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脱石炭:日本は最下位…火力新設相次ぎ NGO先進国評価

毎日新聞 2015年10月21日 20時01分(最終更新 10月21日 22時31分)

 【ボン渡辺諒】英国の非政府組織(NGO)「E3G」は21日、先進7カ国(G7)の多量の二酸化炭素(CO2)を排出する石炭火力発電からの脱却度を評価する報告書を発表し、新設計画が相次いでいる日本は最下位となった。1位は老朽化施設の閉鎖が進む米国となるなど、G7各国で脱石炭が進む中、日本の対応の遅れが鮮明になった。

 地球温暖化対策の新たな枠組みを話し合う国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の準備会合に合わせ、当地で記者会見した。G7は6月の首脳会議で、2050年までに温室効果ガスを最大で10年比70%削減することに合意しており、石炭火力からの脱却は急務だ。

 報告書によると、新設計画▽既存施設の閉鎖▽資金提供など国際的な影響−−の三つの分野で評価。その結果、G7の中で唯一新設を推進したり、途上国に石炭火力関連の資金提供をしたりする日本は、全ての分野で最も悪い成績となった。

 一方、石炭比率が低いフランスが米国に続き、CO2排出抑制のない新設を認めないことを公約している英国が3位などとなった。E3Gは「日本は再生可能エネルギーへの投資を進め、石炭火力の新設をやめるという最も基本的な取り組みから始める必要がある」と強調する。

 ■先進国の脱石炭ランキング

         主な理由

1位 米国   老朽化した石炭火力の閉鎖が急速に進展

2位 フランス 石炭火力への資金提供の中止

3位 英国   排出削減策のない石炭火力の利用停止を公約

4位 カナダ  石炭火力を段階的に廃止する意思を表明

5位 イタリア 電力会社が石炭使用の削減を公約

6位 ドイツ  石炭使用量が増加。一方、環境税提案の動きも

7位 日本   石炭火力廃止の必要性を認めず、先進国で唯一の新設計画も

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