相棒season10 2015.11.20


(高松肇)まるでゆりかごだな。
(栗田加寿実)ゆりかご…?
(高松)俺たちの赤ん坊だ。
任せたぞ子育ては。
(無線)「高松肇53歳男性城南大学理学部教授」「現在検視官による検視中」
(検視官)現場の状況からして事件性は薄いな。
(検視官)搬送しよう。
(米沢守)じゃ私はこれで。

(杉下右京)高松教授がお亡くなりになったそうですねぇ。
これはまた恐ろしくお耳が早い。
あっお知り合いですか?いえ。
しかし教授の研究には興味がありました。
米沢さん。
はい。
本部からは鑑識と機捜だけのようですねぇ。
ええおそらく所轄ベースで終わりだと思います。
つまり事件性は薄い。
はい。
あっうちの検視官です。
存じ上げております。
検視官教授の死因はなんでしょう?不明だが心臓に持病があったようだし心不全かな。
解剖は?外傷なし現場に異常なし。
特に必要ないでしょう。
所轄に寄ってから戻る。
(米沢)お疲れさまでした。
すいません出ます。
ちょっとよろしいですか?失礼。
検視官!死亡推定時刻は?死後8時間前後だ。
だとすればまだ腐敗は始まっていないはずですねぇ。
ああ…ん?米沢さん。
遺体にはあまり近づかないほうがよろしいかと。
…は?
(神戸尊)お待たせしました。
おはようございます。
待ってはいません。
おはようございます。
君からかかってきた電話に出たら君が勝手に来たんですよ。
そりゃ朝からいなければ電話もしますよ。
さてどんな事件なんでしょう?まだ事件と決まったわけではありません。
え…なのに捜査はしていると。
捜査はしていません。
ちょっと気になる事があるだけです。
あっこれです。
これが気になる事?ええこの研究に注目していました。
「明日の石油になる技術」「城南大学の高松教授らの研究により光合成細菌『バクテクロリス』は水中の有機物を摂取し光合成すると重油とほぼ同じ成分の炭化水素を作ることが分かった」へぇ〜細菌から油を作るって研究ですか。
これが実用化されれば化石燃料に頼らないエネルギーが安全にかつ安定的に手に入れる事ができるようになるんですよ。
夢のような話ですね。
しかしその夢が頓挫するかもしれません。
えっ?あっ…殺された?殺されたとは限りませんがね。
でも捜査はすると。
ええ。
わずかでも可能性があるのならば。
(早乙女茜)ここに頭をこちら側にして倒れてました。
発見した時は君1人だった?はい。
すぐに救急車呼んだんですけど。
ちょっと失礼。
(井上翔太)はい。
こちらの名刺ロシアのエネルギー企業のようですが。
ああ資金提供したいと言ってきた会社の1つです。
つまりそういう会社がいくつかある。
ええバクテクロリスを学会で発表してからは。
ちなみに高松教授がお亡くなりになったとするとその研究を続けていくのは難しくなるのでしょうかねぇ。
まあ研究自体は大丈夫だと思いますが。
おや大丈夫なんですか?バクテクロリスを発見したのは高松先生ですが研究は光合成細菌を専門とする栗田先生がしてるんで。
栗田先生…?高松先生の共同研究者です。
こちらの教授でしょうか?客員教授です。
この研究のために5年前に招かれて。
その栗田教授ですが今どちらに?それが…。
電話は?一応留守電には残しました。
いつもなら1番に来て高松ルームに直行するんですが。
高松ルーム?はい。
隣の実験棟です。
バクテクロリスを培養しています。
その高松ルーム拝見できますか?ええいいですよ。
どうぞこちらです。
(足音)
(茜)栗田先生!
(井上)先生…。
高松先生が死んだって…どうして?それが警察の話だとたぶん病死だろうと。
病死…先生のご遺体は?監察医務院に運ばれました。
監察医務院…解剖するのか?解剖するかどうかは監察医の判断ですが少なくとも遺体の検案はするはずです。
警視庁特命係杉下と申します。
同じく神戸です。
(栗田)これがバクテクロリスです。
油の生産効率がとてもいいそうですねぇ?同じバイオ燃料としてはトウモロコシの5万倍です。
おおこれはすごい。
トウモロコシは確か1ヘクタールあたりとれる油は0.2トンほどでしたね。
ええ大豆なら0.5トンアブラヤシなら6トン。
藻の一種であるボトリオコッカスなら100トン。
でもこの子たちなら1000トンは作り出せる計算です。
あ…それはそのすごい量なんですか?例えば日本中の田んぼや畑などの休耕地で作れば日本は世界有数の産油国になれるはずです。
えっ…なんか世界情勢を変えそうな研究ですね。
そのとおりです。
すでに油をとり出す技術も確立し燃焼実験も済んでいます。
特許を取るには生産コストなど乗り越えなきゃいけない課題がまだありますが。
という事はまだ研究はお続けになる。
もちろんです。
なるほど。
研究自体は高松教授ではなく栗田先生がされていたそうですからね。
えっ?…とお聞きしましたが。
あっええ…。
あっ…。
(携帯電話の振動音)ああちょっと失礼。
杉下です。
血中硫化水素濃度の検査をしてもらいました。
結果は警部のご推察どおりでした。
硫化水素の吸引による窒息死。
ええ。
硫化水素に汚染された死体は危険なので解剖はまだですがすでに所轄と一課には伝えたそうです。
どうもありがとう。

(中園照生)つまり病死ではなく中毒死です。
(内村完爾)それが監察医務院でわかったのか。
あっ…。
うちの検視官の見落としです。
見落としで済むか。
事故か自殺か他殺か…。
それはまだ不明です。
うちの刑事を動かせ。
…は?
(米沢)上にあるところもお願いします。
あのあたり…。
いかがでしょう?いえなんの痕跡も。
戻って詳しく分析してみなければなりませんが残るはあれですね。
えっでも確か硫化水素で死亡すると体の表面が変色したりするはずでは?さすがによくご存じです。
緑色に皮膚が変色し水死体のように膨れかなり無残な姿になるようですが高松教授はそうではなかった。
ええ。
おや教授の遺体をご覧になったのですか?あいえ…遺体を発見した助手から聞いて。
なるほど。
しかし急激な中毒の場合そのような症状が出ない事もあるそうですよ。
急激な中毒…。
例えば高濃度の硫化水素を一瞬で吸い込むとか。
いやいやいやあの…吸い込んだ途端に昏倒するような代物は普通の市販品の調合ではまず無理です。
いえ作れると思います。
えっ?はい?高松先生なら。
なるほど。
しかしとなると疑問が1つ。
それほど高濃度の硫化水素がどこで発生したのか。
ええ遺体発見現場にそのような痕跡はありませんでしたね。
痕跡があったのは死体だけですね。
その手の遺体には硫黄のような腐敗臭が残りますね。
高濃度の硫化水素ならかなり臭うはずですな。
しかし高松教授の遺体の臭いはほんのわずかでした。
うーん…その場合考えられる可能性ですが…。
例えば袋に入れた高濃度の硫化水素を一気に吸った。
いや現場にはそんな袋はありませんでしたが。
だとするならば高濃度の硫化水素をどこかで吸い込んで死亡したあと遺体発見現場まで運ばれた。
そして遺体がほとんど臭わないよう毛髪や着衣に残った硫化水素は可能な限り除去されて…。
その場合犯人がいたって事ですよね。
待ってください。
もう1つ可能性があります。
興味深いですねぇ。
どのような?高濃度の硫化水素を固形物にして飲み込んだ。
えっそんな事可能なんですか?専門知識が必要ですが高松先生なら可能です。
だとすれば自殺ですな。
自殺もしくは他殺です。
えっ?固形物にできるなら飲ませる事も可能ですからね。
なるほど。
(ノック)
(伊丹憲一)失礼します。
はぁ…。
(三浦信輔)あっ警部殿。
また困りますね勝手に。
私が高松先生を殺した…。
はい?
(芹沢慶二)栗田教授ですね?あの今の話一体…。
バクテクロリスの研究は日常的に資金難でした。
えっこんなにすごい研究なのに?日本の企業には今特許前の基礎研究に資金を出す余裕はほとんどありません。
なのに私は資金集めの仕事を高松先生に押しつけて…。
その苦労は並大抵ではなかったはずです。
実際先生は最近疲れたと…。
でも私は研究に没頭するあまり見て見ぬふりをして…。
それはつまり高松教授は自殺したという…。
彼を殺したのは私かもしれません。
芹沢。
はい。
栗田教授!どういうおつもりですか?はい?どういうつもりで我々の聴取を妨害するんです?ああこれは失礼。
では責任を取って聴取してまいりましょう。
うん。
…ん?あのねぇ…。
ねぇ…。
じゃあ僕も責任を取って。
持ち場に戻らないとね…。
失礼。
(芹沢)資金がなかなか集まらずに苦しんでいた。
それが自殺の動機じゃないかと。
(栗田)私に考えられるのはそれくらいしか…。
その場合ですが…。
気になる事が1つ。
資金提供や共同開発の話が相次いでいたと研究室の方から伺ったのですが。
(神戸の声)その手の会社の名刺を何枚も見せてもらいました。
でも断ってたみたいで。
断っていた…せっかくの申し入れを。
なぜでしょう?さあ…その手の窓口は高松先生が担当だったので。
ちょっと。
高松教授は資金難だったのに資金提供の話を断っていたって事ですか?不思議な話ですね。
不思議ですねぇ。
教授は自殺捜査は終了。
所轄にそう伝えておけ。
はい。
では失礼します。
自殺で処理するために自分たちを動かしたんですか!違う!うちの検視官のミスが広がらんようにだ。
は?まあまあ…。
では失礼します。
(三浦)さあ…。
おい。
(三浦)おい…。
出資を断られた企業だ。
どの会社から調べる?調べるんだろ?調べるさ。
内緒だぞ。
しかしわかりませんねぇ。
はい。
なぜ凶器に硫化水素を選んだのでしょう?なぜ…?ええなぜ…。
高松教授が今年の初めに学会で発表した論文です。
「光合成細菌は炭酸ガスや硫化水素という毒性の強い物質を無毒化するがバクテクロリスは炭化水素を蓄積する過程で硫化水素も蓄積する」気になりませんか?バクテクロリスは硫化水素も蓄積…。
栗田教授の研究に硫化水素は無関係じゃない。
気になりますねぇ。

(高松の声)「あすなろあすなろあすはなろう」「とうげをこえるひとたちの」「なつはひかげになるような」「おおきなひのきにあすはなろう」先生よくその歌を歌ってらっしゃいますよね。
この子たちの子守唄だ。
「明日は檜になろう」だ。
あすなろ…。
(栗田)へぇそういう字を書くんですか。
世界中の人たちのエネルギーとなるような…。
(高松の声)「明日は石油になろう」だ。
ハハハ…。
あっ見えますね青白くなってるところが。
(斎藤満)それが青潮です。
海の汚染で大量発生したプランクトンがバクテリアに分解される時大量の酸素を消費する事が原因です。
その時大量の硫化水素が発生するそうですね。
ええ。
それで硫黄が海面に漂い日光に反射して青白く変色するんです。
そして魚介類を大量に殺す。
その対策を研究してたんですよね栗田教授は。
ええうちの大学にいた頃に。
栗田先生にお会いになったんだったらわかると思いますがとにかく真面目で研究一筋。
今はバイオ燃料の研究をされてるんですよね。
ええ。
先生らしいです。
一生人のためになる研究を続けたいって言ってましたから。
ちなみに栗田教授は青潮の研究でどのような成果を上げられたのでしょう?
(斎藤の声)青潮を発生させるプランクトンの中に硫化水素の発生を抑える細菌を発見したんです。
なるほど。
という事はかなり硫化水素の研究もされていた。
ええそれはもう熱心に。
そうして青潮で青潮を退治した。
先生は今も昔も本当に有意義な研究をされてますよね。
いやこっちは高松先生の研究に乗っかっただけですから。
ご謙遜を。
研究は主に先生がそして高松教授は資金提供や共同開発の窓口。
昨日先生がそうおっしゃいましたよ。
その手の窓口も研究以上に大切な仕事です。
(ノック)はい。
(茜)失礼します。
あの…今警察から連絡があって…。
えっ?
(茜)高松先生やはり自殺だったそうです。
そうですか。
失礼します。
高松先生が自殺なんて残念です。
ええ自殺で処理されてしまうなんて。
えっ?あっそうそうこのバクテクロリス油を作る過程で硫化水素を蓄積するとか。
高松教授の死因も硫化水素。
何やら因縁めいたものを感じてしまいますねぇ。
あっ…失礼。
また来ます。

(担当者)確かに出資は断られました。
この人に?
(担当者)ええ。
でもそんな事で恨みませんよ。
Isee.Isthatenough?Yes.Thankyou.はぁ…みんな同じ事を言うなぁ。
高松教授を殺したら共同開発以前の話ですからね。
しかし出資を断られたところって海外の企業ばっかりだな。
(米沢)電話でお尋ねの件ですが調べました。
バクテクロリスから硫化水素を取り出すのはその手の知識と技術があれば可能だそうです。
えっじゃあ栗田教授なら…。
(米沢)可能です。
しかもバクテクロリスからはかなり高濃度の硫化水素が抽出できるそうです。
例えばあのトイレの広さなら一瞬で昏倒してしまうほどの…。
ええ。
高松教授の命を奪った硫化水素がバクテクロリスから取り出したものかどうかは米沢さん…。
(米沢)はい調べてみます。
どうもありがとう。
(伊丹)何かわかったか?高松ルームのバクテクロリスから取り出したんじゃないかって特命係は思ってるみたいです。
おい芹沢。
はい。
(伊丹)残りの企業聴取に行くぞ。
青潮で青潮を殺す。
教授はそういう発想をする方です。
だからってバクテクロリスで高松教授を?その可能性はありませんか?君は何を考えているのですか?これが事故いやせめて自殺だったらなって。
だって栗田教授の研究は本当に素晴らしいです。
その点に異論はありません。
これからの日本に絶対必要な人です。
その点にも異論はありません。
栗田教授が犯人なら動機はなんなんでしょうね?
(芹沢)彼との交渉はあなたが担当だったそうですね?
(伊丹)聞いた話ですがバクテクロリスのオイルが実用化されたらエネルギー資源を輸出する国にはかなりの脅威になるとか。
例えばこの研究所を作ったあなたの国。
ちょっと何が言いたいんです?だから共同開発を申し出た。
にもかかわらず断られた。
それで…。
ちょっと…断られてませんよ。
(芹沢)えっ?断られてないんですか?ドクター高松とは共同開発の話が進んでいました。
うちの資金源は本国の政府だから魅力的だったんでしょう。
でも彼が死んだらこの話も終わりでしょうけど。
話が終わる…。
それはどういう事でしょうか?高松教授の共同開発者が反対しているから。
…とこの研究所の人が言ってました。
えっ?いいんですか?僕らこれ以上の捜査は無理そうだしギブ・アンド・テーク…って伊丹先輩が。
僕たち何か向こうにギブしましたっけ?さあ…。
しかしおかげで動機がわかりそうじゃありませんか。
失礼します。
おやこんなに遅くまでどうしました?杉下警部に頼まれていた事を調べてました。
おやおやこれは失礼。
それで?硫化水素の成分や含まれている不純物を調べればバクテクロリスから取り出した硫化水素との照合は可能だそうです。
高松教授を殺した硫化水素ですが当然保存されてますよね?もちろんです。
えっ…?今日は1番にご出勤ですね。
いつもどおりに。
先生の自殺で捜査は終わったんですよね。
海外からの出資を高松教授が断っていた。
そうおっしゃいましたね?
(栗田)ええ。
高松教授海外のこの研究所と共同開発の話を進めてましたよ。
何かの間違いじゃないですか?おやご存じありませんでしたか?あの今日は一日を研究に費やしたいので…。
すぐに済みます。
しつこくてすみませんねぇ。
あっ栗田先生は共同開発に反対だったとか。
それもこちらから伺いました。
その手の話を断っていたのは先生だったんですね。
共同開発で技術を盗まれた。
資金提供で権利を取られた。
そういう研究を何度も見てきました。
日本では今貴重な技術が簡単に海外に流れます。
だから海外からの話を断っていた。
しかし日本では資金提供の話がない。
…という事でしょうか。
バクテクロリスのオイルは純日本製であるべきです!日本の技術で世界を豊かにする…それが私の願いです。
しかしその願いが高松教授には届かなかった。
だから私が殺したと?バクテクロリスを少し採取させていただけませんか。
は?成分と不純物を調べればこのバクテクロリスの硫化水素と高松教授の命を奪った硫化水素が同じものかどうかわかるそうです。
どうぞご自由に。
ご協力感謝いたします。
神戸君。
はい。
にわか科学は目的を見失う。
はい?…という言葉をご存じですか?いえどのような意味でしょう?科学がなんの目的で使われるのか科学者は肝に銘じて研究しなければならない。
そうでないと誰もがダイナマイトを作ってしまったノーベルになりえる。
ノーベルはのちにそれで苦悩したそうですね。
ええ。
でも私の言いたい事はそうじゃない。
とおっしゃいますと?高松先生の命を奪った硫化水素がたとえバクテクロリスのそれと一致しても私が殺した証拠にはならない!つまり高松教授が取り出して自殺したと。
高松教授なら可能です。
なるほど。
科学を扱う人間は最終目的を忘れてはいけません。
先生がこの研究を続けている目的はバクテオイルで世界中を豊かにする…でしたね。
そうなれば世界が抱える問題のかなりの部分をいえもしかしたら紛争や戦争も解決できるかもしれない。
それも日本のバイオ技術で…そう思ってます。
素晴らしい最終目的です。
誰にも邪魔はさせません。
また来ます。
ありがとうございました。

(武井久美子)高松教授は残念でした。
はい。
(久美子)それで資金の調達が難しくなった。
それが正直なところじゃないですか?結構ですよ。
私はその心境の変化を歓迎します。
でその後開発のほうはどうですか?特許申請まであと一息です。
では開発がどこまで進んでるのか詳しく…。
(栗田)ただ…1つ困った事が。
トイレの外の植物から硫化水素が検出されました。
トイレが死亡現場です。
つまりあのトイレから遺体が運ばれた。
ええ殺人ですな。
というわけで一応これあの所轄に伝えてから帰りますから。
おやもうお帰りですか?こんなに早く。
ええ。
昨日夜勤を代わったので今日はもう…。
では今日は時間がたっぷりある。
はい?高松教授を殺した硫化水素ですが保存されてるんですよね?はい…。
それは遺体から採取したものですよね?ええ硫化水素は髪の毛や服に付着しますからね。
ええええええええ…。
それですがいつ付着したものかわかりませんかねぇ?いつ付着したってあの…それで死んだんですから死ぬ直前では?いえそうではなく何月何日というふうな詳細な特定なんです。
例によって難しい事言いますな。
では例によってよろしくお願いします。
あっ…!はい?あとで紅茶でも差し入れましょう。
あ…そりゃどうも。
ええ。
そりゃどうも…。
「栗田教授の話ではバクテオイル1リットル当たり実効価格100円なら5年以内で実現できるそうです」バクテオイル…。
この議員その開発の予算を訴えてるんですよ。
(久美子)「バクテオイルの特許を本年度中に取り5年以内の実用化を目指しています」「政府としては予算計上はもちろんですがバクテクロリスを特別生物に指定して国外への持ち出しを禁止するべきです」
(角田六郎)いやあこういう開発をしている偉い先生がいるんだねぇ。
ああそういう先生がいる間は心もとない今の日本もなんとか安泰だよな。
ね?警部殿。
このタイミングでこれは作為的なものを感じますねぇ。
え?
(電話)
(電話)
(角田)はい。
はい特命係。
あっ…。
すぐ刑事部長室に来い。
中園参事官です。
このタイミングでこれですか。
(ため息)
(内村)無駄に察しのいいお前ならなぜ呼ばれたかわかるな。
武井久美子議員は元警察官僚でしたね。
そんな話はしてない。
おやそんなところから抗議でもあったのかと。
城南大の栗田教授の研究を邪魔してるらしいな。
いえ我々に教授の研究の邪魔をする意図はありません。
ええ殺人事件の捜査をしているだけです。
お前たちに殺人事件の捜査をする権限はない。
もちろん日本の国益を邪魔する権利もない。
栗田教授がどんな研究をしているか知ってるな?知っています。
聞けば聞くほど日本の宝とも言える人物だ。
同感です。
だったらなぜその人を困らせるような事をする?大体これは自殺として処理された案件だ。
お言葉ですが死亡現場が判明して殺人の疑いが出たはずです。
そんな話は聞いてないし聞く必要もない。
(携帯電話の振動音)申し訳ありません。
謝るんだったら最初から…。
いえ…。
(携帯電話の振動音)ちょっと失礼いたします。
こらーっ!ああ続きは僕が叱られますから。
どうぞ。
あもしもし。
いつ硫化水素を浴びたかというご質問ですが…。
いつ硫化水素を浴びたのかわかるそうですよ。
亡くなられた時ですよね高松先生が。
いえ高松教授ではなく犯人が。
は?高松教授の死亡現場はあちらでした。
しかしこのトイレに硫化水素の痕跡はありませんでした。
つまり高松教授の死後何者かがこのトイレの窓を開け硫化水素を排出しここを丹念に掃除したという事です。
その間犯人は硫化水素を浴びた可能性が高い。
もし髪の毛に浴びてしまっていたとしたら…。
髪の毛は毎日伸びるので調べればいつ浴びたのかわかるそうですよ。
もうおわかりかと思いますが先生の毛髪任意提出していただけますか。
任意ならお断りします。
おやバクテクロリスの時は快く提出してくださったのに。
毛髪は調べられると困りますか?自殺で処理された件を調べているのはあなた方だけのようですね。
元警察官僚の代議士に確認されましたか。
提出していただけますよね?一晩考えさせていただけませんか。
染められたりすると鑑定不能になってしまいますから。
栗田教授の毛髪です。
(米沢)お預かりします。
どのくらいかかりますか?お急ぎでしょうか?できれば朝までには。
という事は必然的にまた徹夜ですな。
本当にどうもありがとう。

(栗田)「あすなろあすなろあすはなろう」「とうげをこえるひとたちの」「なつはひかげになるような」「おおきなひのきにあすはなろう」石油になれなきゃ意味がない。
そうだよな?
(携帯電話)鑑定結果ですか?
(携帯電話)
(携帯電話)栗田教授です。
(携帯電話)
(携帯電話の操作音)はい杉下です。
(栗田)「城南大の栗田です」おやこんな時間にどうしました?「毛髪はもう…毛髪は鑑定を…」いえ明日の朝提出します。
ですから結果はもう少しお待ちください。
栗田教授神戸です。
教授鑑定結果が出る前に僕たちに何か話したい事があるんじゃないですか?栗田教授?「話したい事があります」どちらに伺えばいいでしょうか。
高松ルームへ。
では伺います。
うあっ…!
(物が落ちる音)
(ドアを叩く音)
(何かが倒れる音)神戸君!
(パトカーのサイレン)近づかないで!我々に近づかないでください!室内捜索開始。
了解!
(伊丹)なぜ殺そうとした?特命係の2人を。
それも高松教授をやったのと同じ手を使って。
大丈夫だったんでしょうか?えっ?高松ルームのほうは大丈夫だったんでしょうか?自分でやっといて何言ってるんだよ。
(三浦)警察と消防の専門班が処理しています。
部外者は近づけていません。
(専門班員)早く準備を急げ!
(専門班員)はい!急な話でしたけどちゃんと手配してますから。
現場のほうは?大丈夫。
処理は進んでいます。
どうして…。
どうしてわかったんです?先生から高松ルームに呼び出された時に口封じをされる可能性を考えました。
あなたはこの事件を調べてるのが僕たち2人だけだと思ってましたからね。
にわか科学は目的を見失う。
先生が殺そうとしたのは我々だけだったはずです。
しかしもしあそこに人が近づいてしまったらどんな事になっていたでしょう。
あなたはそんな事もわからなくなっていましたか?科学者は常にその科学がどんな結果をもたらすのか肝に銘じなければならない…でしたね?すべて話してくれますよね?
(高松)世界中の人たちのエネルギーとなるような…。
「明日は石油になろう」だ。
(栗田)先生だいぶ疲れてらっしゃるようですが…。
ここと共同研究の話を進める。
驚かないんだな。
今日私にも連絡がありました。
お断りしたいと言っておきました。
(高松)交渉の担当は私だ!
(栗田)先方もそう言ってました。
(高松)純国産エネルギーにこだわる君の気持ちもわかる。
考え直してください!
(高松)石油にならなきゃ意味がないんだよ!この子たちが生まれてきた意味がないんだ!海外に売る気ですか?我々の子供を。
日本の企業からこれ以上資金を出させるのは不可能だよ。
だったら…。
お願いです先生!先生…。
今度は私も資金集めの仕事を一緒にしますから。
(高松)そんな簡単じゃない!
(栗田の声)それが何度も話し合った結果でした。
この子たちのためでもあるんだ。
この国と手を組めば資金的な心配はなくなる。
それにここに拠点を置けば開発を潰そうとするエネルギー業界からも身を守る事ができるんだ。
悪いが…もう決めた事だ。
(栗田の声)私はトイレの水を流すと硫化水素ガスが発生する仕掛けをして高松先生を…。
現在…私以外にバクテクロリスの開発ができる研究者はいません。
私が捕まれば同じような開発をしている海外に抜かされ日本は永久にエネルギー輸入国のままです。
栗田教授あなたの研究は本当に素晴らしい。
ですが有意義な研究を続ける事と人の命を奪った事はまったく別の問題ですよ。
警部殿そろそろ我々にも取り調べを…。
最後にもう1つだけ。
神戸君。
はい。
何をした…?あの子たちに何を…!?おい!枯れてる…!死滅してる!研究室の人も言っていました。
全滅してしまったって。
栗田教授。
素人考えですがあなたが部屋に充満させたバクテクロリスの硫化水素それが原因だったんじゃありませんかね。
私が…。

(嗚咽)どうして…!
(栗田の号泣)
(栗田の号泣)はいわかりました。
わざわざどうもありがとうございました。
はい。
城南大で検査した結果バクテクロリスが死滅した原因はやはり部屋に充満した硫化水素だったそうです。
しかしバクテクロリスは硫化水素を蓄積するはずでしたね。
ええ水中では。
でもそれ以外の場所で触れると他の生物と同様深刻な影響が出る…そういう事がわかったそうです。
そうですか…。
結局自分で蓄積した毒が命取りになったんですね。
何を考えてるんです?以前君が考えていたような事です。
えっ…?それはおととい採取した…。
はい。
生き残りのバクテクロリス。
これ大学に返そうと思います。
しかしバクテクロリスを開発できるのは栗田教授だけだったはずです。
それでもごくわずかでも可能性があるのなら…。
神戸君…。
2015/11/20(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒season10[再][解][字]

微生物から重油を生成する研究をしている教授が死亡!共同研究者の栗田(利重剛)に疑いがかかり、右京(水谷豊)と尊(及川光博)の激しい追及にあうのだが…

詳細情報
◇出演者
水谷豊、及川光博
川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇、六角精児
【ゲスト】
利重剛

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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