あらゆる詐欺に対処する基本は、冷静に自分で確認すること
したがって、相手からの話を聞けば聞くほど騙される可能性は高くなる。郵便物だけならば、まだ、冷静になる余地はあるだろう。いくら何でも送り返すという手続きは、ほぼ誰も経験していないのだから、いくらセキュリティ更新だと言われても、即座に応じる可能性は低いからだ。
しかし、そこに今度は電話がかかってきて、「お送りしたセキュリティ更新のご案内はお手元にありますでしょうか?」といわれたらどうだろうか。
疑問を相手にぶつけても「今回から手続きが変更され、お客様に負担をかけないために、郵送になりました」と言われてしまう。さらには「それでは書類2枚目をご覧ください」など誘導してくることになる。
いくら郵便物が本物ぽくっても、また、こうした電話がかかってきたとしても、それにしたがってはいけない。
なぜならば、どれもが「相手から来た」ものだからだ。
こちらから確認していないことを忘れてはいけない。あらゆる詐欺に対処する基本は、冷静に自分で確認すること。つまりは、相手の指示ではなく、自分で連絡を取ることなのである。
夏原 武(なつはら・たけし)
1959年生まれ。雑誌編集者を経てフリーランスに。著書に「サギの手口―最新裏仕事人列伝」(データハウス)、「現代ヤクザのシノギ方」(宝島社)、「バブル」(同・共著)、「震災ビジネスの闇」(宝島SUGOI文庫)、「反社会的勢力」(洋泉社新書y)など多数。
漫画原作として現在、「水晶」(ビッグコミックスピリッツ)、「関東三国志」(プレイコミック)を連載中。
近著に「新クロサギ」(小学館)、「現代詐欺師シノギの手口」(宝島社)、「ワルの生き方」(宝島社)がある。