Hatena::ブログ(Diary)

アスペ日記

2015-11-18

翻訳の退場勧告

SICPを訳し直したと、一年前の記事の善意のひどい訳についてに関して、はてな匿名ダイアリーのほうで言及していただきました。


翻訳は/誰がやっても/間違える (前編)

翻訳は/誰がやっても/間違える (後編)


誤訳の指摘ありがとうございます。

差し支えなければ追って反映したいと思いますが(反映について明示的に許可をいただければと思います)、まずはお礼を兼ねてお返事から。


また、タイトル575ありがとうございます。

77でお返しするのが礼儀かと思ったのですが、どうも思い浮かばず… 申し訳ありません。

ところで、匿名の方でお呼びしにくいので、増田*1という意味でMさんとお呼びしますね。


前もって申し上げますが、元記事にはごちゃごちゃした人間的な感情の絡む雑音的な部分も多いので、お返事できそうなところを自分でピックアップして回答しています。

「いや、ここも答えられるだろ」というところがあればご提示ください。


まず、訳文を見ていただけばわかるように、私は翻訳を専門的にやったことはありません。

最近になってやっと、有名な「英文翻訳術」を読んだところです。



そういう私が、「学生時代の専攻が英文学だったことから、翻訳の仕事や、翻訳の校正の仕事をたびたび引き受けてき」たという方から誤訳の指摘をいただけるというのはありがたいことです。(本来ならお金が発生するところではないでしょうか?)


ところで、降って湧いたように翻訳経験者から誤訳の指摘をいただけたわけですが、どうもおかしな人だなという感覚はあります。

というのは、このご指摘の前と後で、私の自分の英語力に対する認識は変わっていないからです。


私は英語の基本的な読み解きはできますが、翻訳の専門的な訓練を受けたことはなく、実力も当然その範囲内です。

Mさんは、私の誤訳を指摘することで「お前の翻訳は間違いだらけだ」と言いたいようですが、そりゃ経験者から見たら穴だらけでしょう(ご指摘の箇所は、特に前編はほぼその通りです。後編については、文脈を見て取捨選択することになりそうです)。

それともMさんは、私が(翻訳者としてのトレーニングも受けずに)自分のことを商業レベルの翻訳者だと思い込んでいると思ったのでしょうか?

それは並みの思い上がりじゃありませんよ。(もちろん、そんな思い上がりはしていません)


で、私の自分の英語力に対する認識は変わっていないので、以前から持っている「手のつけようのない翻訳をそうであると判断する程度のレベルはある」という認識も変わっていないわけです。

それとも、Mさんの意見では、この認識が間違っているということでしょうか?

私が手のつけようのない翻訳だと判断したものが、英語の上級者の視点から見ると全然そんなことはない、これこれこういう理由で優れている、私の指摘は間違っている、ということであれば、それは私にとっては revealing ですし、ぜひお聞きしたいところです。


「致命的な誤訳」「最低クラスの翻訳」「手のつけようのない何か」「身の程を知ってほしい」「そびえ立つクソの山」「腐った翻訳」「自作ポエム」「異世界語版」「有害」「腐臭を放つ吐瀉物の山」といった発言は、人間(真鍋さんの用語で、アスペルガーではないヒトのこと)の言語の運用においては、おそらく指摘ではなく侮辱、退場勧告として機能するでしょう。


Mさんにとっては、侮辱退場勧告は同じようなものなんでしょうか?

私にとっては、それらは全然別のものです。


退場勧告というのは、何かをするうえでの実力がないんじゃないかという意見を告げるものです。

また、いま実力がないということは、この先も実力がないままであるということを意味しません。

そういう意味で、私の発言が退場勧告として受け取られたとしても、それは私の意図に反するものではありません。

「英語の構文解析ができない人間は(それができないうちは)英文和訳をしてはいけない」というのが、一貫した私の意見です。

(私が訳を批判してきた方々はそれができていないという私の認識は変わっていません。これについても、上級者から見るとそうではないということであれば、そう主張していただければと思います)


それに対して、侮辱というのは基本的に必要のないものです。

私はこれまで、翻訳に対してクソの山だとかは言っても、○○氏はクソだという侮辱はしたことはありません。

まあ、「翻訳をクソだと言うと、それは自動的に訳者をクソだと言うことになる」とお考えなのであれば、それは考え方の違いということになります。

私はそう考えていません。

(私に対する誤訳指摘も侮辱だとは受け取っていません。そう認識させたいという痛いほどの努力は伝わってきますが)

ここの認識の違いがある人とは、永遠に平行線なんだろうなと思います。

(ところで、「腐臭を放つ吐瀉物の山」等のいくつかは、全世界に公開しているとはいえ、個人的なつぶやきです。「つぶやく」ことと「相手に向けて言う」こととの間にはまだ違いがあると私は認識しているのですが、Mさんにとってはそうではないのでしょうか?)


日本語訳を読んで、おかしいと思った箇所だけ原文を参照することにします。一般読者は翻訳の質を判断できないという――わたしの感覚からすると一般読者をずいぶん侮った――主張に対するひとつの反証になるかもしれません。


やだなぁ、もう。(呆れてキャラが変わった)

「学生時代の専攻が英文学だったことから、翻訳の仕事や、翻訳の校正の仕事をたびたび引き受けてき」た人が一般読者なわけがないじゃないですかぁ。

一般読者というのは、minghai氏版SICPのブクマ山口さんの翻訳記事のブクマのような人たちのことを言うんですよ。

私の指摘以前に、翻訳の質に言及している人、いますか?


一般読者は翻訳の質を判断できないからこそ、minghai氏版がずっと問題にもならずに検索上位に出ることになっていたわけじゃないですか。

私が「王様は裸だ」と言わなかったら、誰が代わりに言ってくれたんですか?


しかし、そのようなミスを犯す方が、他人のミスに対して次のような発言をするのであれば、そこには何らかの認知の歪みがあるということになってしまいます。


まあ、人間はミスを犯すものですし、ちょっとしたミスで実力を判断するのは正しいとは限りませんね。

ただ、Mさんが見つけた私のミスと、私が見つけた山口さんのミスは、(当然ながら)別のものです。

私は、その手がかりから「この翻訳は手がつけようがない」と推測して、結果としてそれは(私としては)当たっていたと思っています。

Mさんは、私のミスを見て、「この翻訳は手がつけようがない」と推測されたのでしょうか。

また、それは当たっていたでしょうか。


最後に。


まず、真鍋さんがなぜそれほど憤っているのか。翻訳には言語に関する才能と一定の経験が必要で、十分な品質に達していない翻訳は有料・無料を問わず世に溢れています。それは自明であるにも関わらず、なぜことさら嘆いてみせるのだろう? 一般の人はそのことに気づいていないとでもいうのだろうか?


「嘆いてみせ」ているのではなく、「嘆いている」のです。

十分な品質に達していない翻訳があふれている状況を、自明なものだとあきらめていないからです。


「翻訳には言語に関する才能と一定の経験が必要」とはいえ、そういう才能と経験を持った(Mさんのような)人はいくらでもいるわけです。

それなのに、なぜ英語の構文解析すらできない(私よりもさらにできない)人間が翻訳をしているのか。

なぜ「統計学を拓いた異才たち」のような本が世に出てしまうのか?


英語の「翻訳術」の良し悪しは、単純に評価できるようなものではありません。

しかし、英語の構文解析を間違っているような、翻訳以前の間違いであれば、英語の読める人なら誰が見ても——もちろん、Mさんが見ても——わかるはずです。

それなのに、なぜそういう翻訳以前の間違いだらけの「翻訳」が、有料無料を問わず生き延びているのでしょうか?


私から見ると、そういう状況を支える要因のひとつとして、「人間」——Mさんのような——の遠慮があるように思えます。

明らかな間違いがあっても、相手への配慮のために、「なかったことに」してしまう。

その結果が、いまの悲惨な状況なのではないでしょうか?


私は、たとえ自分自身の英語の実力が完璧ではなくても(もちろん完璧ではありませんし、その認識は変わっていません)、致命的な誤訳について「致命的な誤訳である」と声を上げることを続けていくつもりです。


*1:アノニ“マスダ”イアリーの通称。

IzumiMihashiIzumiMihashi 2015/11/18 21:21 こんにちは、グローバル・ボイス日本語というサイトのエディタをしている三橋です。
グローバル・ボイス日本語:http://jp.globalvoicesonline.org/
本団体では、英語の記事を日本語に訳しており、翻訳ボランティアを常時募集しています。
翻訳力が低すぎるメンバーを受け入れてトラブルになったこともあるので、
メンバーの受け入れ時は必ず記事を一本訳してもらって、翻訳力が一定を上回る人だけを
受け入れています。共訳で訳した本も一冊あるので、一応プロの翻訳者かもしれません。
「エレガントな問題解決」(オライリー・ジャパン)http://www.amazon.co.jp/dp/4873114055
(まぁ、プロの翻訳者なんて出版社とのツテがあれば簡単になれるものなんで、
 翻訳の実力とはあまり関係ないんですけど。)

翻訳というのは、ある意味原著者の名前をかたって自分の文章を世に出す行為と言えます。
人は間違いを犯す存在なので、全く誤訳なしというのは難しいですが、原文の評価を貶めるような
翻訳を世に出し、そしてそれを公開し続けるのは、原著者に対する冒涜に近いことです。

わたしは合不合を判断する立場で、いままで総計100人以上の翻訳を見てきましたし、
数十人の翻訳を添削してきました。その経験からすると、一般論として、まともな翻訳と
まともでない翻訳が存在し、両者の間には歴然とした差があるのは事実です。
(グレーゾーンの翻訳はあまりありません。)
まともでない翻訳は以下のような傾向があります。
英語の構文が取れていないことが頻繁にある(数ページに一文ぐらいなら許容範囲だと思います)、
自力で意味がわからない時に、構文や使われている英単語を無視し、スーパーMy解釈をすることが癖になっている
そもそも日本語能力が低く、整った文章がかけない
「てにをは」レベルで崩れていたり、誤字脱字が非常に多い(1ページに複数とか)
初期には、こういう人も受け入れたことがありましたが、団体の活動に貢献できるレベルまでもっていくのは無理でした。
翻訳のテクニック部分であれば、学んでもらうことができます。
ただ、まともでない訳を平気で出してしまう人の場合、文章を分析的に読む、日本語を
正確に書くという点に相当な問題があり、こういうスキルをネット越しに鍛えるのは相当困難です。
それに、まともでない翻訳を読むのは、文章を厳密に読む習慣のある人にとって非常に消耗することです。

ただ、まともな翻訳でも、公開できるレベルに仕上げるには相当に手を入れる必要があります。
(特にグローバル・ボイスの記事は、外国で起きた事柄ですからそもそも背景がわからなかったり、
 ネットスラングが多かったり、法律関係など厳密な言葉使いが必要だったり、非ネイティブが
 書いていて文法の間違いが混ざっていたりして、難度は相当高いです。)
ベースとしてある程度英語力がある方でも、1〜2文に1、2回ぐらいは赤を入れるかな、という
感覚ですね。(誤訳とはいえない、やや不自然な言い回し程度でも手を入れている、というのはありますが。)
眞鍋さんのエントリ(http://d.hatena.ne.jp/takeda25/20151030/1446174043) で、
「私は、例えば2ページに1個程度の誤訳があれば、それは確実に腐った翻訳だと考えています。」
という言葉がありますが、このレベルの応募者はそうそういません。
2ページに1個ならわたしは質の高い翻訳とみなします。

とりあえず、mingha版の前書きを読みましたが、申し訳ないけれどこれは一文目読んだだけで、
クソですね。英語と照らし合わせる必要も、それ以上読み続ける必要もありません。
「教育者、将軍、栄養士、精神分析医、そして両親はプログラムします。」
ってそもそも非文ですよね。こういう文章は一文でレッドカードです。
これに耐えて読み続けられる人をある意味尊敬します。
この翻訳が糞である眞鍋さんの評価については、言葉がきついとは思いますが概ね賛成します。
また、プログラム関係なら糞を糞というのは許されるのに、翻訳のひどさについては糞というと
これだけ非難されるというのはなかなか不思議なことであるよなと思います。
(映画の字幕翻訳はあんなに叩かれるのに)
翻訳というのは他の人の名前で出すものですし、大抵の場合原著者は翻訳の良し悪しを
判断できませんから、翻訳者は原著者に対して責任があるんです。
SICPについては無償であるということでみなさん評価が甘くなってるようですが、
むしろ逆であるべきですよね。原著者がCCライセンスにしてくれてるのだから、
その信頼にこたえなきゃいけないんですよ。

そして、眞鍋さんの前書きも拝見しました。良い翻訳だといえると思います。
良い翻訳ですが、誤訳はたくさんあります。初心者の翻訳はそんなもんです。
http://anond.hatelabo.jp/20151117013422
http://anond.hatelabo.jp/20151117013512
の指摘は妥当です。眞鍋さんが謙虚になるべきという指摘も妥当です。
前書きに限っては、残念ですが2ページに1個どころではないです。
でも翻訳に慣れていない方ならそんなもんで、それ自体は恥じることではありません。
一般論としては、眞鍋さんのレベルの翻訳なら、特に第三者のチェックを経なくても
一発公開で構わないと考えます。
しかし、「2ページに1個以上の誤訳がある翻訳は糞」といった手前、
自分の翻訳は完璧を期す必要があるでしょう。
もしほぼ完璧な翻訳しか世に出すべきでないと考えるなら、
校正を誰かに頼むべきでしたね。翻訳初心者の一人の力には限界があります。

まとめとしては、眞鍋さんの翻訳とmingha版には質的な差があります。
ただ、眞鍋さんの挙げた基準は厳しすぎて、自分自身も基準に追いついていません。
人の批判を受け入れることを学びましょう。
(眞鍋さんのエントリは、明らかに逆ギレしていると一般の人は解釈します。
 そもそも怒っていない人は「自分は怒っていない」などと言い訳しません。
 前に眞鍋さんは自分が怒るべきときに怒れないのが問題と言ってましたが、
 Twitterなどの発言を拝見している限りでは、よく怒っているので、
 自分の感情をモニタリングするところに問題があるのでは?
 ちなみに研究では、アスペルガーの人も、その他の人と感情が動く原理は
 さほど変わりません。しかし、自分の感情を理解するのに問題が
 ある人は多いようです。)
そして、自分も知らず知らずのうちに誤りを犯している可能性を常に頭に置いておきましょう。

IzumiMihashiIzumiMihashi 2015/11/18 21:25 すみません、眞鍋⇨真鍋ですね。お名前間違えまして申し訳有りません。
修正後再投稿しようと思ったのですが削除できず。

shiroshiro 2015/11/18 22:17 真鍋氏は自分の翻訳はチェック不要だとか、ほぼ完璧な翻訳しか世に出すべきでないとか言ってないですし、誤訳指摘はさくさく取り入れてますよ。

IzumiMihashi氏に含むところはありませんが、どうも彼が言ってないことややってないことに対して意見するようなすれ違いが散見されるので、コメントしてみました。

ところでoffensiveな言葉遣いに対して、感情的に反発してしまう人はそれなりに多くいます。それに共感できなくてもその事実は認識できると思うんですが、それが「より良い訳を世の中に増やす」という戦略にどう影響を与えていると真鍋氏は考えているか、というのは個人的に興味があります。

takeda25takeda25 2015/11/18 22:49 >IzumiMihashiさん

> 「私は、例えば2ページに1個程度の誤訳があれば、それは確実に腐った翻訳だと考えています。」
> という言葉がありますが、このレベルの応募者はそうそういません。
> 2ページに1個ならわたしは質の高い翻訳とみなします。

どうも(ほかの人に)言葉尻をとらえられた感がありますが、私のこの「2ページに1個程度の誤訳」というのは、相当ゆるく見た、本当に致命的な誤訳のつもりでした。
IzumiMihashiさんの言葉でいうと、「英語の構文が取れていない」というものですね。
そもそも、IzumiMihashiさんやMさんのレベルでダメ出しをしたら、出版されている翻訳書でも真っ赤になってしまうものだらけではないでしょうか。
(そこがまさしく、私が憂慮しているところなのですが)

>(まぁ、プロの翻訳者なんて出版社とのツテがあれば簡単になれるものなんで、
> 翻訳の実力とはあまり関係ないんですけど。)

そうらしいですね。
そこもひとつの大きなゆがみだと思います。
グローバル・ボイス日本語のようなボランティアの翻訳でも高いレベルを維持しているところもあれば、売り物の翻訳なのにツテでとんでもない人を使ってしまうところもある。
誤訳を防ぐシステムというものが構築されていない。

>「教育者、将軍、栄養士、精神分析医、そして両親はプログラムします。」
>ってそもそも非文ですよね。こういう文章は一文でレッドカードです。

私の目では、それはまだ許容範囲です。
何といっても、"Educators, generals, dieticians, psychologists, and parents program." の構文解析に失敗しているわけではありませんからね…(もっとも、間違いようがないですが)。
逆に言うと、私が糾弾している誤訳は、それよりもはるかに低レベルな、原文の構造がわかっていなくて勝手に日本語を作っているようなものだけです。
そういう底辺だけでも駆逐されたらいいんですけどね…。

ところで、IzumiMihashiさんの目から見ると、和田訳はいかがでしょうか。
序文( http://sicp.iijlab.net/fulltext/xfore.html )の出だしは「教育者, 将軍, 栄養士, 心理学者, 親はプログラムする. 」ですが。

(それにしても、重要なのは本文なのに、序文の話ばかりになってしまうのはどうもアレですね。まあ、難しいところなのでしかたがないかもしれませんが)

>shiroさん

フォローありがとうございます。また、GitHub での誤訳指摘にも感謝しています。

>「より良い訳を世の中に増やす」という戦略にどう影響を与えていると真鍋氏は考えているか

SICP と翻訳全般で分けて考えると、SICP のほうは炎上したほうが反響を呼ぶうえで有利というのがあります。
(http://d.hatena.ne.jp/takeda25/20151109/1447026522 のRyusei氏との会話の通りです)

翻訳業界については、まさにIzumiMihashiさんのおっしゃるような現状があるわけで、それに一石を投じることができれば儲けものだと思っています。

takeda25takeda25 2015/11/18 22:55 追記です。真鍋・眞鍋はうちは真鍋のほうですが、特にお気になさらずに。
それと、mingha氏ではなくminghai氏ですね。
(コメント欄が修正できないのは不便ですね…。はてなダイアリーなんていう古いものを使い続けていて申し訳ありません)

IzumiMihashiIzumiMihashi 2015/11/18 23:24 > shiroさん
shiroさんのおっしゃることもわかります。
ただ、共同で作業をするときに、真鍋さんのような態度を取られると相当厄介です。もしわたしの団体でこういうやり取りがあったとしたら、わたしは真鍋さんを退会させます。誤りを指摘されたときは、いろいろモヤモヤするところがあったとしてもグダグダいうべきではありません。
>真鍋さん
前書きから判断するだけなら、和田訳もダメだと思いますよ。
ただ技術本なので、本文がまともに訳されているならいいと思います。

shiroshiro 2015/11/19 00:00 このへんすれ違いがあると思うのですが、真鍋氏が罵倒するのは「手の付けようがない(段階的改善が不可能で、全面的に改訳が必要な)」訳のみですよ。そういう訳を駆逐するために罵倒という手段を使っている、と公言しているわけで。その手段の是非については別に論じたいと思いますが、段階的改善が可能な訳に対して罵倒することはないだろう、と私は考えます。そう一貫して述べてますし、それを疑う理由も見当たりません。

ただし、これは真鍋氏に向けてですが、罵倒というのは強烈な手段なので、ある状況でそれを使った人が、別の状況では使わない、と言ったとしてそれを他人が信用できるかどうか、というのは別問題です。これは理性ではなく感情と経験則ですが、そもそも信用というのは不確実性に賭ける要素がどうしてもあるので、人は理性以外に頼らざるを得ません。罵倒を手段として使うなら、そのリスク---この人は突然罵倒し始めると思われるリスク---を負うことになります。

IzumiMihashiIzumiMihashi 2015/11/19 00:05 >真鍋さん
今回炎上で多くの問題が指摘されうまくいったのは結果論にすぎません。
誤訳を指摘してやったらキレた口調でグダグダ言われたみたいな、精神エネルギーを消費するやり取りは、
ごくごく変人を除いて日常として経験したいものではないです。祭りとしては面白いかもですが。
翻訳はその後の校正を含めて完成するものですが、SICPの件を見たら、誤訳をみて
翻訳者に伝えたいという人は減りますよ。
翻訳という分野を長期的な視点で育てたいなら、(意図的であれ無意識であれ)炎上商法は取らないでください。
まともな人が去ります。

takeda25takeda25 2015/11/19 00:09 >IzumiMihashiさん
「誤訳を指摘してやったらキレた口調でグダグダ言われた」
これは何を指しているのでしょうか。

nucnuc 2015/11/19 00:16 > IzumiMihashi さん
どうも思い込みでものをおっしゃっているように思うのですが。
真鍋さんは誤りの指摘に対して何もぐだぐだ言ってないですよね。
誤りの指摘と、それに対しての真鍋さんの応答でぐだぐだしているのを挙げられますか。

IzumiMihashi さんは、shiro さんに書いてもないことを書いてあると思い込んでいると指摘されました。私もそう思います。
それに対して、「自分が誤解していることもわかる」とだけいい、まともに応答していないですね。
それならば、まず、あなたのすべきことは、誤解に基づいたコメントのどの箇所を修正するつもりがあるかを述べることです。
退会させられるご身分であることを誇ることじゃない。

shiroshiro 2015/11/19 00:23 おおっとお。他所様のコメント欄にしゃしゃり出て仕切るのは僭越ながら、ブコメや増田で繰り替えされた空中戦をここでまた始めるのも不毛と愚考します。

真鍋さん、かように、人の推論機能には、ある種のパターンを見ると実際には存在しないパターンも出現したかのように認識する性質があります。それを踏まえたやりとりを展開すると何か新しいことが出てくるのを期待できないかな…

IzumiMihashiIzumiMihashi 2015/11/19 00:29 「ところで、降って湧いたように翻訳経験者から誤訳の指摘をいただけたわけですが、
どうもおかしな人だなという感覚はあります。」
まずこの文からして誤訳の指摘をしてくださった人にMAX失礼ですね。
翻訳出せば誤訳の指摘はいただきますし、自分も誤訳の指摘を山ほどしておいて
なぜ降ってわいたようにお感じになるのかわたしは理解できませんが。
わたしについての返答でも、「2ページに1回の誤訳とは致命的な誤訳」と言い直しているのも
言い訳しているなぁとわたしは思いますが、ご自分でそう思われないのであれば、
かなり自分に都合のよい考え方をしているんだなぁとわたしは思いますね。

IzumiMihashiIzumiMihashi 2015/11/19 00:35 すみません、真鍋さんと対話するのはかなり難しく、自分にとってここで議論を重ねても
得られることがないとわかったのでこれで終わりにします。おやすみなさい。

shiroshiro 2015/11/19 00:40 IzumiMihashiさん、真鍋訳の誤訳指摘・校正手段については公式というと変ですが(技術者の間では)非常に簡便な手段が用意されており、既にやりとりもあります。それ以外にメールやコメント欄などの手段もあるところ、(1)匿名ダイアリを使い(2)使用許可を明示せず[つまり真鍋氏は改訳案を利用できない](3)意見を主張するための手段としての誤訳指摘、というのは相当に変化球だと思います。(2)については文化の違いもあるので止むを得ないところはあるのですが、現状M氏が許可を出さないとライセンス上指摘が反映できない状態になっているということはご理解頂けたらと。(私はその現状を残念に思っていますが、M氏次第です)

通りすがり通りすがり 2015/11/19 00:42 要するに「クソ」って言われてムカついただけでしょ?(笑)

takeda25takeda25 2015/11/19 00:55 >IzumiMihashiさん
「降って湧いたよう」の語感の違いでしょうか?
日本語コーパス http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/search_result で「降って湧いたよう」のコロケーションを調べると、「降って湧いたような大役」「降って湧いたような縁談」と、必ずしもネガティブに使われてはいないのですが。
私としては、(素人ではなく、本来お金を払わないといけないような翻訳経験者から)指摘がいただけるというのは、まさに「降って湧いたような」話だったのですが、それが失礼になるのでしょうか。

また、(こういうところでほかの方を引き合いに出すのは申し訳ないのですが)nucさんもshiroさんも、私が何もぐだぐだ言ったりしていないという認識では共通しているように思うのですが…。

“わたしについての返答でも、「2ページに1回の誤訳とは致命的な誤訳」と言い直しているのも
言い訳しているなぁとわたしは思いますが”
元から思っていたことを補足したのに、人間の「言い訳判別器」にひっかかると悪印象を持たれるということはよくありますね。
IzumiMihashiさんが「かなり自分に都合のよい考え方をしているんだなぁ」と思われるのであれば、お任せします(ご推測の通り、私はそう思っていませんが)。

corpsecorpse 2015/11/19 01:06 真鍋氏が炎上商法なんて変化球使ったために増田からの指摘なんて変化球が返されてしまい、そのために結局M氏の価値ある指摘も生かせない、便器にこびりついて固まって処理に困るタイプの「糞みたいな翻訳」が残されてしまったということで終わるとしたら、とても残念ですね。

takeda25takeda25 2015/11/19 01:12 >corpseさん
重複投稿と思われるものがありましたので、こちらで代わって削除しました。

shiroshiro 2015/11/19 01:26 やっぱり「糞のような翻訳」が何を指してるのか正確に理解されないことが多いですよ。ちょっとびっくりするくらいなんですが、それだけクソとか腐ったという言葉は強烈なんですよね。これも炎上の対価ではありますが、炎上で得られたものに見合っているのか、私は疑問に思っています。

サムワンサムワン 2015/11/19 02:14 横からすみません。

真鍋さんは、大変な労力を割いて無償で翻訳を公開され、かつ世に出る翻訳の質を上げたいという真摯な思いをお持ちで、かつ、翻訳に対して寄せられるコメントにも誠実に対応されていると思います。これらに敬意を表して、M氏やIzumiMihashi氏は、多大な時間を割いて、真鍋氏がおかしいと思われる点の指摘をされたのではないかと私は思います。両者多大な時間を割いているにも関わらず、コミュニケーション不全により、指摘が生かされないのはもったいないのではないかと思い、コメントしております。

翻訳のプロであるM氏もIsumiMihashi氏も述べておられるように(また真鍋氏ご自身も認めておられるように)、翻訳というのは、完璧ではありえず、必ず校正が必要なものです。校正をするのに、いちいち罵倒は必要ではない、というのがM氏及びIzumiMihashi氏の指摘ではないかと思います。仮に質の低い翻訳を世の中から排除するという目的を達するために意識的に罵倒を用いているのであれば、これは手段として一般的に推奨されるものではない(効率的ではない場合が多いし、かつ、M氏が例えに出したように、「食事をしているときに、グラスを割ったウェイターが衆目の前で怒鳴られているのを見るのはあまり気持ちのいいものではない」のと同様、ブログやgithubという公共の場で、口汚い言葉を使って罵っているのを目にするのは、仮にそれが人格に向けたものではなかったとしても、周囲に不快感を与えると私は思います)。

また、今回の記事について、真鍋氏が、M氏の指摘に対して、「言い訳」や「逆ギレ」をしているように、一般的には見えるのではないかと思われる点は、例えば以下です。
・「元記事にはごちゃごちゃした人間的な感情の絡む雑音的な部分も多いので」→一般的には、他人が時間をかけて真摯に書いたものを「雑音」と切って捨てるのは失礼にあたります。言い訳や逆ギレをしているのでなければ、このように攻撃的ととられうる表現をする必要がないように思われます。
・「ところで、降って湧いたように翻訳経験者から誤訳の指摘をいただけたわけですが、どうもおかしな人だなという感覚はあります。」→一般的には、「どうもおかしな人だな」という言葉を他人に発するのは失礼にあたります。
・「Mさんにとっては、侮辱と退場勧告は同じようなものなんでしょうか?私にとっては、それらは全然別のものです。」→M氏は、侮辱と退場勧告が別、という話はしていないのに、このような質問を投げかけているのは言い訳がましく聞こえます。(真鍋氏にとって、この違いが重要であることはわかります。しかしそうだとしても、第三者的には言い訳がましく聞こえる、ということです。)
・「私はこれまで、翻訳に対してクソの山だとかは言っても、○○氏はクソだという侮辱はしたことはありません。」→一般に、「致命的な誤訳」「最低クラスの翻訳」「手のつけようのない何か」「身の程を知ってほしい」「そびえ立つクソの山」「腐った翻訳」「自作ポエム」「異世界語版」「有害」「腐臭を放つ吐瀉物の山」といった過度に攻撃的な表現を用いることは、その翻訳をした人への攻撃、侮辱ととられうるものと思われます(自分のいらだちや怒りを発散させるために、不必要に攻撃的な表現をしていませんか。)それにもかかわらず、あくまで、人格ではなく翻訳の否定である、とこだわることは、言い訳がましく聞こえます。
・「まあ、『翻訳をクソだと言うと、それは自動的に訳者をクソだと言うことになる』とお考えなのであれば、それは考え方の違いということになります。」→言い訳がましく、かつ逆ギレをしているように聞こえます。一般論として、「ある行為を責めることが、人格を責めることに等しい」、と考えている人は、そう多くないでしょう。しかし、「行為を責めるように見せかけて、その実、人格を責めている」ような行為は多く見かけられます。真鍋さんの侮辱的表現は、意識的かどうかに関わらず、そのように見える可能性があります。それにもかかわらず、「人格は責めていないのに、何が悪いんだ」という態度をとることは、言い訳がましく見えます。
・「(私に対する誤訳指摘も侮辱だとは受け取っていません。そう認識させたいという痛いほどの努力は伝わってきますが)」→ここが最大の逆ギレに見えるポイントかと思われます。つまり、M氏は真鍋氏を侮辱しようとはしていないと思います。時間を割いて、真摯に、真鍋氏の行為の誤りと思われる点を指摘しているのに、侮辱と「認識させたいという痛いほどの努力は伝わってきますが」という態度で返すのは、それこそ侮辱です。M氏の文章に、真鍋氏の人格を否定していると読める箇所がありましたでしょうか?私の目には、M氏は淡々と誤訳を校正し、淡々と、真鍋氏の行為の誤り(Minghai氏の翻訳物に対して侮蔑的表現を用いている点)を指摘しているように見えます。少なくとも、過度に攻撃的な表現は取っていませんよね。
・「やだなぁ、もう。(呆れてキャラが変わった)『学生時代の専攻が英文学だったことから、翻訳の仕事や、翻訳の校正の仕事をたびたび引き受けてき』た人が一般読者なわけがないじゃないですかぁ。」→まず日本語訳だけを参照しておかしいと思った箇所をピックアップしているので、一般読者の目線から、翻訳の質を見ていることになると思われます。「呆れて」というのも、言い訳がましいというか、攻撃的な表現ですね。コミカルに表現しようとされているのかな、ともとれますので、ここは議論が分かれるところかもしれませんが。
・真鍋氏の翻訳にも多数(真鍋氏自身が「腐った翻訳」の基準とする、「2ページに1度以上」)の間違いがあることを指摘されてから、「腐った翻訳」の基準として、あらたに「相当ゆるく見た、本当に致命的な誤訳」という基準を持ち出したこと。→言い訳そのものかと。

申し訳ありません、随分長くなってしまいました。コミュニケーション不全になっていると思われる点の補足になっておりましたら幸いです。
なお、このコメントは、真鍋さんを侮辱する意図は一切ありません。

細 2015/11/19 02:15 自分にも他人にも厳しい人かと思ったけど他人にだけ厳しい人だったか

クソのような通りすがりクソのような通りすがり 2015/11/19 02:21 誰の肛門から放出したかは興味無いが、クソはクソ。
でも、クソだって肥やしになる。

怒られる側の翻訳者怒られる側の翻訳者 2015/11/19 02:26 校正の人が指摘しているように、組織として出す翻訳はチェックがとにかく厳しく、商業的にちゃんとしたものであればあるほど、翻訳というよりチェックにかける労力の方が長いです。一定以上の語学力があれば、あとは注意力とド根性勝負という感じがある。語学が好きでマニアックな知識があってもたいして報われなくて、疲労の果てに少しでもミスをしたら怒濤の勢いで指摘されるストレスが強いので、注意力に問題があるタイプの人間には辛い(う、目の前が急に・・・)

さて批判のやり玉に挙がっている、構文も取れてないレベルの翻訳がなんで流通しているのかという問題ですが、なんででしょうね・・・。まあ昔に比べればだいぶ減ってると思いますけどね。一般書籍というのは数えればキリがなく魑魅魍魎な世界なので、世界にはそういう野蛮な一角もけっこう残っているということで。人間の世界はまだまだ野蛮なようです

サムワンサムワン 2015/11/19 02:40 追記すみません。
上記コメントですが、真鍋さんを侮辱する意図は一切ないのは誓って本心からです(ブコメでは、揶揄する形で、「本人を侮辱するものではない」とエクスキューズしているものが散見されますが、そのようなものではありません)。
コメントの意図としては、M氏とIzumiMihashi氏の指摘について、真鍋さんが本当に理解をされていない点がある可能性があると考え、推測可能な範囲でその補足をしたものです。しかし、私はM氏やIzumiMihashi氏ではないので、もちろん私の推測が間違いである可能性もあります。
また、M氏やIzumiMihashi氏の指摘を理解した上で、それでも、真鍋氏としては「質の低い翻訳が世に出るの防ぐ」ために、あえて質の低い翻訳物に対して攻撃的な強い表現を運用していくんだ、という強い信念をお持ちなのであれば、私のコメントは余計でした。その場合は申し訳ないです。あえていえば、攻撃的表現でも、あまりトゲのないユーモアに満ちた表現と、より他者を傷つけやすいダイレクトな表現があるように思われますので、願わくば前者を使って頂ければ、真鍋さんの、「質の高い翻訳を世に広めたい」という真摯な思いがよりスムーズに叶うのではないか、と想像します。

補足補足 2015/11/19 03:07 仕事ではなく、単純に語学的自尊心や第N外国語習得者としてのプライドを満たしたい場合はやっぱり、超マイナー語圏の未訳の歴史的名著を翻訳するのがおすすめです(今回みたいに既訳アリの英語圏の本というのは冷遇されやすいかも)。「うお、まさかあの本が」ということで、けっこうチヤホヤされます。でもお金的には持ち出しになる可能性が高いです。

shiroshiro 2015/11/19 04:42 一番大きなすれ違いは、真鍋氏は一貫して「質の低すぎる翻訳は一般読者を惑わす有害な存在なのでそれと認知されて消える(せめて有害でないレベルの別訳でsupersedeされる)べき」という「ある閾値以下の翻訳」のみを問題として行動してるんだけど、M氏はそのトピックはスルーして、翻訳は誰でも完璧にはならない、校正が大事、誤訳指摘は素直に受けよう、仲良くいこうや、という話をしていて、その点について真鍋氏とは何ら対立してないってとこなんですよね。

真鍋氏は「改善可能な翻訳における誤訳」については罵倒どころか何も言及しておらず、自身の行動においては校正や誤訳指摘を積極的に受け入れてるわけですから(←この点をIzumiMihashi氏も全く見ていないふうなのが気になります。敢えてスルーしてるんでしょうか。現に誤訳指摘を素直に受け入れてる人に「誤訳指摘を素直に受け入れましょう」って言うちぐはぐさがわかりません。)

サムワンさんが解題してくれたので真鍋氏の発言が「言い訳・逆ギレ」と解釈されるロジックがわかりましたが、それまで何が言い訳・逆ギレなのかわからなかったんです。ほんと。論点が対立してなければ言い訳したり逆ギレしたりする理由がないわけですから。

で、すれ違いが生じるのは、罵倒語の副作用なのだろうと思うわけです。暴力と同様、暴言もまた理性を越えた力を持ちます。それを使う人を見て、他人は「口で言っていること以外の動機があるのだろう」と内面を推測し、発言の字面以上のメッセージを読み取ろうとします。さらに、いかに発言対象が人格でなく物であったとしても、罵倒語を使うことにより支配-被支配の関係を作ろうとしていると解釈されてしまいます。ここで物は支配-被支配の関係に入りませんから、必然的に被支配の対象はその物に近い人格であろうと解釈されることになります。

真鍋さん、やっぱり罵倒語で燃やしに行くのは悪手だったと思いますよ。私も当初、ここまで認識の断絶が生じるとは思って無かったのですが。現状では、翻訳が有害となる閾値があるのかとか、有害な翻訳をなくす別の手段があるのかという重要な点すら議論に上らない状況になっちゃってるのを見ると。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/takeda25/20151118/1447803829