日馬富士 １敗追走

（１８日・福岡国際センター）

　日馬富士が気迫をみなぎらせて厳しく攻めた。右のど輪で栃煌山を起こそうとする。押し込めないとみると、３発ほど左から強烈な張り手。タイミングを見計らって押し出した。右肘痛で秋場所の全休から復帰した場所で２桁白星に乗せても「一日一番、一生懸命やった結果です」と表情は引き締めたままだった。

　取組後とは対照的に、朝稽古後はリラックスしていた。１０日目に白鵬が栃煌山に猫だましを連発したことから「オレもきょうやろうかな」とジェスチャーを交えて冗談を飛ばす余裕っぷり。部屋でも「ご飯を食べて、マッサージして、リラックスして。あまり相撲のことは考えないようにしている」と日馬富士。オンとオフをうまく切り替えられていることも好調を後押しする。

　優勝争いは白鵬との一騎打ちムードが漂い始めた。「頑張ります」。短い言葉に２０１３年九州場所以来、２年ぶりの賜杯に思いを込めた。帰り際、待ち構えていた子どもから「これを食べて明日も頑張ってください！」とチョコレートをプレゼントされた。引き締まった日馬富士の表情がようやく緩んだ。（永井響太）