貝殻の形をしたバターの風味豊かな…250年前フランスで生まれ今や世界中で愛されている焼き菓子です。
マドレーヌが誕生した町フランスロレーヌ地方にあるコメルシーです。
この町である女性がひょんな事から作ったといわれるこのお菓子。
彼女の名前がマドレーヌだったと伝えられています。
コメルシーの人たちはマドレーヌが大好き。
誰もが毎日のように食べるそうです。
今日はコメルシーの人たちが愛してやまないマドレーヌの魅力を人々のお菓子への愛着と共にひもときます。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末裔が暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
「グレーテルのかまど」へようこそ。
うれしい時悲しい時もうひとふんばりしたい時。
一口頬張ると何だか元気が湧いてくるのがスイーツ。
そんな不思議なスイーツの物語を我が家のかまどで最高においしく焼き上げましょう。
ちょっとかまど!えっ何?これ見てよ。
…って何をまた全部食べちゃったの?もう。
それはねこれですよこれ。
かまどこれ何の箱か知ってる?ほらもうないよ。
ひどいね。
全部食べちゃったの?そうだよ。
ひどい。
かまどもまだ食べた事ないのに。
いやこの本場のマドレーヌ俺も食べたいな。
食べたいね。
うん食べたい。
しょうがないね。
2人で食べたいから作ろうか。
えっ?かまどこの作り方知ってるの?うん。
もう知ってるも知ってる。
何でも知ってるから。
へえ〜。
じゃあヘンゼル君どうぞ。
はい。
という事で今宵ひもとくのはフランス・コメルシー娘のマドレーヌ。
マドレーヌのふるさと…パリから東へ電車で2時間。
6,000人ほどが住む小さな町です。
毎年11月の第3日曜日に開かれる…今年もマドレーヌ愛好会の人々が参加してにぎやかに開かれました。
あら?胸にはマドレーヌの形をしたペンダントね。
この愛好会は伝統の味を守ろうと住民が集まって50年前に結成されたそうです。
コメルシーで伝統のレシピを守る人はマドレニエと呼ばれます。
地元の人々はこのマドレニエに特別な敬意を払っています。
町にたった2人しかいないというマドレニエの一人を訪ねました。
1951年からマドレーヌを作っているザンスさん一家。
3代目のティエリーさんがこの店のマドレニエです。
コメルシーが発祥のマドレーヌとはもともとは砂糖卵バター小麦粉をそれぞれ同量ずつ混ぜて作られた焼き菓子の事。
マドレニエたちは独自の作り方を工夫し伝統の味を守ってきました。
マドレーヌの最大の特徴はこの貝殻の形。
そしてもう一つ彼らが大事にしているのが…。
そう。
貝殻型の裏にポコッと膨らんだコブ。
これがコメルシーのマドレーヌの印だといいます。
コブを作るために重要なのがオーブンの温度です。
高温で一気に焼き上げる事。
それがきれいなコブを作るコツなんですって。
更にコメルシー生まれのマドレーヌに欠かせない事がもう一つ。
伝統の味を守るために自然豊かなロレーヌ地方の小麦粉と町じゅうのさまざまな花の香りがするハチミツなど。
地元の材料にこだわるのです。
素朴で誰からも愛され今や世界中で食べられるお菓子となったマドレーヌ。
その原点がフランス・コメルシーの人々によって大切に守られているのです。
ねえちょっとかまど。
これさあの町の空気もいっぱい入れ込んでさこのコメルシーのマドレーヌ早く作ろうよ。
いいですね。
コメルシーの人々に倣ってかまど流のマドレーヌ作るわよ。
うん!じゃあじゃあ味わいのキメテどうぞ。
おなかのぷっくりは後でやるからね。
まずは貝殻をはっきりさせるためのオキテをどうぞ。
グルテン?はいグルテンはそのうち出てきますから置いといて。
じゃあまず卵をほぐして下さい。
ほぐれたらそこに粉砂糖でしょ。
そしてハチミツでしょ。
混ぜると。
うんしっかりね。
そこにレモンの皮。
これどのぐらい?これね半分ぐらいかな?半分ぐらい?入れるでしょ?これポイントですよ。
おお〜酸っぱい香りが。
よっと。
ひたすら混ぜるの?これ。
グルグル…あっ。
グル…あっグルグル?うんグル…グルテン?グルテン来た。
グルテン。
グルテン来た?グルテン出てきた出てきた。
グルテン。
どれどれどれどれ?グルテン?グルグルしてたら出てきたよ。
どれ?どれよグルテンは?あのね凡人には見えないからね本当に。
ハッハッハッハッ…。
グルテンはね小麦粉に含まれるタンパク質が変化したものがグルテンなの。
そのグルテンが弾力性と粘着性を持ってるから貝殻の形がくっきり出るように焼けるのよ。
見えないんじゃんそもそも。
いや見えるよ。
凡人には見えないけどね。
あっグルテンいっぱいいる。
あ〜グルテン。
あっ見えてきたグルテン。
こんにちはグルテン。
アハハハハッ。
マドレーヌが誕生したのは今から250年ほど前と伝えられていますがそこには諸説あるんです。
時は18世紀。
ロレーヌ地方を治めていた元ポーランド王の…ある日お城の晩餐会でお抱えの菓子職人が突然いなくなってしまいました。
困った公爵。
急遽その場にいたコメルシー出身の召し使いの娘マドレーヌにお菓子作りを命じました。
彼女は祖母直伝のレシピで厨房にあったホタテ貝の殻を型にして焼いたとか。
貝殻型のそのお菓子はみんなに大変喜ばれ晩餐会は無事終わりました。
公爵はこのお菓子のあまりのおいしさに娘の名前を取ってマドレーヌと名付けたという逸話が残っています。
マドレーヌはその後100年ほどコメルシーだけで食べられていましたが…。
1852年パリ〜ストラスブール間に汽車が開通するとコメルシーの駅ではマドレーヌ売りの娘たちがお土産用のマドレーヌを売るようになりました。
このモミの木の箱に入っているのがコメルシースタイル。
木箱入りのマドレーヌは汽車に乗ってフランス中に広まっていったのです。
1920年代コメルシーでは10軒ほどの店が栄えました。
店の数は減ったものの今もその伝統は息づいています。
ここは1928年に創業のマドレニエがいるもう一軒のお店。
もちろん伝統のモミの木の箱は健在。
モダンなラベルがすてきね。
発祥の地のマドレーヌを求め世界各国からお客が訪れます。
店自慢のマドレーヌ。
貝殻型に載せたまま焼きたてが振る舞われます。
この店の3代目ジョゼットさんが本場のマドレーヌの楽しみ方を教えてくれました。
小さな町で生まれた素朴なお菓子マドレーヌ。
250年の時を経て世界中で愛されるお菓子となったのです。
へえ〜。
マドレーヌってさ歴史のあるお菓子だったんだね。
知らなかったな。
何かマドレーヌマドレーヌって呼んでたけど娘さんの名前だったとは思わなかったね。
はあ〜。
冷蔵庫の中そろそろいいんじゃないでしょうか。
そうだそうだ。
よいしょ。
よいしょ。
いい感じじゃないの?うんうん。
すっごい。
これグルテン!そうグルテンさんよ。
グルテンさん!型の6個分ぐらいあればいいので。
どのぐらい?はいそれでいきますか。
バ〜ッと広がるから。
これここに出せば広がってくれんのかな。
真ん中にポンと絞っていけば。
はいいいですね。
じゃあオーブンに入れますよ。
はい。
オキテをまずどうぞ!はいそうです!ほう〜。
これがおなかをぷっくりさせるコツよ。
高温で一気におなかを膨らませます。
そういう事ね。
OK。
あとは低温にしていきますよ。
お〜!かまど!お〜!来た?おなかぷっくりです。
いい感じ。
よかったです。
じゃあもうね一気にやっていきますよ。
あとはね低温で中まで熱を入れていくから。
普通に焼きます。
170℃にして。
よし!コメルシーの人たちはどんなふうにマドレーヌを楽しんでいるのでしょうか。
うわ〜たくさん買ってますね。
皆さんマドレーヌがホントに好きなんですね。
コメルシーにお住まいのルモワンさん一家にお邪魔してみると…。
マドレーヌ作りの真っ最中。
毎日のように焼くそうです。
コメルシーでは女の子が最初に習うお菓子がマドレーヌ。
ジュリエットちゃんうまくできるかな?ルモワンさんのお宅ではマドレーヌを朝食ランチのあとのコーヒータイムお酒のお供にも食べるんだとか。
今日はチーズや煮詰めたトマトを入れたマドレーヌを作ります。
ルモワン家の定番です。
ジュリエットちゃんのお得意は…。
チョコレートやナッツでデコレーションした丸いキャンデーみたいなマドレーヌ。
さすがコメルシー娘。
お総菜マドレーヌも焼き上がりました。
チーズやトマトバジルのいい香りです。
家族みんなでマドレーヌ。
今日のお味はいかがでしょう?おやつにも食事にもなるマドレーヌ。
コメルシーの人にとってホントに身近なものなんですね。
う〜ん。
コメルシーの人たちがさマドレーヌをホントに大切にしてるって事が伝わってくるね。
伝わってくるね。
マドレーヌって自分たちの町から出てきたんだよっていうのが…。
誇りに思ってるよね。
すごい誇りなんだろうと思うよ。
ねえやっぱり分かるよねそういう気持ちね。
すごく。
はいはい。
じゃあそろそろ焼き上がるんじゃないかしら。
あっそうだ。
よいしょ。
おっ!フフフッ!どうかな?どうですか?来ました〜。
どうほら。
このおなか。
うまくいってるよ。
見てこのおなか。
おなか出てます。
取れるはず。
おっ!1丁あがり2丁あがり3丁あがり4丁あがり5丁あがり6丁あがり。
まずこのおなか。
いいねこの愛嬌のある形!OKおなか。
大丈夫です!ちょっと一息TeaBreak!日本でもマドレーヌはおなじみよね。
形はというと…。
これぐらいの厚みの。
そうそう。
皆さんマドレーヌといえばこっちの円い形を思い浮かべる人が多いよね。
でもこの周りがギザギザのマドレーヌって日本だけのものだってご存じでした?こちらは大正時代のお菓子の本。
「マダレンヌ」になってるけどちゃんと貝の形をしているわね。
でもいつしか日本では円い形が主流になっちゃったみたい。
一説には当時よく使っていた和菓子の菊型を代用したという話も。
そして今や日本のマドレーヌのバリエーションはこんなに豊かに。
バラの形をしたマドレーヌ。
味もレモンをはじめ抹茶やラムレーズンなど十数種類もあるんですって。
こっちはまねき猫のマドレーヌよ。
本物のまねき猫と同じ型で作られてるんですって。
ふ〜ん。
確かにそっくりね。
シンプルで飽きの来ない味わいのマドレーヌは日本でもこんなに愛されるスイーツに進化しているのです!うれしそうだね。
うん。
コメルシーでもう一つ定番のマドレーヌ作ってみない?えっ?あのねチョコレートでコーティングとかどうかしら。
おっ!いいじゃん。
表面がもうパリッとしてねこれもうおいしいんですよ。
いかにもおいしそう。
おいしそうでしょ?はいではねテンパリングしたチョコレートを型に流していきましょうか。
流していく。
そんなに多くなくていいって事だよね?うん半分ぐらいかな。
半分ぐらい。
そこの上に押し込むからねあんまり入れ過ぎちゃうとあふれちゃうでしょ?失敗は許されないからね。
かまど慎重ですよ今。
それでキュッと押してね。
チョコレートがビュビュビュ〜ッて。
お〜!来るでしょ?それですそれです。
冷蔵庫で冷やして。
はい。
あ〜マドレーヌ懐かしいな。
よ〜し。
(インターホン)あっ姉ちゃん帰ってきた。
姉ちゃんお帰り!コメルシーのマドレーヌ出来てるよ!コメルシーの人たちが大切に守ってきたマドレーヌ。
貝殻の形とぷっくり飛び出たコブが本場譲り。
コメルシー仕込みのチョコレートコーティングも風味抜群よ。
お試しあれ。
コメルシーのマドレーヌの集いも終盤を迎えマドレーヌの歌を合唱します。
歌には地元の人たちの愛情があふれています。
250年前に一人のコメルシーの娘が機転を利かせて作り出したとされるマドレーヌ。
それは小さな町から世界にその名を知らしめたお菓子であり人々の誇りとおいしさがぎっしり詰まったお菓子でした。
今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?今では世界中で愛されているマドレーヌ。
その素朴な味はもちろんですがあの形を守ろうとする地元の人々の愛が今でも世界中の人々を魅了し続けているんでしょうね。
ではまたこのキッチンでお目にかかりましょう。
ではちょっと失礼して。
頂きます!どうぞ!ちょっとかまど!はい?見てこれ。
ぷっくり。
うまくいったね。
うんうまくいった。
よかったホントに。
どうさ?お〜!何かね素朴で何か懐かしい味って言ったらいいのかな?ふ〜ん。
はいそれねいいんですよ。
ちょっと食感味わってみて。
はい。
おっ。
ほら。
チョコレートが入る事で食べやすくなる。
なるほど。
そんな気がする。
何か新しい食べ方。
かまどすごい!かまども食べたいんだよね。
かまど食べたいの?うん。
しょうがないなあ。
あっ何?じゃあ今日は特別だよもう。
よいしょ。
あっ開いた。
はい。
あっ来た。
あっ来た!何何?味わって。
えっホントにくれるの?うん!うんうんうん…。
レモンの香りする?すごいレモンが来る。
だよね。
かまど…まあいつもお世話になってるからさまあ感謝を「こめるし〜」っていう感じかなうん。
そんなに親切にされても「困るし〜」って感じかな。
面白くなっ!ハハハハッ!「メルシ−」って感じかな。
2015/11/20(金) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど・選「フランス・コメルシー娘のマドレーヌ」[字][デ]
バターとハチミツの香り豊かなマドレーヌ。世界中の誰もが大好きなマドレーヌの故郷はコメルシー!地元住民が愛してやまない町自慢の味と姿は?朝食やお酒のお供にも?!
詳細情報
番組内容
今から250年前フランスのコメルシーという小さな町で誕生したマドレーヌ。貝殻の形とぽこっとしたコブ、バターとハチミツのふくよかな香りが特徴だ。その発祥は諸説あるが、最初に作ったのがマドレーヌという名の娘だったと伝えられる。毎年11月には地元愛好会による「マドレーヌの集い」が開かれ、人々は町自慢の伝統の味を守る誓いを立てる。番組では今年の集いの様子やマドレーヌを愛する人々を現地取材!その魅力に迫る。
出演者
【出演】瀬戸康史,【語り】キムラ緑子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
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