寺本大蔵
2015年11月9日16時23分
沖縄戦などで戦死した愛知県出身者を追悼する「戦後70周年戦没者追悼式」が11日、沖縄県糸満市の平和祈念公園である。県内の戦没者遺族約100人が出席し、平和の祈りを捧げる。
式は県主催で1980年から毎年、暑さが落ち着く秋に沖縄で開かれている。戦後70年の節目の今年、大村秀章知事が現職知事としては10年ぶりに出席し、県遺族連合会からも例年の倍の約100人が参加する。
愛知県によると、追悼される同県出身の戦没者数は約5万1千人。沖縄戦で約3千人、フィリピンなどの南方戦線で約4万8千人が命を失った。愛知の沖縄戦生還者や遺族らが62年、沖縄県浦添市の浦添城跡に慰霊碑を私費で建立。当時の桑原幹根知事が「祖先を知り、国を愛す」との思いで「愛国知祖之塔(あいこくちそのとう)」と命名した。慰霊碑は65年、県の所有に移管され、その後、浦添城跡の発掘調査のため、平和祈念公園に移された。94年に岡崎産の中目石を使った高さ約2メートル、幅約8メートルの新たな「愛国知祖之塔」が完成した。
愛知県一宮市奥町の姉妹、白木かよ子さん(77)と塚田やす子さん(75)は10年ぶりの参加だ。奥町(現・一宮市)の役場職員だった父の岩田治三郎(じさぶろう)さんは44年7月に出征し、45年6月、当時36歳で沖縄で戦死した。海軍の整備兵で戦死場所は那覇市内とされるが、詳細は不明だ。
父の出征当日は自宅前で家族5人で記念撮影をした後、家族や親戚で一宮駅に見送りに行った。白木さんに列車の窓から氷を渡された父。白木さんが記憶する父の最後の姿だ。当時3歳だった塚田さんに父の記憶はほとんどない。
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