2008年10月28日 (火)人工心臓開発 野尻知里さん

アメリカで、新型人工心臓の開発リーダーを務める野尻さん。
バリバリとハードに働いているのに、VTRではいつも笑顔。
明朗快活、さばさばとした気持ちのよい方だ。
野尻さんは、130人を率いて、
まったく新しい世界の開拓に日々挑んでいる。
しかも、素敵なだんなさんと、十代の娘さんもいる。
人生において、たくさんのことを達成しているのだ。
なんだか、スーパーウーマンのよう・・・!
直接お会いすると、いったいどんな女性なのだろう?
そして、この「達成力」は、どこから来るのだろう?
同性として、楽しみにしていた。
 
野尻さんは・・・


黒い衣装にハイヒールのブーツ、
素敵なネックレスと、揃いのイヤリングでスタジオに登場した。
すごい。お若いし、かっこいい!!
「きょうの服は、娘に選んでもらったの」
 
エネルギーに満ちていて、人を自然に引き込む雰囲気を持っている人だ、
と思った。
収録中も、後から後から言葉が溢れてくるように、
生き生きと、新型人工心臓について語ってくださる。
なんにでも前向きに挑んでいくのだろうということが、
話を伺っているだけで伝わってくる。
 
しかし、女子は、裏で落ち込んでいたりするものです。
野尻さんはどうなのだろう?
伺ってみることにした。
野尻さんが落ち込んじゃうことって、あるんですか?
 
~~~~~~~
【野尻】ありますよ、いっぱい。
     普通は泣くんです、一回。泣くだけ泣くんです。
     ああ、私はなんて不幸なんだろうと泣くんです。
 
【住吉】それはどこで。一人で家で泣くんですか。
 
【野尻】ええ。もうぼろぼろ。ぼろぼろです。
     それをしていると、それが済んじゃうと、次は、
     私、もう駄目かなと思うと、急に気力が湧いてくるのです。
     泣いてばかりじゃない。
     それをスプリングボードにするんです、力にするんです。
     それは、私の処世術というか。
     負けちゃうとそこでだめになっちゃうんですけども、
     バネにする。
     私の場合はブルドーザーみたいで(笑)。
     好きなことがあるでしょう、
     それを阻むものがあると、全部、
     取り除いていく、次の平原にいく、
     というようなところがちょっとあるみたいですね、どうも。
     だから逆境に立つとすごく強くなる、急に。
     妙に強くなるのですよ、私。
     来た来た来たと思いますからね(笑)

【茂木】苦しいことがあったほうが次には飛べますか。
 
【野尻】そうですよ、
     だって脳が活性化しますもの、闘おうと思って。
     闘ってます、いつも。
     私は打たれたほうが強いんです。
     要はね、ずーっと安定が続いているとダレちゃうんですね、私は。
     ほんとに怠惰になっちゃうんですよ。
     逆境みたいな波が来たときに、グーッとドーパミンを出して、
     今度はそれを、力にするというパターンがついてます。
     ずーっと安定していたら、たぶんその力は生まれないと思う。
 
【住吉】はああ・・・!
 
【茂木】逆境こそ力にするということですね。
 
【野尻】そうです。それを克服したときに、飛べますから。
     そういうふうにやってきてるような気がしますね。
~~~~~~~
 
いやあ、すごい。
パワフルである。
なかなか、ここまで逆境は楽しむものだ!と断言できるひとは
いないと思う。
そこが、野尻さんの強さであり、「達成力」の秘密であることを確信した。
 
野尻さんは、仕事だけでなく、
家庭や育児の面でもすごい。
仕事仲間で、エンジニアのだんなさんと出会い、
30代後半で結婚をし、43歳で初産、娘さんを出産している。
今でこそ40代の出産はかなり増えてきているが、
12、3年前に、40代で初産というのは、周りもびっくりしたのではなかろうか。
野尻さんに、収録の合間に伺ってみた。
こどもをいつか生みたいと、計画していたのですか?
 
「いや、ぜんぜーーーん!!
 そもそも、私、結婚するって思ってなかったもの。
 結婚しないで、仕事一筋でいくと思っていたのよ。
 そうしたら、今のパートナーに出会って。
 さらに、こどものことはまったく考えていなかったのに、妊娠がわかって。
 自分では体力的だいじょうぶだと思っていたのですが、
 むしろ、ダンナや家族が心配して、少し反対されたりもしましたよ。
 でも、生みました。
 出産の1週間前まで国際会議で発表をしていたし、
 出産後1週間から、また会議に出ていました!
 すべて予定外ですけれど、なんとかなるものでしたよ」
 
ひょええええ!!
また、これはすごい体験談である。
女子としては、なんだか勇気も湧いてくる。
 
では、野尻さんを突き動かすものは?
それは、「夢」だという。
野尻さんにとって、「夢」とはどんなものなのだろう。
 
「夢。
 夢は追い続けるものですね。
 夢は完結しないんです。オープンエンドなの。
 だから、持つものよ。
 夢って実現しちゃうと、
 人間って、たぶんそこで終わっちゃうんじゃないかな。
 夢は、大きければ大きいほど、
 ほら、山は高ければ高いほどいいと言うじゃないですか。
 夢は、やっぱり追い続けるものだと思う」
 
野尻さんは、自分を「ブルドーザー」に例えたけれど(笑)、
逆境であろうと、すばらしい出来事であろうと、
先が見えないことにわくわくしながら、
人生で、出会ったものをすべて吸収して、体験して、
感動して、味わって、楽しんで生きるぞー!という気概が
野尻さんのどのことばからも伝わってくる。
見習いたい心意気がたくさんあった・・・
 
 “Get the most out of life!” (人生を味わい尽くしちゃえ!)

投稿者:すみきち | 投稿時間:18:50

コメント

不安や逆境をスプリングボードに変える。
高く険しい果てしなく続く山を登ることに喜びや楽しみを見出していくこと。
プロフェショナルの心(の奥)を覗いた気持ちです。
とても素敵な大和撫子。

投稿日時:2008年10月28日 22:47 | marginal_utility_K

野尻さん。すごく元気な人でしたね。
先の見えない未来にわくわくできれば、それはもう怖いものは無いですね。野尻さんはすごい人です!
手術の場面。頑張って見ました。
患者さんの命は、野尻さんを始め、数えきれない人たちのおかげなんだと思いました。
それを見て、自分も多くの人のおかげで今がある。そうしたら、その命でなにをするかということを真剣に考えないといけないと思いました。
すみきちさんと茂木さんは、ゲストの方と4時間も話していると聞きました。トーク時間が少なくて、もったいないと思っていたら、次週はトークスペシャルなんですね!嬉しいです。

投稿日時:2008年10月29日 17:22 | A.G

私も子を持ち働く女医ですが、野尻さんの生き方には大変ショックを受けました。しかしそれは、ずっと待ち望んでいた爽やかな、気持ちのいいショック。こんなショックを待っていました。自分の心をさらけ出しているからこそ、覚悟を示しているからこそ、大勢の多国籍の社員を束ねていけるのでしょうね!

投稿日時:2008年10月29日 21:51 | ナンテ

毎週楽しみにしています。
道のプロが情熱をもって仕事をする、学ぶところが多い番組ですよね。すみきちさんのトークも楽しみの一つです。これからもいい番組作りをお願いします。

投稿日時:2008年11月11日 09:00 | 株式会社セロリの管理人

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