22日投開票の大阪府知事、大阪市長ダブル選に向け、低迷する若者の投票率を上げようと大学生が動いている。来夏からの18歳選挙権を見すえ、キャンパスの投票所設置や投票者への飲食店の割引で「足を運びたくなる選挙」をめざす。

 大阪大豊中キャンパスの大学会館には投票箱や記載台が持ち込まれ、19日までの2日間、府知事選の投票をしている。今回唯一、大学に置かれた期日前投票所だ。18日に訪れた3年女子(20)は「郵送された投票所の案内を見て来ました。投票日は用事があり、平日も忙しいのですごく便利です」と話す。

 豊中市の職員に交じって、学生が投票所の運営を切り盛りしている。市が学内で募り、投票を監視する立会人に4人、事務従事者に3人の学生が手を挙げた。事務従事者として案内や投票用紙の交付にあたった法学部1年の黒木湧也さん(19)は「運営側に学生がいることで、ほかの学生も行ってみようかと思ってもらえるかも」と期待する。

 豊中市は4月の統一地方選で、初めて阪大に期日前投票所を設置。府議選、市議選で各約340人が投票したが、学生は1割程度だった。「まず一度、投票所に足を運び、習慣づけてほしい」と市選挙管理委員会の担当者。今回は市役所の期日前投票所でも学生ら4人が事務を担う。

 大学の投票所の設置は全国で広がっている。4月の統一地方選では、少なくとも12大学に期日前投票所が設けられた。

 関西大は22日、高槻ミューズキャンパスの食堂に初めて投票所を設ける。校舎があるJR高槻駅周辺は高層マンションが増え、投票所を増やすにあたり市が関大に設置を依頼した。関大の池内啓三理事長は「大学も学生の政治離れを懸念している」と話す。

■低迷する20代の投票率

 総務省によると、昨年12月衆院選の投票率は53%だったが、20代に限ると33%(抽出調査)。1993年以降ずっと50%を切り、大阪市長選でも20代の投票率の低さが目立つ。

 投票率向上に取り組む学生団体「ivote(アイヴォート)関西」は、学生が投票すれば飲食店などで割引を受けられる「投票割(とうひょうわり)」を企画した。

 メンバーが通う阪大、関大、大阪経済大周辺の18店に協力を依頼。投票所でもらえる投票証明書か、投票所の看板と自分が入った写真を店に見せるとドリンク無料、全商品1割引きなどのサービスを受けられる。メンバーの大阪経済大1年矢野右京さん(19)は「選挙は若者が政治に意思表示できる数少ない機会。僕自身、来年が待ち遠しいです」と話す。(玉置太郎)