韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権が危機に直面している。「中高の歴史教科書を国定版に一本化」という方針に野党と市民が猛反発。14日には10万人規模のデモ隊が首都ソウルを占拠し、機動隊と激しく衝突した。教育行政への関与を強める政権に対して、「歴史クーデター」「独裁の始まり」などの声も挙がり、支持率下落に歯止めがかからない。現地事情に詳しいノンフィクションライター、高月靖氏が緊急リポートする。
強気の南北協議が国民に支持され、9月には1年ぶりの高支持率を記録した朴政権。だが、10月第3週から支持、不支持が逆転し、同月第5週には支持44・5%に対して不支持が50・0%に。その後も不支持が上回る状態が続いている。
火種はほかでもない「歴史教科書」問題だ。
「韓国も日本と同様の教科書検定制度がある。しかし、朴政権はこれを廃止し、政府が定める『国定歴史教科書』に一本化する方針を示した。これに世論が猛烈に反応した」(現地日本人メディア関係者)
14日には、ソウル中心部にある市役所前に教科書問題などをテーマにした市民団体と労働組合らが集結。10万人規模(警察推計約6万人)まで膨れあがり、「朴大統領は退陣しろ!」などシュプレヒコールをあげ、大統領府を目指した。その際、機動隊と激しく衝突、放水などで重傷者が続出する事態となった。
複数の世論調査機関によれば、教科書問題の国民の賛否は10月第1週までほぼ半々だった。だが、野党が歴史教科書の国定化を「歴史クーデター」「独裁の始まり」と批判し、阻止に向けて総力戦の構えをみせると状況は一変。10月末の調査では賛成38・1%、反対56・0%と拡大した。
国定教科書については「権力が唯一の歴史観だけを国民に押しつける」といった批判がある。だが、韓国社会で賛否を生む理由はそれだけではない。