川辺優原作のコミックを哀川翔主演で実写化した、任侠映画シリーズ第1作。アウトローを度々演じてきた哀川が、熾烈な抗争に巻き込まれつつも仁義を通す孤高の組長・本郷流一を貫録豊かに演じ、新たな当たり役とした。関西を統括する暴力団組織・光和会最高幹部の岸田組組長が病に倒れて跡目争いが勃発する中、車で見舞いに向かっていた本郷（哀川）は、彼を後継者に推そうとする組長を射殺した伊能（萩原）に、無実の罪を着せられてしまう。

正統派の任侠ものを現代性を加味して甦らせ、人気を博したシリーズ第2作。本郷の全国制覇への物語が本格的に始動し、ベテラン・和泉聖治の巧みな演出のもと、血で血を洗う“仁義なき戦い”がスリリングに展開する。新宿に小さな組を構えた本郷（哀川）は、目標への足掛かりに東西の中間に位置する伊豆の大浜市を選ぶが、その地を代々仕切る旧勢力と、伊能（萩原）率いる和光会岸田組配下の新興ヤクザとの抗争が、日に日に激しさを増す。

日本各地を舞台にヤクザ同士の激しい攻防を描く、人気シリーズ第3弾。狡猾さを増す伊野の非道ぶりの傍らで、実際も哀川翔と弟分のような間柄の中野英雄が、本郷に命を懸けた勝負を挑む昔気質の極道を好演している。過酷な戦いの末に大浜を制した本郷（哀川）が、かつての恩人の久須本組組長を見舞いに博多に渡ったことを知った伊能（萩原）は、宿敵の九州進出を阻止すべく、久須本と対立する大磯（中野）をバックアップしつつ利用する。

作品を重ねる中での人物やその関係性の変化も興味深い、シリーズ第4弾。さらに白熱する本郷VS伊野の対決に加え、梅宮辰夫、白竜らヤクザ映画に欠かせぬ濃い顔ぶれが、“大戦争”のスケール感を醸し出す。新宿の純愛横丁に建つ場外馬券場をめぐり、一大勢力の関東木曜会内部で利権争いが続く中、ある日系ペルー人を救った本郷（哀川）も抗争に巻き込まれるが、関西を牛耳る伊能（萩原）も関東進出を目論み、巧妙な揺さぶりをかける。

シリーズ第5弾。「仁義なき戦い」でも知られる広島を舞台に、恒例の本郷VS伊能の対決を中心に、利権をめぐる血なまぐさい抗争がテンション高く描かれる。湾岸開発に伴う産業廃棄物処理場の建設に絡み、反対派の神石組と推進派の熊野組が対立する広島県で、その利権を狙う伊能（萩原）は神石組組長を暗殺して地盤を固めるが、組長に恩義のある本郷（哀川）も葬儀に出席するため広島に飛ぶ。

平成の『仁義なき戦い』と評され大ヒットした本格極道映画の第6弾。会津、郡山の土地開発4000億円の利権を巡り、関東、関西、東北の極道が激突する。不死身の京本（大和武士）の復活に加え、日活アクションなどを手掛けた小澤啓一監督熟練の手腕も活き、見せ場も目白押しの快作。新宿から着々と全国制覇を狙う本郷（哀川）が、会津若松を牛耳る滝沢一家と組み猪苗代湖周辺のレジャー施設事業に乗り出すのを知り、関西の岸田組組長の伊能（萩原）が滝沢組組長を暗殺したことから、事態は全国規模の抗争に発展していく。

平成の『仁義なき戦い』と評され大ヒットした本格極道映画シリーズの傑作『修羅がゆく』第7弾。清水健太郎が昔気質の極道をいぶし銀の演技で魅せるほか、過去の戦いによる本郷の支持者も集結する豪華な一作。強大な四国連合の下で各組が共存する土佐で、西瀬戸自動車道の莫大な利権を狙う伊能（萩原）は直系の鮫島（永島）に命じその分裂を企むが、岸田組先代組長の三回忌のため高知入りしていた本郷（哀川）も巻き込み、壮絶な死闘が火蓋を切る。

哀川翔主演による極道映画シリーズ第8弾。臨海副都心開発をめぐり、東京進出を目論む伊能（萩原）が、企業舎弟の木島（にしきの）に実質的な権力を奪わせ本郷（哀川）潰しにかかったため、関東木曜会と関西最大の光和会が暗黙の不可侵条約を結んできた東西極道界にも激震が走る。

人気任侠映画シリーズ第9弾。映画初出演の梅沢富美男や往年のスター・川地民夫が存在感を発揮し、ドラマを味わい深く支える。土地開発の莫大な利権に絡む不正融資の陰で、北海道進出と光和会会長の座を狙う伊能（萩原）が、その地を仕切る富塚組組長（川地）にヒットマンを仕向ける一方、恩人の危機を知った本郷（哀川）も北海道に飛ぶが、狡猾な罠が富塚組を追い詰める。

任侠映画の伝統を現代的な要素を盛り込み甦らせた好評シリーズ第10弾。鶴見辰吾が昔気質のやくざを好演している。能登空港建設に伴うリゾート開発地の利権を狙う伊能（萩原）が、地元民と歩んできた金沢の由緒ある神先組組長（鶴見）の義弟を人質にとるなど様々な策略をめぐらす中、金沢入りした本郷（哀川）は、神先とともに伊能に戦いを挑む。

哀川翔演じる仁義を通すリーダー像も魅力的な、人気シリーズ第11弾。恒例の怒涛のアクションに加え、標的だった本郷の男気に惹かれるスナイパーとのほのかなロマンスも目を引く1作。見本市会場となる名古屋メッセ建設候補地の利権を執拗に狙う伊能（萩原）に、有力な土地の所有者の養子の組員を人質にとられた本郷（哀川）は、罠と知りつつ名古屋に乗り込むが、フィリピン人と日本人のハーフ、サラ（甲賀瑞穂）に命を狙われる。

日本各地を舞台に血みどろの抗争を繰り広げてきた、任侠映画シリーズ第12弾。第3作「九州やくざ戦争」の中野英雄が再登板し、クライマックスへと向かう熱気を大いに高めている。本郷組と春田組が、関西の光和会を牽制し兄弟盃を交わす約束をする中、かつて本郷（哀川）との死闘の末に絶命した極道の実兄で、岸田組組長の死の真相を知る大磯（中野）の口を封じようとする伊能（萩原）を追い、本郷も北九州に向かう。

因縁の敵同士の壮絶な死闘が遂に決着する、シリーズ第13弾にして完結編。長年ファンをやきもきさせてきた宿命の対決が、シリーズを支え続けた本郷の献身的な舎弟らの犠牲の末、圧巻のフィナーレを迎える。伊能（萩原）の岸田組組長殺しの証拠のテープを入手した本郷（哀川）は関東木曜会と手を結ぶが、テープを託した伊能とそりの合わない光和会の竜崎（小西博之）の暗殺を経て、兄弟分らも参戦する凄まじい決戦になだれ込む。