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【政治】

安保法で自衛隊リスク増 PKO参加国の戦闘死者446人

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 国連平和維持活動(PKO)に参加し、戦闘行為などで死亡した各国軍の軍人が、日本がPKOに初参加した一九九二年以降、四百四十六人に上ることが国連の報告で分かった。自衛隊はインフラ整備など武器を使わない活動に徹し、一人の死者も出していない。ただ、来年三月までに安全保障関連法が施行されたあとは、自衛隊の任務は拡大され、武器使用基準も緩和される。新たな任務で派遣されれば、危険に直面する可能性は高まる。 (金杉貴雄、横山大輔)

 死者数は国連による今年十月末までの統計をもとに、本紙が集計した。九二年以降の二十四年間で、PKO全体の死者は二千五百四十人。うち各国軍人が三分の二の千六百五十三人を占め、ほかは軍人や民間人が就く軍事監視員(七十二人)、警察官(二百三十三人)、文民(二百十四人)などだった。軍人の死亡理由のうち、武装勢力の襲撃などによる「戦闘行為等」は四百四十六人、事故は六百九人、病気は四百九十七人。

 日本はPKOに十三回参加し、世界各地に要員計約一万人を派遣しているが、自衛隊員の死者は一人もいない。自衛隊員以外での死者は五人。カンボジアやタジキスタンで、ボランティアなど三人が武装集団に襲われ死亡したほか、事故死一人、病死一人だった。

 自衛隊に死者が出ていないのは、日本のPKOが道路整備などの活動に専念してきたからだ。武器使用は、自分や近くにいる人の身を守る「自己保存型」に限定していた。

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 安保法は、離れた場所の他国軍や民間人を守る「駆け付け警護」、巡回や検問といった「治安維持活動」などを解禁する。こうした活動を行う「任務遂行型」の武器使用も認める。

 安倍晋三首相は隊員のリスクに関し「訓練を前もってできる。これまでより低くなる」と説明するが、任務そのものの危険度は増す。政府は、自衛隊が従事する現在唯一の南スーダンでのPKOで「駆け付け警護」の任務を与えることを検討しているが、中谷元・防衛相は「慎重の上にも慎重を期して検討を行う」としている。

 PKOは近年、戦闘に巻き込まれる危険が増している。戦闘が続く「内戦型」の国に対し、国連が積極介入するようになったためで、政府側や反政府勢力に襲撃される現地住民を、武器を使って保護することが重要な任務になっている。

 

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