米大統領選:バイデン米副大統領が不出馬「時間は尽きた」
毎日新聞 2015年10月22日 11時45分(最終更新 10月22日 12時19分)
◇支持率トップのクリントン氏に逆転困難と判断か
【ワシントン及川正也】ジョゼフ・バイデン米副大統領(72)は21日、ホワイトハウスで声明を発表し、来年の米大統領選へ向けた民主党指名争いに出馬しない意向を表明した。バイデン氏は「選挙活動に十分な時間は尽きた」と述べた。出馬しても支持率トップを走るヒラリー・クリントン前国務長官(67)を逆転するのは困難と判断したとみられる。バイデン氏の出馬断念はクリントン氏に追い風となりそうだ。
大統領、副大統領ともに出馬しないのは2008年に次いで戦後2回目で、異例だ。
バイデン氏は5月に病死した長男が出馬を促したとされる。また、米CNNテレビの世論調査によると、庶民的で中間層の支持が厚いバイデン氏の好感度はクリントン氏より高く、国務長官当時に公務に私用メールを使っていたことが問題視され「秘密主義」と批判されていたクリントン氏に並ぶ有力候補として出馬を促す動きが活発化。側近グループなどは出馬に向けた準備を進めていたが、家族らとの協議の末、不出馬を決めた。
CNNの支持率調査では、クリントン氏45%、リベラル派のサンダース上院議員29%、バイデン氏18%だが、バイデン氏が出馬しない場合にはクリントン氏56%、サンダース氏33%となり、「バイデン票」の多くがクリントン氏に流れると予測されている。民主党系シンクタンク幹部は「クリントン氏にとっては有利だ」と語る。
一方、サンダース氏は医療保険の完全皆保険化や公立大学無償化を公約に掲げるが、メディアの試算では10年間で18兆ドル(約2160兆円)必要とされ、党内からも「非現実的」との指摘があった。「バイデン氏が出馬すれば政策論争を現実路線に戻すことができたが、それもかなわなくなった」(同幹部)と懸念の声も漏れる。