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指定廃棄物処分場 現地調査の年内着手断念伝える
11月19日 21時11分

指定廃棄物処分場 現地調査の年内着手断念伝える
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東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した指定廃棄物の宮城県への処分場建設を巡り、井上環境副大臣と宮城県の村井知事が会談し、井上副大臣は、候補地を絞り込むための現地調査について、年内の着手を断念することを伝えました。
会談は、19日夕方、宮城県庁で行われ、井上環境副大臣は「先月6日以降、連日のように候補地に行ったが、残念ながら地元の理解が得られず着手できなかった。もう雪が降る季節となり、ことし中の調査は断念せざるをえないという結論に至った」と述べ、年内の調査を断念することを伝えました。そのうえで、井上副大臣は、宮城県内での処分場建設に引き続き理解を求めるため、年内に市町村長を集めた会議を開きたいという考えを示しました。
これに対し、村井知事は「2年間もかけて何もやっていないではないか。政治がリーダーシップを発揮しないからこうなった。丸川環境大臣は宮城県には来ておらず、『宮城県の指定廃棄物の問題はたいしたことはない』と言っているのと同じだ。環境省の対応に失望している」と述べ、これまでの環境省の対応を厳しく批判しました。

指定廃棄物の宮城県への処分場建設を巡り、環境省が3か所の候補地を絞り込むための現地調査を実施できないまま年を越えるのは、2年連続になります。候補地の栗原市と大和町は、調査が越年する場合は候補地を返上する考えも示していることから、処分場の建設は一層、不透明な状況になりました。

会談のあと、井上環境副大臣は記者団に対し、「村井知事からは非常に厳しい意見をいただいたが、重く受け止めたうえで、問題を前に進めるためにご協力をお願いした。引き続き今の方針で進めたいが、地元の理解と協力が不可欠なので、改めて市町村長会議を開き、われわれの考えを伝えるとともに、いろいろな市町村長たちの意見を伺いたいと考えている」と述べました。

会談のあと、宮城県の村井知事は記者団に対し、「このような対応をする省庁は環境省だけだ。環境省が悪いというよりも、司に問題がある。環境大臣みずからが『問題を解決するんだ』という強い意志を持ち、職員に指示して、われわれに気持ちを伝えなければ、これだけ大きな課題を解決することはできない」と環境省の対応を改めて厳しく批判しました。そのうえで、「国は『白紙に戻すことはできない』と話していたが、国の考え方を聞いて市町村長がどう判断をするのか、知事としてしっかり見極めたい」と述べました。

宮城県内の候補地になっている栗原市の佐藤勇市長は「環境省は指定廃棄物を抱える被災5県の自治体の苦悩を理解していない。これまで1年10か月、調査を受け入れることとして対応してきたが、これ以上先延ばしにしても何の打開策も見えない。改めて村井知事に対して、市町村長会議の開催を要請するとともに、会議の場において候補地を返上する」というコメントを出しました。

宮城県内の候補地になっている大和町の浅野元町長は「調査は市町村長会議の決定事項なので、やむをえず受け入れるという姿勢で対応してきた。町民に対する説明責任や解決策が見いだせない状態が続くことから、引き続き栗原市とともに市町村長会議の開催を働きかけてまいりたい」というコメントを出しました。

加美町の猪股洋文町長は記者会見で、「抗議活動を続けてきた住民の方々に『ごくろうさまでした』と言いたい。環境省は、今後、半年間は調査に入れなくなるので、いったん計画を白紙に戻し、ほかに指定廃棄物の処分方法がないかなど、冷静に考えてもらいたい」と述べました。

環境省が現地調査の年内の着手を断念したことについて、加美町の候補地で抗議活動を行っている団体の高橋福継会長は「『ひと段落した』とほっとしている。環境省もむだだと分かっていても毎日同じことを繰り返して調査に入ろうとしていたので理解しかねていた。2年、3年と長引く可能性もあるが、なんとしても白紙撤回を求める反対運動は続けていきたい」と話しています。

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