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「できる女」は読まない? 「日経EW」休刊

2007年10月16日

 そうだろうな、と言ってしまったら身もふたもないだろうか。「日本初、女性リーダーのためのビジネス&ライフスタイル誌」とうたい、今春3月に創刊した月刊誌「日経EW」(日経ホーム出版社)が、5号でひっそり休刊していた。

 男女雇用機会均等法の施行から21年。そろそろ管理職に就き始め、既存の「日経ウーマン」誌は物足りなくなった40代に向けた試みだった。「EW」とは、いわく、エグゼクティブでエレガント、エクセレントな女たち。「部下を育てる、愛の言葉」「パワーブレックファスト」といった仕事関連の特集だけでなく、ファッションや恋愛、エッセーもちりばめ、盛りだくさんではあった。

 創刊号で約3万部を実売した後は、厳しい数字が続いた。「期待したほどマーケットが成熟していなかった」(熊井健二・同社管理部長)。女性エグゼクティブなど、まだまだ少ない現実が突きつけられた。対照的に、派遣などで働く読者を意識した「日経ウーマン」の方が好調と聞くと、格差論議で見落とされがちな「女―女」間格差の拡大になおさら納得がいく。

 無論、失敗の原因は複雑だろう。横並び社会で「エグゼクティブ」と名乗ることのためらいとか、「頑張ってます的」なスタイルへの拒否感とか。女性と一くくりにされることへの違和感や無関心も、近年のフェミニズムの退潮とあわせてあるかもしれない。

 興味深いのは、「EW」読者の傾向としてみられた“タフネス”が、低迷につながったのではないかという指摘だ。「いつも迷っている『日経ウーマン』読者のメンタリティーと違う。自分で解決する人たちなんですね」(熊井さん)。そういえば、先ごろ邦訳出版された『プライドと情熱 ライス国務長官物語』(発行・角川学芸出版)も、悩む場面はほとんど印象に残らなかったのを思い出す。

 「できる女」は「読まない女」? 男性エグゼクティブ誌には最近、家庭の悩みやうつの記事が増えているのだが。

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