辺野古:沖縄知事も提訴へ 国の代執行提訴受け
毎日新聞 2015年11月17日 22時08分(最終更新 11月17日 22時32分)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画を巡り、石井啓一国土交通相は17日、名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しを撤回する代執行に向けた行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。国と沖縄県との対立は法廷闘争に突入した。翁長雄志(おなが・たけし)知事は、承認取り消しにより「有形無形の膨大な不利益が生じる」とする国の姿勢を「理解できない」と強く批判。埋め立て承認取り消し処分の効力を停止した国交相の決定に対しても、決定の取り消しを求める新たな訴訟を検討していることを明らかにした。
訴状で国は、行政処分の取り消し権を制限した最高裁判例に従い、埋め立て承認を取り消して生じる不利益と、維持した場合の不利益を比較。移設が実現しない場合には普天間飛行場の危険性が除去できず、19年にわたり日米間で積み上げた努力が無に帰すほか、沿岸部埋め立て工事などに投じた約473億円が無駄金になると主張。こうした不利益に比べれば、沖縄県が主張する辺野古周辺の騒音被害や自然環境への影響は「極めて小さく、前者がはるかに上回ることは火を見るより明らか」とし、速やかな判決を求めた。
これに対し翁長知事は同日夕の記者会見で「辺野古の美しい海を埋め立て、新基地建設を強行しようとする政府の態度は多くの県民には理解することすらできない」と批判。「公有水面埋立法に基づいて国から一定の権限を与えられたに過ぎない知事が国防や外交に関する重大事項の適否を判断する権限はない」とする国の主張にも、「権限は知事にあり、私が適法に行った承認取り消しを違法と決めつけられるいわれはない」と反論した。
那覇支部は、第1回口頭弁論の期日を12月2日に指定した。裁判所が国の訴えを認めれば、国が知事に代わって埋め立て承認の取り消しを撤回できることになる。一方、県幹部によると、国交相の決定の取り消しを求める新たな訴訟は、議会に議案を提出して議決を得たうえで早ければ12月中にも提訴する構えという。
米軍基地問題で国と沖縄県が裁判で争うのは、1995年に米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否した知事を首相が訴えた「代理署名訴訟」以来で、大型米軍基地建設を巡る両者の裁判闘争は初めて。辺野古移設を巡っては、仲井真弘多(なかいまひろかず)前沖縄県知事が2013年末、国の埋め立て申請を承認したが、県内移設反対を掲げて14年11月の知事選で当選した翁長知事が今年10月13日、承認を取り消す処分をした。【坂口雄亮、佐藤敬一】
◇政府側の訴えの骨子
・翁長知事の取り消し処分は、取り消し権を制限する判例法理に反している
・埋め立て承認を取り消せば、普天間飛行場の危険性除去を阻害する
・米国、国際社会の信頼を失う
・移設しても自然環境への影響は小さい