうのが浸透してますけれども、本当はこれ、コストが上がってくると、経営のほうが少し、工夫をして、もうちょっとなんか新しいものを作ろうとか、もうちょっとお客さんが喜ぶことを頭を使って、経営のほうがいろいろやってっていう、そっちの方向に転換していかないとだめです。
ところが、十分これができてないもんだから、相変わらず安いものっていうのが、これがまた賃金が安くなるっていうですね。
賃金、皆さん、安いから、安いものしか買わないっていう、悪い悪循環が日本は起こっているということですね。
…も関係してるんですね。
安かろう、悪かろうであれば、高度な教育は入らないわけですよ。
逆に言うとなんで大学に来るかっていえば、そこでいろんなものを身につけていく。
そのことが付加価値の高いものを作れることになると思うんですけど、かつては学生さんって言われてましたよね。
今はバイトに行くと、学生気分は捨てろって言われるんですよ。
学生がですよ。
その学生気分は捨てろってことは、学生に学生時代を過ごさせないということです。
ということは、われわれ一生懸命教育をしても、学生が何も身につけることができない、そんなことやってたら、本当に日本経済はもつのかっていう。
確かに、短期的には安く使ったほうがいいけれども、やっぱりそれは、長期的に考えれば、大学で学ばない人がこんなに出てしまったら、誰が付加価値の高いものを作るんですか?歌手だって、ボイストレーニングが必要だし、コメディアンだってねたをちゃんと仕込まなければ、おもしろいことはやれないわけで、学校で学ぶから付加価値の高いものが作れる。
そういう点では、ブラックバイトを放置することは、日本経済の将来にとって、とてもまずいと思うんです。
あと心もゆがんでいくんじゃないかと思うんですよね。
やっぱりそういう経験と、大人って、こんなものなんだと、社会ってそういうことなんだっていって、やっぱりずるしようとか、なんかそういうふうな方向になっていくんじゃないか。
自分だけ得すりゃいいみたいな。
それが一番怖いですよね。
責任を感じていくやっぱり自分が責任を負わなきゃいけない、自分が悪いと思っている人多いんですよ。
辞めたら自分が迷惑をかけると思っている人が多い。
それを改善しようと思ったときに結局国は全然対策が今のところ、できてないですので、実際に働いている人自身がああやって解決していく。
でもその心って大事じゃないですか。
人助けになりますから。
それはすごく重要で。
国の対策って重要で、簡単に言うと、来年3月から、ブラック企業の求人をハローワークで受け付けないようにする対策。
これやるんだけど、やるんですが、アルバイトは対象外なんです。
プレゼンであったみたいに、民間のスマホとかで今、探しているわけですよ。
ハローワークに行く学生、少ないんですが、ここだけしか対象になってない。
そういう中途半端な感じになってる。
それからもう一つは、ブラック企業を公表しますと、ことしの5月から始めたんですが、まだ一度も報告がない。
公表されてない。
これ、理由は対象になるのが大企業に限定されてる。
しかも、1つの事業所、例えばファミレスだったり、1つのお店でこういう長時間労働が違法な長時間労働があるだけじゃだめなんです。
少なくとも3か所以上とか、いろんな条件が、ハードルが高いんですね。
だからもう少し、アルバイトまで含めて、なんらかの対策を今ね。
取らなければいけない。
社員ってやっぱり弱いから、言ってしまうとなんとなくっていうふうなのもあるんじゃないですかね。
学生バイトのうちから、ある意味声を上げられるようにしていくというか、そういう練習にもなると思うんですよね。
結局、国とか政治家でも変えられない労働条件を、ちゃんと学生であっても…。
学生からすると、それをやってしまうと、めんどくさい人って見られてしまうんじゃないかなと。
結構、就職活動に響くんじゃないかなと。
名前とか出すわけじゃないので、それはもう、ちゃんと社会活動が、こういうことができるんですね。
だからそのマインドね、そのマインドを変えられるかどうかですよ。
そこで自分が言ったらだめなんじゃないかじゃなくて、言わないと、言ってみようというふうに思えるかどうか。
そこが勝負だと思います。
2015/11/21(土) 08:15〜09:30
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「なぜ辞められない? “ブラックバイト”の闇」[字]

なぜいま“ブラックバイト”が広がっているのか?過酷な状況にも関わらず、学生はなぜ辞めないのか、辞められないのか?深読みする。

詳細情報
番組内容
学生生活に支障をきたすような過重な労働を強いたり、厳しいノルマを課すアルバイト、いわゆる“ブラックバイト”が社会問題化している。今月発表された厚生労働省の調査では約6割の学生が「一方的なシフト変更」や「残業代の未払い」など何らかのトラブルを抱えていることが明らかになった。なぜいま“ブラックバイト”が広がっているのか?過酷な状況にも関わらず、学生はなぜ辞めないのか、辞められないのか?深読みする。
出演者
【ゲスト】レッド吉田,早見優,【解説】中京大学教授…大内裕和,ブラックバイトユニオン事務局長…坂倉昇平,日本総合研究所チーフエコノミスト…山田久,NHK解説委員…村田英明,【キャスター】小野文惠ほか

ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
スポーツ – スポーツニュース

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 1/0モード(シングルモノ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:7906(0x1EE2)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: