韓国が危機に直面している物価のインフレは何も生活必需品だけに限った話ではない。電気料金、ガス料金の値上げなどで、一番苦しむのは韓国の庶民である。さらに言えば、低所得の庶民こそが、一番、物価インフレに苦しめられることになる。
今、韓国では所得の二極化が凄まじい早さで進行している。大企業のみが輸出好調で好成績を収めてるのが二極化の主な原因である。
金持ちの人間はさらに金持ちに。お金がない人間はさらに貧しい生活を送るようになっているのが現実だ。つまり、貧困層が増加しているわけだ。
2009年、韓国の貧困層が300万人を突破した。貧困層を養っている扶養家族を含めると700万人。これは韓国の総人口(4800万人)の18%に達する。そして、2年間で絶対貧困層がなんと50万人も増加している。
しかも、韓国政府の絶対貧困層支援での救済も遅れており、50万人のうち救えたのがわずか2万人に過ぎないという。また、この統計には農漁民世帯を入れてないので実際はさらに多いといわれている。 このように韓国では所得格差が広まっているわけだが、その低所得者層に今年の冬は最悪だったようだ。
◎電気料金の爆弾が襲いかかる貧困層
物価インフレ、資源高に伴う、ガス料金の値上げもあり、ガス暖房の代わりに、電気カーペット、電気毛布などを使う低所得者層がこの冬は多かった。しかし、それが罠だった。韓国の電気料金は累進制であるために、使えば使うほど電気料金が高くなる仕組みになっている。
この電気毛布自体は1日8時間使用しても、電気代はわずか1万ウォン(だいたい730円)なのだが、生活に必要な電気はそれだけではない。照明、TVなどにも使うだろう。そこに電気毛布の電気代が加わり、使用量が二倍になると一気に値段が跳ね上がる。
韓国の平均世帯の1ヶ月の電気代は4万ウォンなのに、二倍になると19万8,000ウォンと5倍近くに膨れあがってしまう。いくら低所得者(貧困層)だからといって、ひたすら電気を無料で提供することはできない。そのために断電に追い込まれていく低所得者が増える。もっとも、最小限の生活用電気は供給しているそうだが、それでも低所得者層に辛い日々が続いていたことになる。
韓国経済について、日経新聞が堅調だと述べているのに対して、所得格差の二極化が進み、物価インフレ、個人債務増加で苦しめられている韓国人が急激に増加している。今まで記事にしたことは問題の大きな要因の一つであるが、まだ他にも色々あるのだ。それが全て、韓国経済に3度目の危機が迫っていることを告げている。