日本の話芸 落語「船弁慶」 2015.11.21


(テーマ音楽)
(出囃子)
(拍手)
(桂雀三郎)ありがとうございます。
私のほうもよろしくおつきあい願っておきますけれども。
もう夏も終わりましたが私は夏が大好きでございましてね今日は去りゆく夏を惜しみながら夏のお噺を聞いて頂こうかなと思うんでございますが。
しかし今年も暑かったですね。
大阪は大体暑いですけども大阪はね大体街全体が暑苦しいんですね。
まぁしかし今はねどこへ行きましてもこうしてエアコンとかあってもうそんな事はめったにございませんが。
昔はそういうのが無い代わりにそれなりにいろいろと涼み方というのは皆考えてたようですけどもいろいろあったようで。
まぁ真夏のお噺を聞いて頂きますが。
「おう。
喜ぃ公居てるか?」。
「あ〜清やんかいな。
まぁこっち入って」。
「おう。
この暑いのにお前よう精出して仕事してるやないかい」。
「精出して仕事してるっちゅう訳やないねんけれどもな…」。
(槌を打つ音のまね)「じっとしてても汗が出てくるやろこうしてな手でも動かしてたら気ぃなって紛れるかいなと思てなこないしてんねん」。
「エエ〜ッ?でお前それ最前から一生懸命何拵えてんねん?」。
「もう暑すぎてな自分でも何作ってんねや分かれへんねん」。
「何やねんそれは。
ええ?それはそうと家ん中えらいひっそりしてるけどお松っつぁん留守かい?」。
「うん。
昨日な上町のおっさんが具合が悪いっちゅうて知らしに来よってな見舞いに行ってまだ戻ってきよれへんねん」。
「留守か。
そりゃちょうどええわ居ってもうたら具合が悪い。
というのがなお前とこの嫁はんうるさいさかいなええ?よう喋るやろ?口の辺りに黒子があるやろ?あれ喋り黒子っちゅうねんで。
世間でもお前とこの嫁はんのことをまともに『お松っつぁん』と呼ぶ者は一人もあれへんがな。
皆『雀のお松』『雷のお松』ってな二つ名がついたあんのや」。
「ハハハそったええわい」。
「喜んでんねやあれへん。
いや居らんのがちょうど幸いというのがなこの間そう皆寄った時にな一遍集まったら船行きでもしようかっちゅうてたやろ?あの話がまとまってな今日行く事になったんや。
うん。
あの時お前も一緒に居ったよってにな誘わなんだらあとで怒るやろと思てほんで寄ったんや。
どや?行くか?」。
「行く行く行く行く行くで。
そな誘ってくれなんだら怒るとこや行くで。
で誰々が行くねん?」。
「この間寄ってた連中ばかりやまず米屋の米公に牛屋の丑公な?植木屋の松公に金物屋の鉄うん風呂屋の勇公に漬け物屋の孝公うん」。
(笑い)「で大工ののこに左官屋のこて公」。
「こて公?そんな奴居るか?」。
「居る。
友達やないかい。
な?ほんでまぁお前に俺と大体そんなとこか」。
「なるほど友達ばっかりやな。
清やんちょっと待っててな私蒲鉾でもちょっと提げていくわ。
この間他所からもろたやつで上等の蒲鉾があんねんあれちょっと持っていくわ」。
「もっちゃりした事を言いないな『蒲鉾でも』て。
ええ?そんな物持っていかいでも肴は浜から生きのええのぎょうさん仕入れてあんねん。
板場が乗ってんねん。
薦被り一丁デ〜ンと据えて飲みしだいの食いしだいっちゃっちゃ。
男ばっかりでは骨っついていかんっちゅうのでミナミから芸妓が知らしてあんねん大松に小松や唐松に荒神松な?おちょねにこちょねと」。
「ワ〜ッこちょねも行っちょんの?私こちょね好きやあれうまが合うねん。
清やんそれ誰の奢りや知らんけどなお前のほうからもあんじょう礼言うといてや。
私も言うで私も言うけどなお前のほうからもあんじょう礼言うといてや」。
「お前起きてるか?お前。
違う。
今私が言うた中でやで『よっしゃ今日は私が奢っといたろ』っちゅう奴が一人でも居てるか?おい。
ええ?皆お前もう隙があったら『よばれとこか』ってそういう奴ばっかやないかい。
今日はお前割り前や」。
「ええ?ほな何かいな清やん今日は割り前か?」。
「何や声の調子が変わったな」。
「変わらいでかいな。
大体誰でもいつもな旦那衆が居てるが」。
「さぁそれやな?たとえ一人でも旦那衆が居ったんでは飲む酒が身につかん。
今日はわれか俺かの友達ばっかりで気がねなしに気こんかいに飲もかっちゅうねん」。
「私気遣うてもええさかいにただで飲みたい」。
「嫌らしい事言いないな。
たまには自分の金で飲め。
また味が違うで」。
「それになんぼほど要んねん?」。
「私らのこっちゃ高いこと言うたかてしゃあないわな一人前3円や」。
「ペ〜ッ3円?」。
「どこから声出してんのお前」。
「3円でっかいな。
もう無茶言いないな私ら職人やで3円儲けようと思たら何日働かんなんや分からん」。
「そんな事言うたら皆一緒やないかい。
ええ?儲けるのは毎日で使うのはたまや。
な?たまには景気ようパ〜ッと使え」。
「そんな言うけどな私ら嬶と二人暮らしやで3円がん塩買うてネブっててみいもう何年あるや分かれへん」。
(笑い)「お前ともの言うてたら嫌になってくるわ。
船行きしよかっちゅうてんねんで塩買うてネブってる?えらい違いや。
大体なこんな話お前とこ持ってきたん間違いや。
うん。
私も銭の要るこっちゃさかいな無理にとは言えんわいほんなまぁお前そないしてな汗かいて塩なめて仕事しとけエヘヘ。
私らこれから船に乗ってな涼しい風に吹かれて生きのええ鯛の造りで灘の生一本キュ〜ッと飲んできれいなお姐さんに背中の一つもポ〜ンと叩かれてこうかいエヘヘヘ。
行てこう」。
(笑い)「清やんチョッちょっと待った。
まぁまぁお戻りまぁお戻りまぁそう気短こうせんとまぁお戻り。
またいかようにもご相談にお乗り申しま」。
「何言うてんの。
古手屋で物買うてんねやないで。
ね〜?」。
「いやいやア〜ッハ〜ッハ〜ッア〜ッ」。
「何やねん?」。
「いやそれえらい面白そうや」。
「当たり前や遊びに行くねや面白のうてかい」。
「そんなん聞いたら私ら阿呆らしゅうて仕事なんか行ってられへん」。
「そない思うねやったら行きぃな」。
「ウ〜ンけど3円」。
「おい。
やめんねやったら呼び止めな俺はもう辻曲がりかけてんねや」。
「けどそれ行たら面白いやろな〜」。
「当たり前やないかいええ?船に乗って川風に吹かれてな?ご馳走ぎょうさん並べてええ酒飲んで白粉の匂いプ〜ンとかざ嗅いでみいまぁ3年は寿命が延びるで」。
「アッハ〜ッハ〜ッアッハ〜ッハ〜ッ」。
「何やねん?」。
「ア〜ッ私やっぱ行くわ」。
「行くのか頼りない奴っちゃで。
いやしかしそうこないかん。
うん。
ほな早いこと拵えしい」。
「ウ〜ンけど3円」。
「おい」。
(笑い)「そない3円が惜しかったらやめときぃな」。
「惜しいっちゅう訳やないねんけどな私ちょっと心配やねん」。
「何が心配やねん?」。
「今お前が言うた芸妓なるほどあれ私の馴染みばっかりやでけど私が自前で行て馴染みになったんと違う。
皆他人に連れてってもうて馴染みになったやっちゃろ?そうやってな皆私の顔見たかてなまともに『喜ぃさん』と呼ぶ者は一人もあれへんで。
いつも他人の尻にばっかりついてるさかいお供でばっかり行ってるさかい『弁慶はん弁慶はん』やがね。
このごろ弁慶流行らんよってひっくり返して『けんべはん』なんか言いやがんねんね」。
(笑い)「同じ金出してて『弁慶』やの『けんべはん』やの言われたら3円の割り前が泣きまん」。
「おう喜ぃ公。
向こうは玄人やで商売人やで今日は自前で来てるか弁慶で来とるかそれくらいの事お前ちゃんと分かるが」。
「見ると分かるか?」。
「分からいでかい。
よっしゃよっしゃ分かった。
いやお前の言う事も分かる。
そりゃそやなこないして毎日汗水流して儲けた銭や。
ほなこないしようか向こう行てな誰ぞがお前のことを『弁慶』やの『けんべはん』やの一言でも言いよったら俺はもうお前から割り前取らん」。
「割り前取らん?」。
「俺が出したる。
そうやって行け」。
「それやったら行くわ」。
「現金な奴っちゃで。
ほな早いとこ拵えしい」。
「けど3円」。
「まだ言うてんのかい」。
(笑い)「今ちょっと無いねん」。
「なにも今出さいでもええ。
私が立て替えとく」。
「あ〜そうかえらいすまんな。
ほなちょっと待ってな。
ほならこれなちょっと20銭だけちょっと取っといてくれるか?」。
(笑い)「何や?それ」。
「いや3円の内金や。
うん。
あと5銭ずつ月賦で払う」。
「あかんでそれ」。
(笑い)「そんなもんお前返してもうたような気にならん。
ええ?まとめて返してくれ。
とにかく早いこと拵えしい」。
「うん」。
着物を着替えてますところへ帰って参りましたのがここの嫁はん。
何しろ「雀のお松」「雷のお松」と二つ名がついたあるだけに表から大きな声張り上げよって。
「お〜暑やな〜」。
この声聞くなり清八は段梯子の隅に小そうなって隠れてしまいよった。
喜ぃ公は着物を着替えたまま仕事場の真ん中へヘタヘタヘタ芋虫が頓死したみたいにへたばってしまいよった。
「お徳さん。
おおきはばかりさんへえ今帰ってきました。
いいえ昨日あのやかましうち呼びに来たよってにな慌てて飛んで行たら阿呆らしいおっさんほんの風邪ひきだんねやわそれをあのおっさん今にも死にそうな声出してウンウン唸ってまんねやで私の顔を見るなりケロッとしてな『よう来てくれた。
一遍お前に会いたかったんや。
スイカの冷えたの食べへんか?私も一切れつき合うで』てこんな事言うてまんねん。
もう阿呆らしなってなじきに帰ろうと思たらおばはんがな『なにもせっかく来たのに逃げるようにしんかてゆっくりしていにぃな』て言うもんやさかいついうかうかと喋ってたら晩になってしもて晩御飯よばれて箸置くなり帰る訳にもいかしまへんやろ?まぁちょっと世間話しといてじきに帰ろて思てたらまたあのおばはんよう喋りまんの。
いつもの息子自慢。
いつもあても終わらしまへんがな。
とうとう夜が更けてしもてな『こんな晩遅うに女子の一人歩きは危ないさかい泊まっていたらどや?』って言うもんやさかいそれもそうやなと思て泊めてもろて朝御飯よばれて帰ろうと思たらお医者はんが来はってなおばはんが『ちょっと薬もろてくる間店番しといと』。
店番してたらまたあんな小さい店やのにあれよう流行ってまんねんで。
せんぐれせんぐれお客さんが来まんの。
そのうちにおっさんが『水くれ』とか『薬飲ませ』とか言うもんやさかいなとうとうお昼になってしもてお昼御飯よばれて帰ろと思たら『こんな昼日中お日さんがカンカン照ってる時に帰らいでもせめて片陰になるまで昼寝でもしぃな』て阿呆らしい『私長いこと昼寝ってなもんした事がないわ』言うてるうちにウツウツとしたとみえてな…」。
(笑い)「目が覚めたら3時。
びっくりして帰ろと思たらおばはんがな『お前が起きたら食べさそと思て素麺ゆがいてんねん。
ちょっと食べていにぃな』って言うもんやから私もいやしいやおまへんか素麺が冷えるのを待っててこんなお椀に2杯もよばれて『ゆっくりしていにぃ』言うの逃げるようにして帰ってきました。
家の居てまっか?左様か。
えらいすんまへんでしたな。
また晩にどこぞへ一緒に涼みに行きまひょうな。
お〜暑やの〜暑やの〜暑やの〜暑やの〜あつあつあつあつ。
ただいま。
まあ〜この暑いのによう正座して仕事しててやないか。
今表で言うてた聞こえてはったやろ?おっさんほんの風邪ひき。
それあのおっさん今にも死にそうな声出してウンウン唸ってんねやで。
一遍仕事の手止めて休んでやったらどやねん?一遍休んでやったらどやねん?一遍仕事の手止めて休んでやったらどやねんンンンン。
まあ〜まあ〜まあ〜まあ〜明い所から入ってきて家らが暗いもんやさかいよう見えなんだ。
仕事してるもんやとばっかり思てたが着物着替えてるやないか。
今時分から着物着替えてどこ行くねん?」。
(笑い)「着物着替えてどこ行くねん?今時分から着物着替えてどこ行くねん?ガ〜ラガラガラガラ」。
「ほ〜ら始まったくわばらくわばら」。
「何がくわばらくわばらや。
あんたがそんな事言うさかい世間の人が私のこと『雷の何の』言うのやないかいな。
現在女房『雷の何の』言われてうれしいのかいな。
ほんまにもう。
着物着替えてどこ行くねん?」。
「嬶ちょっとやって」。
「どこ行くねん?」。
「あのなちょっと浄瑠璃」。
「浄瑠璃?おいてや〜。
あんたあれ浄瑠璃語ってると思てんのんか?もう長いこと稽古してるもんのこっちゃやから我が連れ合いの事や一遍ぐらい聴きに行ってやらないかんと思てこの間も行たけどあんたあれ何を言うてた?豚が喘息患うたとも何とも言えんような声出してもうワウワウワウワウワウワウワウワウワ言うて何を言うてんねやちょっとも分かられへんねやわ。
私の横に座ってはった人が『ハア〜こいつこれでもやっぱり浄瑠璃語ってるつもりかいな?こんなんでもやっぱり嫁はんあんのかな?』って言いなはる」。
(笑い)「あんた黙って語ってたらええのにおまけにおかしな節つけて『嬶はあんたの隣に居ります』」。
(笑い)「他の所分からへんのにそこだけはっきり分かんねやないかい。
周りの人が私のほうジロジロ見るしもう恥ずかしいて居てられへんさかい逃げるようにして帰ってきたやないかいもう。
あんな浄瑠璃おいてや〜」。
「私は行きとうないねんけどなあの〜清やんが…」。
「清やん?清やんてあの清八の事か?まあ〜あんたまだあんな者と交際してんのんか?汚っ。
あんたもようけ友達もあるけどもあんな嫌らしい奴あれへんで。
そうやがな昼日中から用もないのに大きな風呂敷包み背負うてウロウロウロウロしてあんな奴に限ってど盗人するねやがな」。
「そんな無茶言うたりぃないな」。
「言うたが何やねんな?他人がおとなしい仕事してるもん借り出しに来やがってもうちょっと早う帰ってきて清八が居てたら向こう脛かぶりついてやるのに」。
「ほなかぶりついてやりいな。
お前の後ろに立ってるがな」。
「えっ?」。
(笑い)「後ろ?後ろ…?」。
「阿呆それを先言え」。
「まあ〜清やんお越しやす〜。
まあ〜この暑いのにきっちり着物を着て。
一遍肩脱いでやったらどやねん?いつもあんたの事言うてんねんやし『清やんは甲斐性者や』っちゅうて。
あんた所のお咲さん幸せ者や。
私らあかんわ年中バタバタバタバタ貧乏暇なし。
一遍肩脱いでやったらどやねん?井戸水の冷たいのんで手拭い絞ってこうか?氷言うてこうか?スイカにしなはるか?それとも冷や奴で柳陰一杯飲んでやったらどやねん?まあ〜清やん暑いやないか〜」。
(笑い)「ようコロッと変われるな。
余計暑いよ。
私ゃ何を言われても辛抱するけどなその『ど盗人しよる』っちゅうのだけは堪忍してや」。
「堪忍しとう。
あない言わな家の仕事せえへんさかい」。
「なんぼ我が所の亭主が仕事せえへんさかいっちゅうて他人を盗人扱いしぃないな。
まぁそれはええけどな今喜ぃ公が言いよったやあの浄瑠璃の会あれは嘘や。
実はなこの間この町内の風呂屋が休みの時な向こうの風呂行たや。
うん。
で向こうで喜ぃ公にばったり会うてな『ええ所で会うたな。
一緒に去のか〜?』っちゅうてブラブラ戻ってきたらえらい人だかりやねん。
何やろなと思て覗いてみたらな米屋の米公と金物屋の鉄の大喧嘩や。
友達同士のこっちゃ放っとく訳にいけへんやろ?その間私らが間へ入ってこう『まぁまぁ』と収めたんやがまだお互い何とのう赤目つり合うてる訳や。
これじゃ具合悪いっちゅうのでな今日ミナミの小料理屋で仲直りする事になったんや。
で向こうが言うのには『のっけに間へ入ってくれたんが清やんと喜ぃさんよってに二人にその場に居てもらわん事には具合が悪い』っちゅうねん。
もっともな話や。
で喜ぃ公呼びに来たところがな『嫁はんが留守やさかい出にくい』っちゅうねやがな『お前が居らなんだら話が丸う収まらなんねやさかいお松っつぁんのほうには私からあとで話するさかいとりあえず拵えしい』っちゅうて着物を着替えてるところへちょうどあんたが帰ってきたとこういう訳や。
長い時間やないねんちょっとの間喜ぃ公私に貸して。
いやこれが居らなんだら話が丸う収まらんねん。
な?『うん』っちゅうてぇな『うん』っちゅうて」。
「まあ〜そない言われたら私の言う事がおまへんやないか。
いいえ出ていったらいかんっちゅう訳やおまへんねんけど家の人もう鉄砲玉と一緒出ていったら帰ってくるの忘れるさかい言いまんの。
へえへ分かりました。
じゃあ今日はにいさんに預けますさかいなあとちゃんと連れて帰っておくんなはれ」。
「あ〜分かった私が必ず連れて帰るさかいな。
ほなえらいすまんけどちょっと借りていくで」。
「空いたら返しとくんなはれや」。
「釘抜きみたいな。
おい喜ぃ公。
そんな所で震えてんとこっち出てこい」。
「ほたらほたらおきお聞き届けになった?」。
「おかしな言いをすな。
行こう行こう」。
「ほな嬶ちょっとやってもらうで」。
「早う帰ってくんねんで」。
「へえ」。
「へえてな事言いな丁稚やな」。
「いやそない言うけどな家の嬶怖いねんで」。
「そんな怖いの?」。
「もう怖いの怖ないのて今日はお前が居ってくれたからあれぐらいで済んだけどなお前が居らなんでみい私らもう今日らどんな目に遭わされてるや分からへんで」。
「そんな怖いの?」。
「もう怖いの怖ないのてもう先度の事や皆思い出しただけでも身の毛がよだつねん」。
「何ぞあったんか?」。
「もうだいぶ前やけどな仕事が休みん時な火鉢のネキでこうゴロ〜っと寝てたんや。
うんひっくり返ってた。
ほな嬶笊笊ん中へ銭2銭入れてな『ちょっと親父さん。
晩のおかずにするさかい焼き豆腐買うてきとう』ちゅうて。
『よっしゃ買うてきたるで』っちゅうて私笊持ってポイ〜ッと表へ飛び出したんや。
横町の所を曲がろうと思たらえらい人だかりやねん。
『何やらな?』と思て覗いてみたらな鋳掛け屋が仕事をしとんねん。
前に鍋やとかお釜さんズラ〜ッとようけ並べてなどれもこれも大っきな穴が開いてんねや。
『あんな大っきな穴開いたのどないして直しよんのやろな』と思てなもう子供かき分けて一番前でこう見てたんや。
ほなやっぱり商売やな〜上手に直しよんで〜。
そのうちに鋳掛け屋仕事して銭もろて行てしまいよったんや。
他の人も皆帰ってしまうやろ?残ったんは一人やねん。
で『私何でこんな所に居てんのかな?』って考えたけど分からへんねん」。
「頼りない奴っちゃな」。
「でウロウロ歩いてたらな八百屋の表通ったよってにな『せやせや何や晩のお菜買いに出たんやな』っというとこまでは思い出したんけどまだ何買うてええや分からへんやうん。
焼き豆腐っちゅうのは思い出されへん。
で笊眺めたら銭2銭入ったあるさかいなとりあえず2銭で買える物買うていんだれと思て根深買うて戻ったんや」。
「お前もええかげんやないかい。
焼き豆腐と葱とえらい違いや」。
「表の戸入ろうと思たらなもう嬶待ちくたびれとんねん。
笊の中チラッと見るなりちょっと顔色が変わったような気がしたよってにな『嬶えらい遅うなってすまん。
間違うてたら言うてやじきに換えてくるさかい。
もう何遍でも換えてくるさかい間違うてたら言うてや』。
『ええ間違うてんのと違うの。
そんでええねんし。
ほんまに使いはあんたに限るわ。
ご苦労さん。
早うこっちおいなはれ早うこっちおいなはれ』て優しい言うねや。
いつもヤイヤイヤイヤイ言うてるやつが優しい言いよってに気色の悪いもんやで〜。
そのうちにこっちギロッと睨みよったさかいな『これはやっぱり間違うてるのに違いないわい』と思てバ〜ッと表へ飛んで逃げようと思たけれども足がすくんでしもて動かれへんねん」。
(笑い)「『蛇に睨まれた蛙』やがな。
そのうちに嬶ジリジリ〜ジリジリ近づいてきたかと思うとな私の胸ぐらダ〜ッと掴んで『こっち来いっちゅうたらこっち来さらせ〜』て家ん中へゾロゾロロ〜ゾロゾロロ〜ゾロゾロロ〜ゾロゾロ引きずっていて『な〜な〜言うてりゃええかと思てウカウカしてるさかいこんな間違いがでけんねやないか。
今日は土性骨の入るようにしてこましたるさかい』っちゅうなりバ〜ッ足払いかけよってボテッとうつ伏せにこかされてな馬乗りになって着物クルクルッと脱がしていつの間に用意しよったん知らん線香ともぐさを持ってきて私の背中へこんな大きな灸据えやがんねん。
灸なんかこんな小っこいやつでも熱いねんでこんな大っきい灸据えられてみいな私もう背中でとんと焚いてんのか思たがな。
『嬶〜。
熱いわ〜い』っちゅうたら『何?熱い?熱けりゃ熱うないようにしたる〜』言うて井戸端へゾロゾロロ〜ゾロゾロロ〜ゾロゾロ引きずっていて頭から冷たい井戸水をドバ〜ッドバ〜ッかけやがんねん。
『嬶。
冷たいわ〜い』て『何?冷たい?冷たけりゃ冷とうないようにしたる〜』言うてまた家ん中へゾロゾロロ〜ゾロゾロ引きずっていてまた灸や。
『嬶。
熱いわ〜い』て『熱けりゃ熱うないようにしたる〜』言うてまたゾロゾロロ〜引きずっていて水や。
『嬶。
冷たいわ〜い』っちゅうたら灸や。
『熱いわ〜い』て水や『冷たいわ〜い』言うたら灸や『熱いわ〜い』っちゅうたら水や。
私そこでフッと焼き豆腐思い出したんや」。
(笑い)
(拍手)「そんなとこで思い出さいでもええやないか」。
「思い出してもうたんや。
『嬶もこれ思い出すためにやってくれたんかな?』」。
「喜んでんねやあらへん」。
(笑い)「そのうちに奥のお梅はんが出てきはってな『まぁお松っつぁんあんたも腹も立つやろけども今日は私に免じて堪忍してあげとう。
喜ぃさんもこれからは気つけまんねんで』っちゅうて涙拭いて洟かんで煎餅2枚くれはった」。
「もらうな阿呆」。
(笑い)「子供やがな。
ほんだったらお前嫁はんどついた事も無いやろ?」。
「私かて一遍だけあんねんで」。
「ほう一遍でもあんのか?」。
「これもだいぶ前やけどな私友達と一緒に飲んでてなちょっと言い合い喧嘩して戻ってきたんや。
表の戸入るなりな『今時分までどこのたくり歩いてけつかんねこのアンケラソ』っちゅうやっちゃ。
私ゃムカムカしてたやろ?『何かしやがんねん』っちゅうなり金槌振り上げた」。
「無茶しいないなおいどつけっちゅうても金槌でどつかいでもええがな。
嫁はん傷つけんのは我が身傷つけんのも同じこっちゃ。
医者よ薬よとそれだけお前が貧乏せんならん」。
「ところが家の嬶なかなかどつかしよるかいな。
その振り上げた手にカ〜ッとしがみついてな『まあ〜今のはちょっと私が言い過ぎたやないか。
言い過ぎたと思たらこの口ひねっといたろそんで済むこっちゃないかいな。
今は憎いと思うかしらんけどもまたかわいいという事もあるやないかいな』ってな事言われたら清やんなかなかどつけんもんやな」。
「溝へはまる溝へはまるおい」。
(笑い)「目開けて歩け目開けて」。
「ハア〜夫婦喧嘩というのはなかなか面白いもんですな」。
「見てみいお前がしょうもない事言うさかい氷屋があとをついて歩いてる」。
(笑い)「そっち行けそっち行け」。
「そのうちに嬶がな『あんた好きや〜』言うてド〜ッ体当たりしてきよって嬶大きい私小さいやろ?あおむけにゴロッとひっくり返すされてな嬶馬乗りになって涙ボロボロ〜ボロボロこぼしとんねん。
『おい嬶。
私があない言うたさかいてなにも泣かいでもええがな』。
『誰も泣いてえしまへん』。
『そうかて今涙が口ん中へ入ってネブったら塩辛かったがな?」。
「いいえ。
あれは涙と違いますあれは私の水洟です』エヘヘ言うたりして」。
「ハア〜水洟はやっぱり塩辛うおますか?」。
「まだついてきてんのかいな。
そんな事してたら商売物の氷が解けてしまうで」。
「もうとうに解けましたんでねもう今日は仕事やめてこの続き聞こう続き」。
(笑い)「講釈みたいな事…。
もうそっち行けそっちほんま」。
「さぁ喜ぃ公難波橋出てきた。
どうや?あ〜この川の上を流れてくる風は何とも言えんな」。
「ほんに冷やっこうてええ按配やな〜」。
「それにどや?ええ?ぎょうさん船が出てきれいやんな」。
「ほんになようけいいコンコンが出て」。
「子供みたいな事言うてんねやあれへんがな。
お〜い喜ぃ公。
いつまで見とんね早いことこっち下りといで」。
「お〜い通い舟の〜」。

(下座太鼓)「え〜い」。
「おい清やん。
あんな小さい舟か?」。
「いや。
船はそうあの川市丸と書いたあの大きな船やけどなあれ大きいさかい岸へ着ける事がでけん。
あの通い舟で向こうまで運んでもらうのや」。
「あ〜そうか」。
「へえお待っとはんで。
気つけておくんなはれや危のうおまっせ。
よろしおまっか?出しまっせ。
ウントショイ」。

(下座囃子)ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜。
「いや〜毎日暑いこってんな〜。
長いこと降りまへんさかいな〜」。
ギ〜ギ〜。
「いや〜しかし川の上はだいぶ違いまっしゃろ?ね〜。
またこないして舟が動くと風が出てええ按配でっしゃろ。
ええ」。
ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜。
「いやしかし旦那さん方結構なご身分でやすな〜ええ?いや暑いうちはこうしてな船に乗って芸者揚げて派手に散財しなはんねうんああ結構でやすな〜」。
「何を言うてんねんな私らかてこんな事を年中やってる訳やあれへんがなお前こんなもんお前年に一遍ある無しやがな」。
「アハハいやいやいやそんな事おまへんやろええ?また寒うなったら寒うなったで何ぞご趣向で。
ええ?あ〜結構でやすな〜」。
ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜。
「へえお待っとはんで」。
「あ〜おおきにおおきに。
よっしゃほなこれちょっと取っといてんか」。
「あっこりゃどうも。
おおきありがとさんで」。
「おい清やん。
お前今何したんや?」。
「何したて舟賃渡した」。
「なにかいな?あっからここまで1円も舟賃要るの?」。
「いや1円も舟賃が要るっちゅう訳やないけどもあれだけべんちゃら言うとんねや祝儀も入れてまぁ1円やった」。
「ヘエ〜あれお前の自前か?」。
「何でやねん?こんなん皆割り前のうちや」。
「エエ〜ッ?わ割り前?そんなもう無茶しいなやおいあっからここまで1円も舟賃要ると分かってたら私もうお前背負うて泳いでくるねや」。
(笑い)「そんな事ができるかい」。
「チョット返してもらえんやろか?」。
「嫌らしい事でけへんやないか今日は散財しに来てんねや」。
「なんぼ散財でももったいあらへんがな。
そんな割り前やったら私の分かて入ったあんねやろ?お前にばっか礼言わさんと私にかて礼ぐらい言うてもうてえな」。
「そんな事どっちゃでもええやないかいけったいな奴っちゃ。
あ〜船頭はん。
えらいすまんけどなこの男にもちょっと礼言うたってくれるか?」。
「あ〜左様でおますか。
いやそっちゃの大将いやおおきありがとさんで」。
「おうおう」。
「納まんな阿呆。
けったいな奴っちゃでほんまに。
いや〜えろう遅うなってすまん。
もうやってくれてるか?いや結構結構。
いや気になってたんや。
いやよりによってなここの嬶むらに捕まってもうてな。
やってくれてんな?結構結構。
うん。
あっちょねやん。
お前の喧嘩相手連れてきたで」。
「まあ〜喜ぃさんのべん…」。
「いや」。
「べん…」。
「違う違う違う」。
「まあ〜左様か。
まあ〜喜ぃさんのもっつぁんもっつぁん」。
「ウ〜ン清やん。
ちょねやん私の事もっつぁんや言うとる。
やっぱ分かんねんな」。
「分からいでか。
さぁ飲もう」。
「おい喜ぃ公。
遅かったやないか。
いこう」。
「当たり前や飲むで。
今日は同じ割り前やでもう早う飲んで早う追いつかな損や。
もう入れて入れて。
今日は同じ割り前同じ割り前。
オットットットットットもう」。
ン〜ンン〜ンン〜ンン〜ン。
「アア〜ッほんにこれはええ酒やこれ」。
ン〜ンン〜ンン〜ンン〜ン。
「入れて入れて入れて。
今日は同じ割り前同じ割り前や早う飲んで早う追いつかな損や同じ割り前や。
お前らさっきから飲んでんねやろ?早う飲んで追いつかな損や。
オットットットットット。
もう…。
ウウ〜ン。
ウウェ。
ウウ〜ン。
ウウェ…」。
「そんな無理に飲まいでもええがなおい」。
「飲むねん飲むねん飲むねん今日は同じ割り前同じ割り前や飲まな損飲まな損や。
ウウ〜ン。
あ〜入れといて入れといて。
で肴もな造りも焼き物も煮つけもね?卵の巻焼きも」。
「そんな一遍に食われへん」。
「食うねん食うねん。
今日は同じ割り前や食わな損や食わな損や。
でその鯛の頭ポ〜ンと切って船頭はんにシュ〜ッと」。
「おいおいお前がそんな気遣わいでもな船頭はんにはちゃんとあてごうた…」。
「船頭はんにやんのと違うねん。
預けといてな去にしな持って帰って明日の晩焼き豆腐と鯛で食うねん」。
「そんな嫌らしい事言いないな」。
「今日は同じ割り前や何か持って帰らな損や。
同じ割り前や同じ割り前や」。
さぁ喜ぃ公があんまり割り前割り前と嫌らしい事言うもんでっさかい皆気悪しよって。
「おい喜ぃ公この酒も飲んでや」。
「私の盃も受けてや」。
意地になって飲ましたもんでっさかいこの喜ぃ公が一番先に「へべのレケレケ」に酔うてしまいよった。
(笑い)「ワ〜ッワ〜イペッペペ〜ブ〜ババプップ〜ダワタ〜プ〜バワタ〜パ〜ッ」。
「何を言うてんやおい」。
(笑い)「ええ?何やて?『誰が私をこない酔わした』?「お前ようあれで分かったなおい」。
(笑い)「まぁ古いつきあいやから大体の事は分かんねや。
うん。
あかんあかんもう飲ましたらあかんで。
艫のほうへ出て涼め涼め。
うん。
着物を脱がしたれ着物を。
うん。
オ〜ット危ない気つけよ。
おい喜ぃ公。
お前何ちゅう格好してんねんええ?赤い赤い褌さしてもろて何のまじないや?お松っつぁんに言うとけやおい。
あっ待て待て。
お前の褌が赤い私のはもちろん白や。
な?紅白になったある。
ひとつ艫のほうへ出て源平踊っちゅうやつやろか?」。
「げ源平踊面白い面白いやろやろう。
ほなちょねやん囃子方頼むで。
ウワ〜イ」。

(下座囃子)・「やったやったやったコラコラコラコラ〜ッ」もうどんちゃん騒ぎになった。
一方雷のお松っつぁん。
家に居てても暑いもんでっさかい近所の嫁はん誘うてこれも同じように難波橋涼みにやって参りまして。
「ちょっとちょっとお松っつぁん早いことおいなはれ。
どうや?ぎょうさん船が出てきれいやないか?」。
「まあ〜ほんにな。
皆派手に芸者揚げて散財してるわ。
あんな事したらぎょうさんお金がかかんねやろな〜」。
「そりゃあんた大抵の物入りやないし。
ちょっとちょっと向こうの船ん所裸になって踊ってるのあんた所の喜ぃさんと違うか?」。
(笑い)「いえ。
今日は家のなミナミ行てまんのハア〜。
お友達の喧嘩の仲直りがあるとかいうて。
あんなんでもな家のが行かなんだら話が丸う収まらんねやと」。
「あ〜左様か〜。
けどよう似たあるし〜。
ちょっとちょっとあの横で同じように裸になって踊ってんのあんた所よう来るあの〜清八っつぁんとかいう人と違うのか?」。
「どこに居ぃな?お徳さんいえ今日家のなその清八っつぁんと一緒にミナミ行てまんのこんな所に居てる訳がおまへんやないか。
まあ〜家のんと清八やわ」。
(笑い)「まあ〜まあ〜まあ〜まあ〜ミナミで仲直りやなんの言うててこんな所であんな事してんねやないかほんまにもう腹の立つ」。
「痛い痛い。
何をしなはんね」。
「まあ〜堪忍しとう。
向こうまで手が届けへんさかいちょっとあんたの借りたん」。
「そんな殺生な事あるか」。
「お徳さんあんたも手伝うとう」。
「ああ。
手伝うてあげる。
あんたな喜ぃさんの顔かきむしったんなはれ私清八っつぁんの向こう脛かぶりついたるさかいな」。
「ちょっとちょっと通い舟の〜」。

(下座囃子)「え〜い今」。
「早いこと早いこと。
舟漕いで間に合うかいな舟担げて走っておいで」。
(笑い)「そんな事できるかい。
へいお待っとはんで。
気つけてくんなはれや。
よろしおまっか?出しまっせ。
ウントショイ」。
ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜。

(下座囃子)「へえへあの裸になって踊ってはる船でっか?分かりましたええ。
えらい賑やかにやってはりまんな」。
ええええじきにやります」。
ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜ギ〜。
・「あっやったやったやったやったコラコラコラコラ〜ッ」「痛い痛い痛い痛い。
誰や?顔かきむしんのは」。
「誰や?向こう脛かぶりつくのは」。
フッと見ますと雷のお松っつぁんものすごい形相で睨んでます。
いつもですと喜ぃ公は飛んで逃げるところですが何しろだいぶに酒が入ったある友達の手前がある。
「何をさらすねん?」。
パ〜ンと突いた。
かわいそうにお松っつぁん気がかみずってるもんですから足元がお留守。
フラフラ〜っとするなり川の中へドボ〜ン。

(下座太鼓)はまってしまいました。
幸い川は浅瀬で立ちますと水は腰ぎりよりございません。
白地の浴衣がビッショリ濡れて元結が切れて髪はザンバラ顔は真っ青。
上手から流れて参りました竹を拾いますと川の真中へスックと立って。
(下座)イヨ〜ッ。

(太鼓)「そもそもこれは桓武天皇九代の後胤平知盛幽霊なり〜」。
「おい喜ぃ公。
お前とこの嫁はんちょっとおかしいなったん違うか?おい」。
(笑い)「大丈夫大丈夫。
ちょねやん。
ちょっとしごき貸してんか」。
しごきを輪にしたやつを数珠の代わりに致しますと。
「その時喜六は少しも騒がず数珠サラサラと押し揉もんで東方に降三世南方に軍荼利夜叉明王西方に大威徳夜叉明王北方に金剛夜叉明王〜」。

(太鼓)「中央に大日大聖不動明王〜」。
「もし。
どうです?なんと派手な夫婦喧嘩やおまへんかいな」。
「もしもしもし。
あれを夫婦喧嘩と見てやるのはかわいそうだっせ。
あれは男が幇間女子が仲居。
夫婦喧嘩と見せかけて弁慶と知盛の祈りやってまんねや。
こういうの褒めてやらにゃあんた他に褒めるものおまへんでや」。
「あ〜左様かそういう趣向になってまんの?そういう事知らんもんやから。
なるほどなるほど。
よ〜よ〜よ〜よ〜本日の秀逸秀逸。
川ん中の知盛さんもええけど船の上の弁慶は〜ん弁慶は〜ん」。
「何?弁慶?ワ〜ッ清やん今日の割り前取らんとおいてや〜」。
(拍手)
(打ち出し太鼓)2015/11/21(土) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
日本の話芸 落語「船弁慶」[解][字][再]

第356回NHK上方落語の会から桂雀三郎さんの「船弁慶」をお送りします(平成27年9月3日(木)NHK大阪ホールで録画)。

詳細情報
番組内容
第356回NHK上方落語の会から桂雀三郎さんの「船弁慶」をお送りします(平成27年9月3日(木)NHK大阪ホールで録画)。【あらすじ】いつも人のお供でおごってもらっている喜六、きょうは友だちに誘われて割り勘で船遊びに行く事になるが喜六は女房のお松に頭が上がらない。けんかの仲裁があって呼ばれているとうそをつき船遊びに出かけることができたが、お松も近所のお女将さん連中と夕涼みに浪速橋まで出かけてくる…
出演者
【出演】桂雀三郎,高橋まき,桂米輔,桂米平,桂團治郎,増岡恵美

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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